ポポロ通信舎

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戦う介護士の声を聞こう

2021年10月05日 | 医療・福祉
経験10年以上の現役介護福祉士(以下介護士)が語る『誰も書かなかった介護現場の実態』(宇多川ちひろ著 彩図社 2021年)を読み現代社会の闇の一部分をのぞかせてもらいました。

凶暴な利用者に指を嚙みちぎられた職員、薬の過剰投与で認知症を悪化させられた利用者、看護師研修の実験台にされる利用者など、時には立場を入れ替えて、利用者の目で見た現場も描かれている。

介護士を取り巻く過酷な労働環境も十年一日あまり変わり映えがしていません。低賃金、人手不足、対利用者、対職員、肉体的にも精神的にも大きな負担を被っています。

利用者から施設職員を見れば、幼児でもないのに童謡を歌うことを強要されることの苦痛屈辱。私は大人だ、「どんぐりころころ」など無理強いしてほしくない!

禁忌(タブー)としては「性欲」も大きなテーマ。また誤嚥性肺炎で亡くなる方が多いのも食事介助に十分な時間が取れない現実、職員数も足りないのだ。

「介護とは戦いの連続だ。行政や政策、法律、公的機関の視察員などと戦う。利用者や家族の要求やすれ違いと戦う、同僚と介助、人生観など支援方法の違いで戦う、部署間での力関係の差、押し付けと戦う、利用者からの暴力、危険な問題行動と戦う」

著者はあえて、「闘い」ではなく相手と競い合う「戦い」を用いて現場状況を表現しています。

著者はそれらの戦いに対して「怒りを感じても、必死に理性で抑え込んで我慢する。そして怒りを通り越して限界を迎えると、自分の心を守るために無感情となり、いつしか利用者を人ではなくモノとして・・・人の尊厳よりも業務の効率を優先するようになってしまう者もいる」と吐露。

「人は等しくいつか死ぬ。介護士はその事実と日々向き合っている。そして表面だけを見て介護は素晴らしい仕事だなどと褒めないでほしい。死ぬことが怖いのは私たちも同じ。先人たちの最期から学び、私たちとともに考え、ともに人生の終わりと向き合ってほしい」と著者はむすんでいる。

現役の介護士、福祉の道を志す学生、いずれ利用者になるすべての人たちに参考となる一冊でした。




  
プレスリーはロカビリー、ロカビリーはリハビリー♪
介護現場も選曲は、定番の「青い山脈」や「童謡」ばかりでなく多様化していただきたいものですね。ポップス世代も増えていますから。

ロカビリーがリハビリー/ビリー諸川&HARVEST MOON
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