今日のフィリピン魚はベラ科のクサビベラChoerodon anchorago (Bloch) です。久しぶりにベラ科の種類です。
クサビベラはベラ科の中のタキベラ亜科、イラ属に含まれる魚です。イラは日本からシナ海の温帯に多い魚ですが、このクサビベラは熱帯性の種で、浅いリーフの砂底などに生息する種類です。
英名は「オレンジスポットタスクフィッシュ」。タスクは「牙」とか、そんな感じの意味ですが、オレンジスポット・・・?これは、頭部の橙色の小斑に由来するもののようです。和名の「くさび」はどこに由来するのか・・・。体側の模様ということになるのでしょう。面白いことに一部地域ではベラを「くさび」と称することがあるようです。
頭部の橙色斑が特徴的
クサビベラは日本では琉球列島以南に生息し、高知などでは幼魚も見たことがありません。イラ属は世界で20種類ほどが知られており、フィリピン産は7または8種ほどが知られているようです。日本では本種を含めて4種あるいは6種が知られています。
イラ属の大型種シロクラベラChoerodon shoenleinii (Valenciennes) (通称マクブ) 沖縄の魚市場にて撮影。高級食用魚である(c)ミト
最大の種類はシロクラベラで、1m近くになります。本種はその中では小型種で、30cm程度です。シロクラベラは沖縄ではマクブといい、高級魚扱いされています。一方でクサビベラのほうはどうでしょう。あまり評価は聞きませんが・・・。