ポポロ通信舎

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良心的軍事拒否国家

2012年01月13日 | 政治

小田実の遺言をまた追ってみます。(NHK BSアーカイブス参照)

反戦は弱虫か?

1967年、ベトナム戦争真っ只中。北爆(北ベトナムへの空爆)に反対した4人のアメリカ人水兵が米空母「イントレビット」号から脱走。べ平連(ベトナムに平和を市民連合)が保護し小田実、鶴見俊輔らが記者会見をした。このニュースは今でもはっきり覚えています。この時の米兵達のとった行動は、勇気ある決意だと賞賛こそすれ決して弱虫、卑怯者、裏切りとは少しも思わなかった。べトナム戦争を振り返る今もその感じ方は変わらない。

「良心的兵役拒否」は権利として認められる。ドイツの基本法(憲法)4条では何人も武器をとることを強制されないとし拒否者には、ミリタリーサービス(兵役)の代わりに介護などの市民的奉仕活動が義務付けられる。その場は国外でもよく、実際にドイツの青年が日本の各施設でも活動している。

「防災強国」をめざそう!

小田実は「良心的兵役拒否」を国レベルに置き換えて、日本は良心的軍事拒否国家をめざそうではないかと提起している。日本は災害大国だから「災害基本法」を作り「災害に強い国」となって、個人のボランティアだけにまかせるのでなく国家として国内外の救済にあたる。災害は必ず難民を生む。日の丸を付けた「難民救済機」を被災地に飛ばす。必要とあれば日本にも被災者を連れてくる。日の丸のイメージを変えようと。

日本的な平和主義に誇り

小田は「日本は民主主義と自由をアメリカからもらったけれど一つ大事なものを付け加えた。それが平和主義である。民主主義と自由をもつ国は多いけれど、そこに平和主義を結合したのは日本だけだ。平和主義に基づいて産業構造もできあがった。国の中心部分は軍需ではない。平和産業を中心に国を築き繁栄してきた。繁栄の経済基盤は“中流”をつくってきた。日本は価値のある国だと思っている・・」(2007年談)

アメリカからの「民主主義」や「国防」についてなど厳密には異論もあろうかとは思います。しかし小田実の漠とした提言の主旨は傾聴に値します。3.11原発震災を経て、改めて人類は放射能(核)とは共存できないことを知らされました。パワーバランス、「抑止力」的な軍事拡大戦略の行き着く先は地球汚染、人類破滅の道ではないでしょうか。広島、長崎、福島と死の灰に三度見舞われたわが日本。人には「良心的兵役拒否」を、国には「良心的軍事拒否国家」を。小田実の考えは実に先進的なものだと思わずにはいられません。

【写真】北爆に反対した反戦4米兵、昭和42年(The Intrepid Four,1967)

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