宮崎市で、悲惨な交通事故が起きた。
高齢者(73歳)が運転する軽乗用車が、歩道に進入して700メートルほど暴走し、7人が死傷した。
ドキンとした。
ニュースの続報によれば、運転者は認知症を患っていて、事故の2日前に退院したばかりとか。
この運転者よりも遥かに年上の私としては、とてもショッキングなニュースだった。
そんなに心配なら、いっそのこと免許証を返上したら?
しかしながら、単純にそうも行かないのです。
屈託の虫を抱へし夜長かな ひよどり 一平
宮崎市で、悲惨な交通事故が起きた。
高齢者(73歳)が運転する軽乗用車が、歩道に進入して700メートルほど暴走し、7人が死傷した。
ドキンとした。
ニュースの続報によれば、運転者は認知症を患っていて、事故の2日前に退院したばかりとか。
この運転者よりも遥かに年上の私としては、とてもショッキングなニュースだった。
そんなに心配なら、いっそのこと免許証を返上したら?
しかしながら、単純にそうも行かないのです。
屈託の虫を抱へし夜長かな ひよどり 一平
この頃、故郷が遠くなってしまった。
東日本大地震の前までは、茨城県北部や福島県南部には車を跳ばしていた。
墓参や写真撮影のためだった。兄弟たちにも逢いたかった。
あの大地震で気持ちが萎えたのだろうか。
福島県だから恐いわけではなく、茨城県だから敬遠しているのでもない。と、私は思っている。
あの地震の夜、私は帰宅難民となり、東京駅で一夜を過ごした。
もちろん、被害に遭われた人々に比べれば、私の苦労などは極々微細なものだ。災害とは言えない。
しかしその後の行動範囲は狭くなってしまった。
私の写真フィールドは、裏磐梯、奥日光、茨城北部などだったのだが、あの時以来、足が向かなくなってしまった。
写真撮影自体から遠ざかってしまったのだ。
福島県南部や茨城県北部は父母の故郷だ。茨城県北部は私の生まれ在所なのだ。墓参りにも行かなくなっていた。
災害と私の加齢や病気とが重なり、すっかり出不精になってしまったのだ。まったく情けないことだ。
幸いにも今のところ、病気と病気の間にいる。次の病気までのハザマを使って、行動範囲を元に戻したいと思っている。
写真にも力を入れようと思っているし、出来るならばゴルフにも精を出したい。
恋人にも逢いたい。(これは妄想で、ちょっと言ってみたかっただけ)
父祖の地の日毎に疎し竹の春 ひよどり
竹は春に繁殖し、竹の子に養分を廻してしまう。だから親竹は衰えて黄葉したり落葉する。つまり「竹の秋」。
秋になれば竹の子も生長し、親竹も元気を取り戻して枝葉も青々となってくる。つまり「竹の春」だ。
孫姫たちは帰った。ここ数日、我が家にも静寂が戻ってきた。
今朝は雨もよい。傘とカメラを持って散歩に出た。
カメラを持つと、自ずと足が動く。いつの間にか8000歩ほど歩いていた。心地よい朝であった。
上掲の写真は、電柱の根元に生えているエノコログサ。またの名を猫じゃらし。
私はこの草が好きで、よく撮っている。
寄るな寄るなくすぐったいぞ猫じゃらし ひよどり 一平
「秋茄子は嫁に食わすな」
昔はそんなことを言ったのだそうだ。
意味は三つ。
① 秋茄子は柔らかくて美味しい。勿体ないから嫁には食べさせるな。つまり嫁いびりの意地悪な言い方。
② 秋茄子を食べると冷える。だから嫁には食べさせないほうがいい。嫁の健康に気遣った言い方だが、とってつけたようで不自然。
③ 秋茄子の種は小さい。子供が生まれないと困るから食べさせないほうがいい。②と同じような意味合いで、日本古来の文化には合わない。
やはり、①の理由だったと思うのが順当かも知れませんね。
早あさげ嫁共々に秋の茄子 ひよどり 一平
明日のことは明日になってみなければ分からない。
が、しかし、できるだけ歩こうと思っている。
明日は8月最後の日。
9月に入ればすぐに誕生日。いやも応もなく81歳だ。
男にとって、煩悩は生きている証し。
灰になるまで燻っているに違いない。燻り続けなければ生きている甲斐がない。
「嫋やかな裾捌きに風を感じるなんぞ、実はもってのほかであり論外の沙汰ぞ!」
しかし、それがまた煩悩たる所以なのですから、是非ともお許しを願いたい。
裾風に煩悩あらた秋暑し ひよどり 一平
昭和20年8月15日の玉音放送の時は、男も女も泣いた。
男のほうが、激しく泣いたように記憶している。
女も泣いたが、控え目だった。
子供だった私たちも泣いた。大人につられて泣いたのだ。子供たちは、深刻に考えていたわけではなかった。
一般的に、男は泣かないものとされている。泣けば、「女々しい」などと言われた。
やはり涙は女の特権だ。美徳とすら思えることもある。つまり、男の心をくすぐるのだなァ。
もちろん、泣き方にも形があるのかもしれぬ。
ちなみに私は、残念なことだが、女の涙によってくすぐられたことはない。
底紅や泣かぬ女の泣きぼくろ ひよどり