魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

フィリピン魚38.キスジゲンロクダイ

2012年04月17日 20時51分10秒 | 魚紹介

ちょっと間が空いてしまいましたが、今日のフィリピン魚はチョウチョウウオ科のキスジゲンロクダイCoradion chrysozonus (Cuvier) です。

キスジゲンロクダイCoradion chrysozonus (Cuvier) は、大部分のチョウチョウウオが含まれるチョウチョウウオ属の魚ではなく、タキゲンロクダイ属の魚です。タキゲンロクダイの仲間は3種が含まれます。

名前にある「ゲンロクダイ」は、別属の魚です。ゲンロクダイの仲間はインド・西太平洋、ハワイに広く生息しますが、タキゲンロクダイ属の3種は西・南太平洋および東部インド洋と分布域が狭いです。


ゲンロクダイRoa modesta (Temminck and Schlegel) 。チョウチョウウオ科としては温帯にもよくみられる種。写真は小型底曳網で漁獲された個体。山口県産

ゲンロクダイは、茶褐色と白色の横帯と、チョウチョウウオの仲間ではシックな色合いの魚です。似た仲間が3種ほどおり、これらを合わせて別属としたり、チョウチョウウオ属の中に含めたりします。温帯域に多い種で、やや深い場所を好みます。観賞魚として流通することはあまりなく、流通しても高価なものです。


ゲンロクダイの幼魚。水深のある大型定置網ではたまに漁獲される。高知県

タキゲンロクダイの仲間は、ゲンロクダイの仲間よりも背鰭棘の数が少ないです(8-10本)。キスジゲンロクダイCoradion chrysozonus (Cuvier) は眼を通る横帯が峡部を通り、腹鰭付近にまで達すること、成魚になっても背鰭の軟条部に目玉模様が残ること、その目玉模様の下にある帯は橙色であること、などでほかの2種と区別できます。

キスジゲンロクダイ は岩礁や砂底に生息し、サンゴがない場所にも多いです。フィリピンでは数が多いようです。日本では小笠原に分布します。

●タキゲンロクダイCoradion altivelis McCulloch
タキゲンロクダイCoradion altivelis McCulloch では眼を通る横帯は鰓蓋下までで、成魚では目玉模様がなくなることで本種と区別できます。また背鰭の棘はキスジゲンロクダイよりも少なくふつう8本です。幼魚や稚魚のころは目玉模様があり、かわいらしいものです。本州南部の太平洋側や、四国の海でも時々は見られるタキゲンロクダイ属の魚です。


稚魚。まだ黒色色素の点列が腹鰭付近に達している。まるでイシダイの稚魚のように縞模様が目立つ。高知県

●ツースポットコーラルフィッシュCoradion melanopus (Cuvier)
もう1種の、ツースポットコーラルフィッシュについて。この種はツーアイコーラルフィッシュとも呼ばれます。目玉模様の下にある帯は橙色であるがその中央に灰色の線が入ることで本種やタキゲンロクダイと区別できます。背鰭棘は10本とこの仲間では多いものです。フィリピンからインドネシア、パプアニューギニア、その沖合のビスマルク諸島などに生息し、日本には見られません。残念ながら写真はなし。

 

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フィリピン魚37.キンセンフエダイ

2012年04月14日 12時39分56秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚はフエダイ科のキンセンフエダイLutjanus lutjanus Bloch です。

フエダイ科のフエダイ属魚類は西部太平洋から36種ほどが知られています。本種は、体側に黄色の縦帯が数本あるのが特徴です。このような模様を持つのは他に、イモトフエダイなどがありますが、背鰭の棘数や軟条数で本種と区別できます。

タテフエダイLutjanus vitta (Quoy and Gaimard) は、キンセンフエダイやイモトフエダイによく似ていますが、体側の帯が暗色で、腹側に黄色の細い縦帯がみられません。

キンセンフエダイは場所によってはダイビングでよく見かける種です。大きな群れを形成し、迫力があります。また市場にもでて食用になっています。南日本にも分布していますが、まだ四国などでは見たことがありません。

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珍しいコチ

2012年04月13日 22時48分46秒 | 魚紹介

最近、珍しいコチ科の魚を入手しました。ハナメゴチRatabulus megacephalus (Tanaka) です。「メゴチ」という名前がありますが、実際にはメゴチ属ではなくハナメゴチ属という、別属の魚です。

ハナメゴチは、南日本によく分布する「イネゴチ」に似ていますが、斑紋などにやや違いがあります。イネゴチよりも模様が細かい感じです。

頭部も、ややスマートな感じ。眼の形もあまり変わった形状ではありません。

ハナメゴチはやや深海に生息するコチで、主に沖合底曳網で漁獲されます。このほか、深場の釣りでもよく外道としてつれたりします。底曳網漁業では決して珍しい、というわけではないのですが、マゴチなどに比べるとあまり漁獲されず、産地で主に消費されているようです。

どのようにして食べたらいいか。明日早速食べてみます。全長45cmの大型個体です。

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フィリピン魚36.シモフリカクレウオ

2012年04月12日 21時08分28秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚は、シモフリカクレウオEncheliophis gracilis (Bleeker) をご紹介します。カクレウオ科の魚です。

●カクレウオ科とは

カクレウオ科はアシロ目、アシロ亜目、カクレウオ科に含まれる硬骨魚類の仲間です。アシロ目は従来はスズキ目の中に入れられていましたが、現在はサケスズキ目、タラ目、ガマアンコウ目、アンコウ目とともに「側棘鰭上目」を形成し、スズキ目など4目からなるスズキ目とは別の位置にあります。アシロ科魚類に似ていますが、肛門が前の方にあったり。多くの種で腹鰭を欠いたりしています。このシモフリカクレウオも肛門は体の前方にあり、吻端から肛門前長のほうが、吻端から鰓膜後端(頭長)よりもわずかに長いです。

本種はこの特徴のほか、主上顎骨が皮膚におおわれ露出していないのも特徴で、テナガカクレウオやボウズカクレウオなどと区別できます。

●秘密の牙

本種の顎の先端には牙がなく、この牙をもつシンジュカクレウオなどと区別できますが、口の奥には大きな牙を有しています。これはいったい何に使うのか、わからないですが、面白いものです。

拡大してみますとこんな感じです。

●生態

カクレウオ科は世界中の温帯から亜熱帯の海に生息しています。ただ、クマノカクレウオ属のコオリカクレウオのように南極周辺の地域で漁獲されるものもいるそうです。本種はインド・太平洋のサンゴ礁に生息し、日本では琉球列島以南で見られます。

多くの種類が海底に生息します。そして変わった生態として、ナマコやヒトデ、二枚貝の類と共生するものがいます。本種はナマコ類と共生します。ナマコの体腔内に入り、そこから出たり入ったりします。

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アカアジ

2012年04月11日 20時41分46秒 | 魚紹介

これまでにも魚をたくさん食してきましたが、いまだに食べたことがない魚との出会いも多いです。

アジ科のアカアジDecapterus akaadsi Abe もまだ食べたことがない魚でした。愛媛県宇和海産、おそらく巻き網か釣りか定置網かと思われます。

アカアジはムロアジ属に属し、小さな「離れ鰭」があります。各鰭が赤く染まり、オアカムロに似ているのですが、オアカムロはアカアジと比べて細長い体つきをしています。

肉は血合いがあります。刺身にしますと、鮮やかなピンク色が強いです。味は、マアジのような繊細さはないのですが、美味しいものです。

まだこの中で食べたことがないのが、「モロ」と「インドマルアジ」。後者は熱帯性といわれていますが、いつか食べることができるのか・・・?

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