語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次

2015年10月10日 | ●佐藤優
 『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)は、『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』再構成したものであるとされる。では、目次を比較してみよう(まえがきは省く)。

(1)『知の教室 ~教養は最強の武器である~』
第1講座 佐藤優の知的技術のヒント
 佐藤優の“脳力”
 佐藤優の本棚

第2講座 情報を拾う、情報を使う
 僕たちの情報収拾術 【池上彰×佐藤優】
 情報戦を制する世界の常識 【西本正明×佐藤優】

第3講座 知をビジネスに取り込む
 凡人が生き抜く話術7ヵ条
 困難な時こそ読む「聖書」の言葉
 リーダーシップの要諦は『太平記』にあり
 世界史のリーダーたち 【山内昌之×佐藤優】

第4講座 知の幹を作る最低限の読書
 日本の古典に立ち返れ
 ビジネスマンが読むべき30冊 【斎藤美奈子×米光一成×佐藤優】
 宗教を知り、自分を知る
 魂を揺さぶる現代日本文学の収穫
 
第5講座 武器としての教養を考える
 教養は最大の武器である
 ファシズムから何を学べるか--『ムッソリーニ』を読む
 独学者ヒトラーの罠
 「心の書」を持つということ
 21世紀最大の発見「ユダの福音書」

第6講座 佐藤優式・闘い方を学ぶ
 私の駆け出し時代 欧亜局ソヴィエト連邦課
 検察との闘い方、教えます 【堀江貴文×佐藤優】
 知は生きる手段である
 時流にこびない反逆者たち 【鹿島茂×佐藤優】
 世界を相手に闘う方法 【藤原正彦×水木楊×佐藤優】

第7講座 対話のテクニックを磨く
 福島と沖縄から「日本」を考える 【玄侑宗久×佐藤優】
 ホラーマンガから現代を読み解く 【伊藤潤二×佐藤優】
 ローマ滅亡に学ぶ国家の資格 【塩野七生×池内恵×佐藤優】

第8講座 分析力を鍛える
 日中文明の衝突 どうすれば勝てるのか 中西輝政×春名幹男×宮家邦彦×佐藤優】
 対中外交はなぜ失敗するのか 【山内昌之×井上寿一×宮家邦彦×川村雄介×田久保忠衛×佐藤優】

第9講座 分析力ケーススタディ--ロシア読解篇
 ソ連の激動とロシア正教会
 ソ連の解体とロシア正教会
 ユーラシア主義の台頭
 理屈より、本音で生きるロシア人
 死神プーチンの仮面を剥げ
 最強の独死者プーチンの凄腕

第10講座 佐藤優の実践ライブゼミ
 第一部:ロシア情勢と「イスラム国」
 第二部:来場者の質問に答える

 ■佐藤優・知の年表
 ■あとがき
 ■登場者紹介
 ■初出一覧

(2)『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』
 『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』目次はこちら

□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)
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 【参考】
【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
【佐藤優】「学力」の経済学、統計と予言、数学と戦略思考
【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】安倍外交に立ちはだかる壁 ~ロシア~
【佐藤優】正しいのはオバマか、ネタニヤフか ~イランの核問題~
【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【書評】佐藤優『超したたか勉強術』
【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
【佐藤優】恐ろしい本 ~元少年Aの手記『絶歌』~
【佐藤優】集団的自衛権にオーストラリアが出てくる理由 ~日本経済の軍事化~
【佐藤優】ロシアが警戒する日本とウクライナの「接近」 ~あれかこれか~
【佐藤優】【沖縄】知事訪米を機に変わった米国の「安保マフィア」
【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
【佐藤優】米国をとるかロシアをとるか ~日本の「曖昧戦術」~
【佐藤優】エジプトで「死刑の嵐」が吹き荒れている
【佐藤優】エリートには貧困が見えない ~貧困対策は教育~
【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 


【詩歌】村野四郎「塀のむこう」

2015年10月10日 | 詩歌
 さよならあ と手を振り
 すぐそこの塀の角を曲がって
 彼は見えなくなったが
 もう 二度と帰ってくることはあるまい

 塀の向こうに何があるか
 どんな世界がはじまるのか
 それを知っているものは誰もないだろう
 言葉もなければ 要塞もなく
 墓もない
 ぞっとするような その他国の谷間から
 這い上がってきたものなど誰もいない

