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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算331回目)でのスピーチ/3・8国際女性デーに寄せて~ジェンダーと原発

2019-03-29 22:42:57 | 原発問題/一般
 皆さんお疲れさまです。

 1月は行く、2月は逃げる、3月は去るの言葉通り、今年も早くも4分の1が終わろうとしています。2018年度の金曜行動も今日が最後になりました。実はおととい、「シアターキノ」で「福島は語る」を見てきたのですが、その話は来週以降にするとして、今日は、3月中にお話ししておかないと賞味期限切れになりそうなテーマを取り上げます。それは「ジェンダーと原発」というお話です。

 少し前になりますが、3月8日は国際女性デーでした。ジェンダーや女性の人権問題を考える集会などが世界各地で開かれますが、今年、私が注目したのは3月9日付け「北海道新聞」の記事です。「女性管理職割合、道は43位 課長級以上6.1% 内閣府調査」という見出しで、北海道庁職員の課長級以上に占める女性の比率が全国43位であることを伝えました。47都道府県中の43位ですから、下から5番目ということです。女性知事がいながら情けない数字と思います。しかしそれ以上に私が気になったのは45位に福島がランクインしていたことです。下から数えて3番目、しかもその比率はわずかに5.6%に過ぎません。

 私は、福島がワースト3位、北海道がワースト5位という結果を見て、ひょっとして原発の建っている地域と女性の地位の低い地域には何らかの関係があるのではないかと思いました。ネット上にそうした資料が載っていないか調べましたが残念ながら載っていません。そこで、ないなら自分で作ってしまえ、と思い作ってみました。それが今日、皆さんのお手元にお配りした資料です。その資料を見ながら聞いてください。



 資料は、内閣府男女共同参画室が毎年公表している「女性の政治参加マップ」の2018年最新版です。知事、政令指定都市の市長、市区町村長、つまり自治体の公職トップや、都道府県議会、政令指定都市の議会、市区町村議会の議長、つまり議会のトップに女性がどれだけいるかが示されています。また、市区町村議会における女性議員の比率に応じて47都道府県が色分けされています。黄色が濃いほど女性議員の比率が高く、白くなるほど比率が低いという形で示されています。

 私が今回、行った作業は簡単なもので、この地図上で、原発のある道県に原子力マークをプロットしていく、ただそれだけですが、作業を終えたとき、あまりに結果が明瞭すぎてめまいがするほどでした。もう一度資料を見てください。原発があるのは北海道、青森県、宮城県、福島県、新潟県、石川県、福井県、茨城県、静岡県、島根県、愛媛県、佐賀県、鹿児島県で、全部で13道県。一方、市区町村議会における女性議員の比率が白、つまり「5%以上10%未満」は21県あります。驚くのはこのうち9県が重なっていることです。原発のある道と県が13しかないのに、そのうち9つが女性議員の比率が最も低い県と重なっているのです。これは偶然でしょうか? そんなことはありません。偶然にしては重なりすぎです。

 もうひとつ重要な事実を指摘しておきましょう。市区町村議会における女性議員の比率が最も低い「白」の県のうち、自治体トップにも議会のトップにも女性がひとりもいない県が秋田、岩手、福島、石川、島根、香川、大分、佐賀、長崎、熊本の10県あります。東北と九州に集中しているのは象徴的ですが、なんとこの10県のうち4県が原発立地県と重なっているという驚くべき結果が出たのです。福島がその1つであるという事実も見逃せません。女性の議員はほとんどおらず、自治体トップにも議会トップにも女性がひとりもいない県で原発事故は起きたのです。

 一方、1986年にチェルノブイリ原発事故が起きたウクライナでは、最高会議議長だったシェフチェンコさんという女性が避難の実施を強く主張しました。1986年5月7日、ウクライナ共和国政府で開かれた「子どもたちの疎開に関する検討会」で、国家水文気象委員会のイズラエリ議長とモスクワから送り込まれた「御用学者」が「避難の必要はない」と主張したのに対し、チェフチェンコさんは「同志イズラエリ、もしキエフにあなたの子どもや孫がいたら、あなたはどうしますか。同じように何もせず、この町で暮らせますか」と主張し1歩も譲りませんでした。

 この会議から2日後、ウクライナ共和国政府は子どもたちを避難させるという重大な決定をしました。事故から約2週間後の5月9日、奇しくもその日は旧ソ連にとって最も重要な祝日である「対独戦勝記念日」でした。ナチスドイツが連合国に降伏したのは1945年5月8日深夜ですが、ヨーロッパよりも東に位置するモスクワで、市民がナチスドイツ降伏の事実を知ったときにはすでに日付が変わっていたのです。ロシアでは今でも戦勝記念日のパレードは5月9日に行われています。

 話を元に戻しましょう。女性議員の比率が少ない県に原発が集中しているということ、女性議員の比率が最低で、女性の自治体トップも議会トップもひとりもいない福島で原発事故が起きたこと、ウクライナで、人口300万人の首都キエフから25万人もの子どもたちを避難させるよう強く迫り、実現させた最高会議議長が女性であったことを皆さんはどう考えますか? 政治の場、それも重要な決定ができる責任ある役職に女性を増やしていくことが、経済、「カネ」優先から「命」優先に政治を変えていく上で重要であるという事実を示しているように思います。高橋はるみ知事のような「名誉男性」ではなく、命を大切にしたいと願う普通の女性の普通の感覚を政治の場に送り届ける。そんな女性を権限と責任ある仕事に積極的に登用していくことが、原発をなくしていく上でも最も重要だと思います。

 さて、来週は、泊村で海水温を測定する活動を続ける斉藤武一さんのお話を聞いての感想、またおととい見た「福島は語る」の感想などを述べたいと思います。

注)ウクライナ・キエフでの子どもの避難については、「原発廃止で世代責任を果たす〜放射能汚染は害毒 原発輸出は恥~」(篠原孝・著、創森社、2012年)を参考にしました。

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