新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

残念なり、人違い!

2008年02月20日 08時02分53秒 | 身辺雑記

 

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待ちわびの紅梅(4)  2008年2月15日

 2月15日撮影の紅梅。もうかなり咲いているはずなので、早い内に行ってきたい。

 

 仕事場の帰り、東京駅前のブックセンターに寄り道をした。

 目当ての本を買い求め、二階にある珈琲ショップで一休み。休みというより、少しでも早く本を読みたい気分だったのだ。私にはそんな癖がある。とにかく早く読みたい。

 本を眺めながら二十分ほど休憩し、気合いを入れ直して重い腰をあげた。

 階段を降りきったところで、女性に声をかけられた。

「あらっ、お久しぶり!」

 茶系のコートを身につけ、四十歳ちょっとくらいの男好きのする顔が、満面の笑み。

「………?」

 とっさに私は身構えた。知らない女性だ。いかに美人相手でも、顔見知りでなければ、話の接ぎ穂も作れない

「冷たいわァ、もうお忘れですか!」

 ひどく馴れ馴れしいところ、一見して水商売。咎め立てをしている気配で私を見つめる。ぎくっ!

「………?」 

 人慣れしているはずの私でも、とっさには返す言葉が出ない。

「十一月、お店にお出で下さったではありませんか!」

「十一月ですって……?」

「沼川さんとお出で頂いたでしょ!」

 怪訝そうな顔をしながら、女性は名刺を出した。

「荒木町の『かほり』ですよォ!」

 たしかに名刺は、新宿・荒木町のスナック『かほり』のママとなっている。

「申し訳ありませんが、沼川さんって方、私は存じあげておりません。残念ながら人違いですよ!」

「▲□さんではないのですか?」

「いいえ、違います。私は▲□ではありません。人違いです!」

 せっかくの美人だが、私としてはそのように言わざるをえない。▲□さんを演じ通すことはできない。

 一瞬、女性の顔が朱に染まった。

「ご免なさい、ご免なさい。てっきり▲□さんと思い込んでしまい……」

 女性はひとしきり詫びてから、逃げるように去って行った。

「惜しかったな」

 女性を見送った私の胸中である。

 あれほどドギマギしたのに、あとで残念がっているのだから、我ながら情けない男。

 

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コメント (12)
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