ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

(続)子育て政策でも迷走

2012年02月26日 | 医療・福祉

少子高齢化の進む中で労働人口は減る一方、しかし女性の社会的地位向上と進出が活発になり当然、そのためにも充実した保育行政が必要をされる。早くも今年4月からの新年度、認可保育所申し込みは終了した。今年の待機児童は特に多く昨年の2万5千人ではとてもすまない数字になりそうだという。

無認可保育所に支援を

入所(入園)の選考基準は就職戦線並にきびしい。正社員で9時から5時の定時勤務者が高い採用ポイント点数を得る。きびしい条件下で働く選考にハズれた親たちは、無認可の保育所を探すことになる。認可保育所の保育料は平均して2万円。それに比べ無認可は6万~8万円以上。勤務形態が不規則で非正規のパート、派遣、請負の低所得者層こそ廉価な認可保育所が適しているいるのだが現実は逆。国の補助金は無認可保育所には注がれない。それだけに無認可を利用する保護者の負担は重い。

待機児童、実態は80万人以上

ところで待機児童のカウントの仕方だが、公表されている数字は申し込みを正式に行い外れた児童の数字に過ぎない。あらかじめ高いハードルの入所条件を前にあきらめている人は多い。潜在待機児童数は80~85万人(2009年厚労省)、それが実態なのだ。

3歳未満もこども園で預からないと・・

待機児童改善策として「総合こども園」が2006年から出現したものの、当のこども園は待機児童の8割以上を占める3歳児未満の受け入れは義務づけてない。つまり待機児童解消には直結していないともいえる。政府の新システム案では一層の規制緩和は進むが、もともと福祉の分野に位置する保育が、営利(金もうけ)の論理に果たして馴染むかどうかは不安なところ。東京都の調べでは0歳児の保育に要する経費は1人当たり50万円との試算。2万円足らずの保育料ではとてもペイはしない。しかしペイしなくて当然、保育福祉は元来公的なサービス事業として位置付けるものではないだろうか。次世代の子どもたちのために堂々と公的資金を投入していい分野なのだ。

「保育に欠ける」は時代遅れ

それにしても未だに、保育所の入所要件は「保育に欠ける」家庭と定めている。「欠ける」表現には、本来は子どもは保護者が自己責任で家庭内で育てるもの。それができない欠損の環境下にある子どもだから、やむを得ず施(ほどこ)しの策を与える、という上から目線を感じさせる。児童福祉法(1947年制定)はもう古い。男女共生の時代にそぐわない定義は根本から改正しなければならないのではないと思う。

(TBS radio「麻木久仁子のニッポン政策研究所」2/25参聴)

【写真】いにしえのわが家のスナップ。1982年ごろ。

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