語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~

2015年10月02日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)唐辛子を日常的に食べると、
   全死亡率
   癌死
   虚血性心疾患死
のリスクが減るようだ。中国の大規模疫学研究の報告から。

 (2)研究グループは、中国の多様な10地域住民のデータを基に、(a)と(b)の関連を調査。
   (a)香辛料入りの食品の摂取
   (b)全死亡率および疾患別死亡率
 登録時に癌などの既往症がなかった30~79歳の男女487,375人を解析対象とした。
 登録時、参加者は前月に食べた香辛料入りの食品の量を
   ・「全く~ほとんど食べない」
   ・「数日のみ」
   ・「週1~2日」
   ・「週3~5日」
   ・「週6~7日」
から1つ選んで回答。食べた香辛料についても、
   ①「生唐辛子」
   ②「ドライ唐辛子」
   ③「唐辛子ソース」
   ④「唐辛子油」
   ⑤「その他、わからない」
から選択してもらった。ちなみに、もっとも摂取頻度が高いのは、①の8割、ついで②の6割だった。

 (3)唐辛子のほか、学歴や生活習慣、赤身肉や野菜・果物の摂取量、家族の既往など死亡リスクに関わる項目の有無にも回答している。
 2004~13年の追跡期間中、男性11,820人、女性8,404人が死亡した。

 (4)全死亡率を香辛料入りの食品摂取別で単純に比較すると、
   「週1日未満」集団・・・・1,000人当たり6.1人
   「週6~7日」集団・・・・1,000人当たり5.8人
と大きな影響は認められなかった。
 しかし、他のリスク因子の影響を補正して懐石した結果では、男女ともに香辛料入りの食品摂取頻度が高いほど全死亡率が低下し、
   「週6~7日」集団の死亡リスクは「週1日未満」集団より14%も減少
したのである。低減効果は「生唐辛子」で有意に高いことが示された。
 疾患別では、癌死、虚血性心疾患死、呼吸器疾患死リスクが、
   「週1日未満」集団よりも「週6~7日」集団
で有意に低かった。一方、脳卒中や糖尿病に起因する死亡では差が生じなかった。

 (5)唐辛子の辛味成分「カブサイシン」は、サプリメントとして流通しているが、今回の調査で死亡リスク低減効果を認めたのは生唐辛子。
 最近では海外品種も出回っているので、秋口でも「生」が入手できる。食べ過ぎない程度に丸ごとどうぞ。

□井出ゆきえ(医学ライター)「唐辛子で死亡率低下!? ほぼ毎日の摂取で14%減 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.267~」(週刊ダイヤモンド」2015年10月3日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

【堤未果】情報漏洩・巨大利権など不安材料が多数 ~マイナンバー~

2015年10月02日 | 社会
 (1)2015年10月から日本国民一人ひとりに個人番号が付けられる。
 2016年から運用が始まる「マイナンバー制度」は、行政サービスや税金の手続き、災害時の情報共有が簡単になるという触れ込みに加え、生活保護不正受給対策としてのねらいもある、という。
 いずれ個人の資産情報とも連動させ、納税漏れ防止に使う方針だとされる。
 国民は、これから確定申告、年金、雇用保険、医療保険などの手続きや、各種福祉の給付申告の際、マイナンバーの記載を求められることになる。

 (2)マイナンバー制度は、現時点で、たくさんの懸念が指摘されている。
 最大の問題は、セキュリティだ。
 <例>日本医師会は、2020年までにマイナンバー・カードの利用範囲を個人の医療情報にも拡大し、健康保険証としても使えるしくみを導入する・・・・という方針(政府が今年5月の産業競争力会議で打ち出した)に疑問を呈している。病歴、障害の有無、通院履歴、医薬品の購買履歴などは、漏洩すれば就職、住宅ローン、保険加入の可否を左右する上、差別の温床となるリスクを高めるからだ。

 (3)推進派は、「マイナンバー制度は諸外国では常識、日本は著しく遅れている」と主張するが、導入国では様々な問題が頻発している。
  (a)米国・・・・日本のマイナンバーにあたる社会保障番号制度を1936年以降導入している。不法移民や家族間でのなりすまし被害や、カードの不正売買が後を絶たない。
  (b)韓国・・・・住民登録番号制度を持つ。中国からのハッキングにより、国民の7割の個人情報が流出、クレジットカード不正利用被害が20万件を超えた。

