今回のTPP合意が、意外にすんなり通ったように見えたのも、すでに今年2月に「政府 vs JA」の熾烈なバトルの決着が明らかになっていたからなのですね。
新刊『JA解体』(飯田康道著)を最後まで読んで、その経緯が良く整理できました。地域の農協の司令塔=JA全中(全国農業協同組合中央会)を政府・自民党が力による巧妙な波状攻撃でねじ伏せた形です。
政府にバンザイした万歳前会長
農協独自の監査方法を変更し、公認会計士による監査を義務付ける。これによりJA全中への賦課金がなくなりJA全中は一般社団法人に移行し権限のない名ばかりの団体となる。JA全中の13代会長、万歳章氏=写真=は4月に突然の辞意を表明。「農協法から第3章(中央会の規定)が無くなるのは残念」と話していたという。万歳会長が、その名のように“政府軍”を前に降伏の「バンザイ」をしてしまった。
これまでの万歳体制を支えてきたJA全中専務理事、富士重夫氏も健康を理由に退任・・。TPP合意の前哨戦では、すでにJA全中が政府に完敗してしまった。
本書では、次のターゲットをJA全農、農林中金としていますが、司令塔を失ってしまった今、これらも相次いで「落城」するのは目に見えるようです。
農民や農業団体はTPPには強く反対する。しかし選挙ではダマされていることを知りつつなのかどうなのか自民党に投票してしまう・・。この様なこれまでの矛盾した投票行動のツケがもろに出てしまったともいえます。改革案は4年後の2019年3月としていますが、TPPと連動していったいこの国の農業の行く末は、どうなるのでしょう。
まったくわけがわかりません・・。
JA解体―1000万組合員の命運 | |
飯田康道 (共同記者)著 | |
東洋経済新報社 |
森永卓郎「農協を解体する。TPP反対とかウルサイから」(文化放送 2014年10月)