語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】J・W・ゲーテ「塔守リュンコイスの歌」 ~『ファウスト』より~

2015年10月18日 | 詩歌
 見るために生まれ、
 見よと命ぜられ、
 塔の番を引き受けていると、
 世の中がおもしろい。
 遠くを見つめると、
 近くに見える、
 月も星も
 森も小鹿も。
 こうして万物の中に
 永遠の飾りを見る。
 そしてそれが俺の気に入るように、
 俺自身もおれの気に入る。
 幸福な両目よ、
 おまえたちがかつて見たものは、
 とにもかくにも
 やはりほんとに美しかった。

 Zum Sehen geboren,
 Zum Schauen bestellt,
 Dem Turme geschworen,
 Gefällt mir die Welt.
 Ich blick' in die Ferne,
 Ich seh' in der Näh'
 Den Mond und die Sterne,
 Den Wald und das Reh.
 So seh' ich in allen.
 Die ewige Zier,
 Und wie mir's gefallen,
 Gefall' ich auch mir.
 Ihr Glücklichen Augen,
 Was je ihr gesehen,
 Es sei wie es wolle,
 Es war doch so schön

□J・W・ゲーテ(高橋健二・訳)『ファウスト』の第二部第五幕「深夜」の章「塔守リュンコイスの歌」
□Johann Wolfgang von Goethe “Lied Lynceus des Turmers” )
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 【参考】
【詩歌】ゲーテ「昔ツウレに王ありき」 ~『ファウスト』より~


【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~

2015年10月18日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)座位時間が長いと出てしまう「貧乏ゆすり」。家族からも同僚からも「みっともない」と言われそうだ。
 しかし、英国の疫学調査によれば、貧乏ゆすりで死亡リスクが下がるという。

 (2)調査対象は、英国の37~78歳(平均年齢55.8歳)の女性、13,000人。
 1日当たりの平均座位時間、貧乏ゆすりの程度、食事や喫煙などの生活習慣、ほか教育程度、就労の有無などライフスタイルに係る情報を入手。
 貧乏ゆすりのレベルは、「全くしない」から「常にする」まで10段階で評価。
 座位時間、貧乏ゆすりの程度、平均12年の追跡期間中の全死亡との関連を調べた。

 (3)関連因子の影響を調整して解析した結果、
  (a)座位時間が5時間未満/日のグループに比べ、7時間以上/日かつ貧乏ゆすりをほとんどしない(レベル1~2)女性の全死亡リスクが1.3に上昇。
  (b)座位時間が7時間以上/日でも貧乏ゆすりをある程度する(レベル3~4)女性の全死亡リスクは0.75に、頻繁に行う(レベル5~10)女性は0.76に減少した。
  (c)座位時間が5~6時間/日かつ貧乏ゆすりを頻繁に行う女性の全死亡リスクは0.63と、有意に減少した。

 (4)「貧乏ゆすりは座りっぱなしに関連する全死亡を減らす可能性がある」【研究者ら】

 (5)近年、座りっぱなしの時間が長いほど2型糖尿病や心血管疾患の発症率が上昇し、全死亡リスクが増加することが知られるようになった。
 昼間はデスクワーク中心、車移動中心で、家でもゴロゴロの現代人にとって、他人事ではない。
 貧乏ゆすりがなぜ、全死亡リスクを下げるのか、そのメカニズムは不明のままだ。
 ただ、塵も積もれば何とやら。貧乏ゆすりのような「ノン・エクササイズ・アクティビティ」も、2.5時間/日の貧乏ゆすりで消費されるカロリーは、1時間/日の散歩に匹敵し、鬱血した血行の改善も期待できる。
 とはいえ、「積極的に貧乏ゆすりをする」わけにはいかない。
 マナーか、健康リスクか。それが問題だ。

□井出ゆきえ(医学ライター)「周囲には悪評でも 貧乏ゆすりが命を救う? ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.2~」(週刊ダイヤモンド」2015年10月24日号)
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 【参考】
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

【政治】先行き暗い石破の旗揚げ ~「単色化」する安倍自民党~ 

2015年10月18日 | 社会
 (1)石破茂は、9月28日、新派閥「水月会」を立ち上げ、3年後の総裁選に臨む意思を示した。
 設立会見には山本有二・元金融相、鴨下一郎・元環境相など石破の側近らを揃えたが、集まったのは20人にとどまった。しかも、盟友の浜田靖一・元防衛相、小此木八郎・国対委員長代理の姿はない。

 (2)「余計なことを言わず、普通にしていれば70人くらいは集まっただろうになあ」
 水月会に集まった人数を訊いた菅義偉・官房長官は半笑いで、番記者たちにこう言った、という。官邸や自民党にとって、石破の“チョンボ”を」挙げたら、最近だけでも枚挙にいとまがないそうだ。
 党内でメディアを威圧する発言が続出していた7月2日、石破は
 「なんか自民党、感じ悪いよね」
という言葉で党執行部を索制した。
 懸案事項であった安保法案が衆議院を通過する2日前の7月14日には、
 「『国民の理解が進んできた』と言い切る自信があまりない」
と官邸・与党全体に向けて弓を引くような発言をしている。
 いずれも国民感情に沿った発言といえるが、官邸や自民党内では、
 「相変わらず空気が読めない男だ」
と呆れる声が続出していた。

 (3)「決定的だったのは1年前の9月」
だとある自民党関係者は述懐する。この時もまた、石破が閣内に入るか無役になって次期総裁を目指して派閥を結成するかが議論になっていた。党本部では怒号が響きわたった、という。
 「絶対に閣僚を引き受けるな。一緒に無役になって、次期総裁に向けて準備をすべきだ」
 石破にこう向けたのが浜田元防衛相だった。安全保障を専門とするが、狭量な安倍官邸チームとは一定の距離を持ち、聞く耳を持つ議員として周囲の評価も高い。
 そんな浜田の懸命の説得にもかかわらず、石破は目の前にぶら下げられた地方創生相のポストにつかまってしまった。
 「浜田が石破を見限る決定的な場面だった」
と見る向きは強い。

 (4)「単色政党になってしまった」と、あるベテラン自民党担当記者は嘆くほど、自民党は安倍カラー一色に染めあがっている。そのベテラン記者は言う。
 「総理大臣や、総理大臣をめざす人間にとって何よりも重要なのは参謀。安倍政権には菅官房長官という強力な参謀がいるから、長期政権になっている。浜田氏や小此木氏は人望もあり、国会対策もできる。参謀になりうる党内でも数少ない議員なのに、その彼らが石破氏を見限ってしまった。水月会が、これから勢力を拡げていく見通しがあるとは思えない」

 (5)次期総裁の最有力候補に挙がるのが岸田派(宏池会)の領袖たる岸田外相だが、安保法制の審議で安倍首相にひと言も苦言を呈さなかった。
 「当面、憲法9条は改正することを考えない」(10月5日、岸田派の研修会)
のだそうだが、そこまで真実味があるのか。

□野中大樹(編集部)「変わり映えせぬ内閣改造、先行き暗い石破氏の旗揚げ 「単色化」する安倍自民党」(「週刊金曜日」2015年10月9日号)
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 【参考】
【政治】不可解な時期に石破派が発足 ~その行方は内閣改造で~