 地球はそこから
 深あく虧(か)けているのだ

□村野四郎「塀のむこう」(『亡羊記』、政治公論社、1959):第11回読売文学賞
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 【参考】
【詩歌】村野四郎「さんさんたる鮟鱇」
【詩歌】村野四郎「無神論」
【詩歌】村野四郎「鉄棒(二)」
【詩歌】村野四郎「高障害」
【詩歌】村野四郎「競争」
【詩歌】村野四郎「鉄槌投」
【詩歌】村野四郎「拳闘」
【詩歌】村野四郎「棒高飛」
【詩歌】村野四郎「槍投」
【詩歌】村野四郎を読む(4) ~鹿~
【詩歌】村野四郎を読む(3) ~さんたんたる鮟鱇~
【詩歌】村野四郎を読む(2) ~体操~
【詩歌】村野四郎を読む(1) ~飛込(二)~


【五輪】エンブレムの幻 ~多文化主義への無知を露呈したコンセプト~

2015年10月10日 | 批評・思想
 (1)9月1日に白紙撤回が決まった東京五輪【注1】の公式エンブレム。
 ここにいたる一連の騒動については様々な観点から議論されているが、そこは専門家に譲るとして、このエンブレムの図柄が忘却されてしまう前に指摘しておきたいことがある。
 7月24日、エンブレムが華々しく発表された際、
   「このエンブレムがユニークなのは、大胆に黒を使った点。黒はすべての色が集まった色ということで、人々のダイバーシティーを意味している」
と、説明されていた。
 これは、ダイバーシティ(多様性)が重視する立場である多文化主義の歴史に逆行している。

 (2)移民社会米国の社会統合モデルにおいて
   「メルティングポットからサラダボウルへ」
というレトリックの変遷がある。これは多文化主義の歩みを象徴している。
 「メルティングポット」とは、「人種のるつぼ」という言いまわしの「るつぼ」。金属を溶かすのに使う耐熱容器のことだ。様々な人種が混じり合ってひとつの均質な米国人になるというイメージで、20世紀初頭に生まれた。
 だが、1960年代以降、結局はマジョリティであるWASP【注2】に塗りつぶされてしまう同化主義にすぎない、と批判された。
 これに対して新たに登場したのが、「サラダボウル」だ。ひとつのサラダとしてのまとまり、調和はあるが、個々の野菜の味はきちんと残っている、というイメージだ。リベラルな立場から支持された。しかしその後、このような議論ですら、マイノリティに「本質的な文化」を押しつけ、差別による格差の温存につながりかねない、という批判にさらされた。
 そして今、多文化主義の具体的な中身に係るコンセンサスがあるわけではないが、少なくとも「るつぼ」的なイメージがもはや成り立たないのは、ほぼ自明のことになっている。

 (3)エンブレムのコンセプトが、(2)を踏まえて考えているとは考えにくい。
 それだけではない。戦後の日本が、国の政策として多文化主義を導入したことはない。
 それどころか、現在ようやく国会で「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律(案)」が審議されたものの、人種差別はいけない、というコンセンサス=法整備はない。ちなみに、米国では公民権法が1964年に制定された。
 そのような国の、世界的イベントのエンブレムである。ダイバーシティを意味していると説明されても、すぐに納得できるだろうか?
 後づけの、とって付けたような説明なのだとしたら、浅はかで視野が狭すぎやしないか。
 いかなる表現も、置かれた社会的文脈から自由ではない。

 【注1】東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会。
 【注2】ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント(White Anglo-Saxon Protestant)。

□韓東賢(ハン・トンヒョン/日本映画大学教員)「幻の五輪エンブレム 多文化主義への無知露呈したコンセプト」(週刊金曜日」2015年9月18日号)
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 【参考】
【片山善博】【五輪】新国立競技場をめぐるドタバタ ~舛添知事にも落とし穴~
【五輪】工事遅れや費用増大、責任のなすり合い ~新国立競技場~
【五輪】が都民の生活を圧迫する ~汚染市場・アパート立ち退き~
【五輪】公共事業のためか? ~メッセージの発信、新しい試みを~
【原発】放射能の海で「おもてなし」 ~2020年東京五輪~
【原発】東京放射能汚染地帯 ~オリンピック競技候補会場~
【原発】放射能と東京オリンピック招致