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福島はこんなことでいいのだろうか? ~県議選結果に見る「政経東北」誌の懸念

2015-12-10 23:28:00 | 原発問題/一般
揺らぎ始めた第二原発廃炉(月刊「政経東北」12月号「巻頭言」)

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 再稼働のブレーキ役となるのは、原発事故で実際に被害を受けた県民となるわけだが、その県民の関心も年月が経つにつれて薄れつつある。

 11月15日、県議選の投開票が行われたが「原発廃炉」はすべての候補に共通した意見のため、選挙の争点にならなかった。とりわけその傾向が強かったのがいわき市選挙区で、脱原発団体の世話人を務める候補者ですら、選挙告示日直後の第一声ではまずコメ農家の窮状について話したほどだ。

 ただ、次頁からの富岡町関連の記事で触れている通り、楢葉町の避難指示区域が解除となり、富岡町でも解除されることになれば、今後、第二原発再稼働の話が浮上するのは間違いない。

 不安なのは、県議選で争点にならなかったのをいいことに、「第二原発再稼働について県民からの異論はないようだ」と国や東電に拡大解釈されることだ。そうならないためにも、県を挙げて第二原発廃炉を主張し続けていく必要があろう。
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11月15日の福島県議選は、覚悟していたとはいえ惨憺たる結果に終わった。自民が過半数に2議席及ばず、改選前より後退したかに思われたが、保守系無所属(55年体制時代の用語でいうところの「隠れ自民」)を4人追加公認し、終わってみれば単独過半数を回復。原発事故で未曾有の被害を受けた福島で、なぜ原発推進の自民が改選前より前進するのか、当ブログには皆目理解できない。「政経東北」誌が、12月号の社説に当たる「巻頭言」で疑問を呈したのも当然のことであろう。

原発事故風化が選挙結果に特に顕著に表れたのがいわき市選挙区だった、とする同誌の見解には当ブログも同意する。引用した記事中の「脱原発団体の世話人を務める候補者」とは、福島原発告訴団の副団長を務める佐藤和良・前いわき市議のことだ。当ブログ管理人も告訴人のひとりとして、親しくはないが1~2度お目にかかったことがある。

いわき市議を任期中で退職して、背水の陣で選挙に臨んだ佐藤さんも結局、落選した。最下位当選者との間で激しく争った末の「最高位落選」。よく戦ったとは言え負けは負けだ。おまけに、佐藤さんを僅差で破って最下位で初当選したのは坂本竜太郎氏。いわきを地盤とし、自民党の原発推進派議員連盟「電力安定供給推進議員連盟」の副会長を事故後も変わらず務める坂本剛二前衆院議員(参考記事:政経東北2014年3月号)の長男だ。しかも、酒気帯び運転での逮捕歴まである。佐藤さんの敗戦の事実そのものももちろん悔しいが、福島原発告訴団の副団長を務める佐藤さんほどの人物が、「原発事故の被害を受けた福島で、事故後も原発推進派議員連盟の副会長を変わらず続けるような人物の息子で逮捕歴あり」という、文字通り究極のクズ候補に負けたという事実にやりきれない思いがする。1年前の衆院総選挙でようやく坂本剛二氏を落選に追い込むことができ、やれやれと思っていたのにこれでは元の木阿弥だ。

「福島県内全原発廃炉は県民の総意。今さら賛成か反対かと問うこと自体がおかしく、選挙で争点にならなくても問題ない」と多くの福島県民が考えているなら、重大な政治的誤りだと当ブログは警告しなければならない。当ブログの主張が理解できない人は、昨年の総選挙の結果、何が起こったか見てみればいい。「勝ったことで自分たちの主張がすべて支持され、白紙委任された」として、安倍自民政権も橋下維新もやりたい放題ではないか。「反対と言わない者は同意」と考え、これからも彼らは「自分のやりたいこと」を勝手にどんどん進めてくるだろう。

福島県内の状況がどうあれ、「安全が確認された原発は再稼働する」と宣言した自民党を勝たせた以上、彼らはいずれかの段階で必ず「俺たちを選んだのはお前らだ。再稼働を受け入れろ」と言い出すに決まっている。高木復興相はそのような「議会制民主主義」の原理を正直に説明しただけのことだ。

やはり、まともに県の将来を考え憂えていた人ほど、避難して県を去ってしまったに違いない。避難者がせめて、もっといわき市に残っていてくれればこんな結果にならなかったのではないかと思うと、やはりやりきれない。

すでに過去ログでも述べているとおり、当ブログは「富者も貧者も平等に1票」のいわゆる「自由選挙」はすでに歴史的使命を終えたと思っている。何度でも繰り返すが、そもそもロシア革命という人類史に残る偉業を成し遂げたレーニン率いるロシア社会民主労働党(後のロシア共産党)ですら、革命後の1918年に実施された制憲議会選挙で第2党にとどまった。第1党になったのは、帝政打倒後の2月臨時政府を支えた改良主義政党、社会革命党であった。「自由選挙」が最も優れた選挙制度かどうかは、すでにこのときに決着がついている。自由選挙とは、リベラル派、市民派を勝たせないための装置であり、特に日本では保守政党を永遠に権力に就け続けるための装置に過ぎない。当ブログのこの主張が信じられない人は、表面上は「平等」に見え、多数派である貧者に有利そうなこのシステムを、なぜ自民党と財界がこれほど有り難がり、この制度にしがみついているのか考えてみるといい。その答えはこの制度が彼らにとって「有利でおいしい」からだ。

私たち市民派、リベラル派は、このような馬鹿げた制度はさっさと廃棄し、よりよい制度を目指すべきなのである。たとえ一時的に市民派、リベラル派が勝利することがあったとしても、この制度で貧困層に利益がもたらされることなどあり得ないと当ブログは断言できる。可及的速やかに、日本は「自由選挙」をやめ、社会主義国家でかつて行われていたような「労働者代表のみに立候補者を限定」した選挙制度に移行すべきと考える。

このようなことを主張すると、「それでは労働者代表と認定されなかった人に対する立候補権の侵害」だというつまらない反論が返ってきそうだが、現状でも世界的に類例のないバカ高い供託金のせいで貧困層には初めから立候補の道が閉ざされている。これを仮に「労働者階級しか立候補できない選挙制度」に変えたとしても、現在の「ある層に対する立候補権の侵害」が、別のある層に対する立候補権の侵害に変わるだけであり、現状より後退することはない。少なくとも、(富裕層よりは)社会の多数派を占める貧困層が自由に立候補できるようになれば、それだけでも社会は私たちの望む方向へ、大きく変わるだろう。

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