ドングリが沢山落ちていた。
あまり美しい落ち方ではないが、これも一つの現実だから仕方がない。
どんぐりの堕ちてしみじみ孤独なり ひよどり 一平
(どんぐりのおちてしみじみこどくなり)
ドングリが沢山落ちていた。
あまり美しい落ち方ではないが、これも一つの現実だから仕方がない。
どんぐりの堕ちてしみじみ孤独なり ひよどり 一平
(どんぐりのおちてしみじみこどくなり)
内科検診の結果、さほどの問題はなかった。
医師が、「次の目標は米寿ですね」と、明るい口調で言った。
「………………?」 私は口籠もった。
現在84歳の私に対し、「88歳を目標にして頑張りましょう」では、少し低過ぎないかと思った。せめて、「次は90代を目指しましょう!」のほうが、気合い的には乗りやすい。医師も気付いたらしく、「当分のところ、問題は全くなしです」と言い替えてお茶を濁した。
実のところ、私にとってはそんなことはどうでも良くて、「現在、重大な疾患を抱えていないか?」、ということが肝腎だったのだ。
「ここのところの1,2ヶ月の間、あなたの胃袋に癌の心配はなさそうです」という結果があれば、それで十分だ。
さしむきの目処は百歳新松子 ひよどり 一平
(さしむきのめどはひゃくさいしんちぢり)
「百歳が目標だよ~」という句だが、自信もないし、百歳まで生きたいと思っているわけでもない。
それよりも、脳の劣化や老化のほうが心配だ。先頃、「大切な気遣い」の劣化に気付き、愕然としている。思案中だ。
以前の私に、そんなことは無かったように思っているが、どうだろうか。
加齢と共に、ゴルフの機会が激減した。
「ナントカ会コンペ」とかの場合でない限り、滅多なことではコースには出ない。
近々、そんな類いのコンペがある。
同行者に迷惑を掛けたくないので、ここ数日、練習場へ出かけている。
金木犀の香りが微かに漂う中、なんとなく、ポコン、ポコンと球を弾いている。
こんなことで上達するはずはない。「練習している」という気休めだ。
木犀やゴルフボールを弾く音 ひよどり 一平
(もくせいやごるふぼーるをはじくおと)
私はコスモスの花が好きだ。
「好きな花は?」と問われたら、必ず五指には入れたい。
コスモスにまつわる思い出もある。忘れ難い思い出なのだが、人には言いたくない。
コスモスに風ある日なり人遠し ひよどり 一平
(こすもすにかぜあるひなりひととおし)
私のとんぼは偉いヤツだった。
30年も前から、片思いのまま恋い続けていたというのだから、気が長いというか、しつこいというか。いずれにしても、偉いヤツではないか。
人恋ひの燃ゆる火柱まんじゅしゃげ ひよどり 一平
(ひとこいのもゆるひばしらまんじゅしゃげ)
やっと思いが届いたと思ったとたん、見事に失恋。一体全体、どうなってんだ!!
しょんぼりと羽根を伏せいて、見るも無惨なとんぼ。不運なとんぼ。
眠れないばかりか、食欲が落ちた上に、血圧が高いというのだから困ったものだ。
しかも、好きなカラオケを止めるというのだから、情けないったらありゃしない。
果たして復活できるかって?そうねえ、なにしろ高齢だからな~~
とんぼうやわが悲しみとともにあり ひよどり 一平
(とんぼうやわが悲しみとともにあり)