 (4)日本政府は、来年4月の消費税増税に伴い、購入時に個人番号を提示すれば、食料品に2%の税を還付することを提案。
 こうすれば、3,000億円をかけて作る天下りセンター(「軽減ポイント蓄積センター」)に購買履歴が記録され、後で払い戻されるというわけだ。
 個人情報がつまった大事なカードを持ち歩く際のリスクについては、番号を見られないように、総務省が国民に、一部目隠し型のカードケースをもれなく配布する、という。
 厚労省の年金情報流出問題が表沙汰になって間もない今、国民の不安払拭対策がこれならば、嗤うしかない。

 (5)カード自体を作りたくない国民に選択肢はあるのか。
 番号自体はふられるものの、自治体から送られてくる個人番号カード自体は受け取り拒否が可能だ。その場合、カードは発送元の役所で一定期間を経て廃棄される。カードを持つ人が少なければ、制度自体が機能しなくなる可能性もある。
 だが、政府はすでに先手を打ち、来年4月から5億4,000万円の税金を投入し、国家公務員の身分証明書とマイナンバーの連動を義務化する。

 (6)1983年に「納税者番号制度」を撤回した自民党は、今回は同制度の市場価値に熱い視線を注ぐ経済界の期待に応える気が満々なのは明らかだ。
 システム構築の初期費用は2,700億円。
 導入後の維持費用が年間数百億円。
 民間企業やセキュリティ業界など、マイナンバー制度は官民合わせて3兆円という巨大な規模の市場が見込まれている。
 世論の目が安保法制一本に向けられている今、
   国民がこの制度の重要性と矛盾に気づいて声をあげるのが先か、
   政府が外堀を埋め、マイナンバーがなければ生きづらい社会環境が整備されるのが先か。

□堤未果「情報漏えいや巨大利権--不安材料が多すぎるマイナンバー制度の闇 ~ジャーナリストの目 第268回~」(「週刊現代」2015年10月10日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【堤未果】大衆を好戦ムードへ向かわせたマスコミの大罪
【堤未果】【ギリシャ】緊縮財政なのに軍事予算を削減できない理由
【堤未果】地方の介護現場を完全に無視 ~高齢者の「移住」提言~
【堤未果】本当に患者のためか疑問 ~国民健康保険法の改正~
【堤未果】サービス残業は絶対なくならない ~残業代ゼロ法案~
【堤未果】医師不足に拍車をかける国家戦略特区
【堤未果】「イスラム国」掃討と膨れあがる米の軍事費 ~いつか来た道~
【堤未果】格差大国アメリカの後を追う日本 ~金融緩和と年金改革~
【堤未果】米国社会の変質 ~ミズーリ州の武装警察~
【米国】国民皆保険という美名の裏で大増税開始 ~オバマケア~
【食】中国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に
【堤未果】「水道の民営化」が招く社会インフラ大崩壊 ~価格高騰に水質低下~
【堤未果】「社会保障のための増税」のウソ ~来るべき医療崩壊~
【堤未果】世界が危惧する日本のジャーナリズム ~「監視大国」米国以下~
【堤未果】アベノミクスと米国経済の危うい共通点
【食】中国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に
【政治】国家戦略特区法の危険性
【米国】と日本における民営化の悲惨 ~株式会社化する国家~  


【詩歌】村野四郎「槍投」

2015年10月02日 | 詩歌
 あなたの狙うのは何です
 新しい原始の人よ
 ふるえながら光は飛んだ
 その方向で
 突然おそろしい喚(わめ)きごえ
 ごらん
 背中に槍をたてられ
 一瞬にげのびようと蹌(よろめ)くもの
 しかし それも
 じき静かになる

□村野四郎「槍投」(『体操詩集』、1959)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【詩歌】村野四郎を読む(4) ~鹿~
【詩歌】村野四郎を読む(3) ~さんたんたる鮟鱇~
【詩歌】村野四郎を読む(2) ~体操~
【詩歌】村野四郎を読む(1) ~飛込(二)~