今日のフィリピン魚は、サザナミハギCtenochaetus striatus (Quoy and Gaimard)です。サザナミハギは日本でも見られる種類ですが、やはりフィリピンなどの熱帯域には多い魚です。
ニザダイ科の魚は6属があります。サザナミハギ属はクロハギ属などに見た目はよく似ていますが、歯が細長く、倒すことができるなどクロハギ属と異なっている点があります。サザナミハギ属魚類はフィリピンには日本に産しない1種を含め、5種ほどが分布しているようです。
(c)ミト
これを見ていただければわかりますように、歯が長く、歯ブラシのようです。英名で「Bristletooth」(毛状歯)と呼ばれるのはこれに因むのでしょう。
●毒性と味
サザナミハギは毒を有することがあるというのはよく知られています。本種から検出された毒に「マイトトキシン」というのがあり、これは海産の毒では最強と言われています。ちなみに「マイト」は、タヒチ名で本種のことを指すようです。
この最強の毒をもつサザナミハギですが、沖縄では「くちく」と呼ばれ食用にしているらしいです。これを購入された「ミト」さんによりますと、「煮つけにして美味しかった」とのことです。
(c)ミト
●食性
サザナミハギの仲間は藻食で、海藻や付着藻類を捕食します。地味な魚ではありますが、水槽の中のこけをよく食べてくれるので、観賞魚としてもよく見かけるものです。よく見ますと細い縦帯があったり、頭部に橙色斑があったりして美しいものです。