--へんな運命が私をみつめている リルケ
顎を むざんに引っかけられ
逆さに吊りさげられた
うすい膜の中の
くったりした死だ
これは いかなるもののなれの果だ
見なれない手が寄ってきて
切りさいなみ 削りとり
だんだん稀薄になっていく この実在
しまいには うすい膜も切りさられ
もう 鮟鱇はどこにも無い
惨劇は終っている
なんにも残らない廂から
まだ ぶら下がっているのは
大きく曲がった鉄の鉤だけだ
□村野四郎「さんさんたる鮟鱇」(『抽象の城』、宝文館、1954)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【詩歌】村野四郎「無神論」」
「【詩歌】村野四郎「鉄棒(二)」」
「【詩歌】村野四郎「高障害」」
「【詩歌】村野四郎「競争」」
「【詩歌】村野四郎「鉄槌投」」
「【詩歌】村野四郎「拳闘」」
「【詩歌】村野四郎「棒高飛」」
「【詩歌】村野四郎「槍投」」
「【詩歌】村野四郎を読む(4) ~鹿~」
「【詩歌】村野四郎を読む(3) ~さんたんたる鮟鱇~」
「【詩歌】村野四郎を読む(2) ~体操~」
「【詩歌】村野四郎を読む(1) ~飛込(二)~」
顎を むざんに引っかけられ
逆さに吊りさげられた
うすい膜の中の
くったりした死だ
これは いかなるもののなれの果だ
見なれない手が寄ってきて
切りさいなみ 削りとり
だんだん稀薄になっていく この実在
しまいには うすい膜も切りさられ
もう 鮟鱇はどこにも無い
惨劇は終っている
なんにも残らない廂から
まだ ぶら下がっているのは
大きく曲がった鉄の鉤だけだ
□村野四郎「さんさんたる鮟鱇」(『抽象の城』、宝文館、1954)
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【参考】
「【詩歌】村野四郎「無神論」」
「【詩歌】村野四郎「鉄棒(二)」」
「【詩歌】村野四郎「高障害」」
「【詩歌】村野四郎「競争」」
「【詩歌】村野四郎「鉄槌投」」
「【詩歌】村野四郎「拳闘」」
「【詩歌】村野四郎「棒高飛」」
「【詩歌】村野四郎「槍投」」
「【詩歌】村野四郎を読む(4) ~鹿~」
「【詩歌】村野四郎を読む(3) ~さんたんたる鮟鱇~」
「【詩歌】村野四郎を読む(2) ~体操~」
「【詩歌】村野四郎を読む(1) ~飛込(二)~」