新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

止められない暴力

2008年02月28日 06時37分18秒 | 身辺雑記

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枯れ草の中にタンポポ 2008年2月20日

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ヒッツキ虫は健在  2008年2月20日

 先日は見事な春一番であった。すぐその後に、強い北風を引きつれ て吹きまくった。

 そのせいか、今日はまだ肌寒さが残っている。

 今日の写真は、2月20日のタンポポとヒッツキ虫。

 記事とは関係がないので、念のため。

 高校時代からの親しい友人に、K君がいた。

 学部は違っていたが同じ大学に入り、お互いに親友だと思っていた。

 どれほど彼の世話になったか、数えればきりがない。

 きっと私も、彼の役に立ったことがあったに違いないが、ギブアンドテイクを計算していたわけではなかったので、プラスマイナスの評価はできない。

 彼の結婚は、私よりもずっと早かった。

 結婚の相手は、料理屋の女将代理をしていたS子さんで、いかにも玄人風の美人であった。その小料理屋は花街の一角にあって、二次会風の客で盛っていた。

 S子さんはもともと花街育ちではなく、下町育ちの勝ち気な娘さんであった。

 大学を卒業して製紙会社に入社したK君が、その会社でS子さんと知り合ったのだ。

 ところがS子さんは、会社員のまま過ごせる女性ではなかった。

 叔母さんが小料理屋をしていたから、早々に女将代理にスカウトされてしまった。

 そのような環境下での恋愛だったため、結婚問題ははかばかしく進展しなかった。私もK君に駆り出され、S子さんの家に談判に行ったことがあった。

 それからさまざまな紆余曲折をたどったが、一年ほどの後、二人は結婚式を挙げた。

 結婚を許された際の条件は、S子さんが女将代理を続けることだった。

 当初はアツアツだった新婚生活も、一年を過ぎるころから暗雲がたれ込め始めた。S子さんの行動に疑問を抱き、K君が焼きもちを妬き始めたのだ。

 花街の小料理屋なので、疑い始めればきりがなく、ギリギリの話、疑うか信じるかにかかってしまう。

 そんな雰囲気の中で、K君の暴力沙汰が始まった。

 K君の話を聞けば彼の言っていることは理解できたし、S子さんに聞けば彼女の話も理解できた。

 浮気をしているか、それとも噂に過ぎないかなど、当事者の気持ちの中の話で、いくら親友と言えども、私には踏み込めるものではなかった。

 ある深夜、S子さんから、野球のバットを振り回して暴れた証拠として、痣などを見せられた。暴力をふるったとなれば、K君の非は明らかだ。浮気をしたかどうかの問題を越えてしまう。

「このままでは私は殺されます。別れさせて下さい」、とS子さんに泣いて頼まれた。私としても、K君を説得するしかなかった。

 明るい気だての綺麗な人だったが、K君には縁が薄かったようだ。

 離婚話はスムーズに進んだ。

 K君はその折りの私の動きが、きっと気に障っていたかもしれない。

 数年して、K君は再婚をした。

 再婚と同時に、K君は損害保険の代理店を始めた。高度成長期にさしかかっていたので、業務は順調に拡大して行ったらしい。

 男の子が三人うまれ、家庭も円満に行っているはずだった。

 ある日の深夜、K君の奥さんから電話があった。暴力に耐えられないので、別れたいとの話であった。

 夜中にすっ飛んで行った私が見たものは、奥さんの痛々しい傷だった。

 またもや、彼の暴力が始まったのだ。

 しかし今度は、スムーズに別れ話はまとまらない。奥さんが逡巡したのだ。その後の生活に不安があったようだ。

「今この人と別れては、子供を育てられません」 

 奥さんの逡巡の理由だった。

 K君の暴力が問題なのだ。暴力をふるわなければいいのだが、彼は改めることが出来なかった。

 私との話では納得する。絶対に暴力はふるわない、と彼は幾度も私に誓った。

 しかし、その誓いは空しかった。

 もう私の出番はなかった。あとは夫婦の問題と思わざるをえない。

 かつての親友も、いつの間にか遠い存在となっていた。

 K君の暴力に脅えながら、奥さんは最後の決断が出来ずにいた。

 離婚に踏み切れなかった奥さんの真意は、とうとう分からずじまいだった。

 夫婦とは、そんなものかもしれない。

 K君一家のその後を、私は知らない。

 今日は早朝から外出。

 

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コメント (11)
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