えーっと・・・カラー画面での入力・編集がどうもうまくいかないので、ここからは通常画面に切り替えました(汗)。
**************** 単行本の帯より ***************
「もう一度、あの場所に立ちたいんだ」
キーパー経験者のオッサがサッカー部に加入した。が、つまらない
ミスの連続で、チームメイトに不満が募る。14歳、中学2年生の
少年たちは迷いの中にいる。
心を揺さぶる、挫折からの再生の物語―。
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オッサが植え付けられた恐怖感と彼が味わった挫折感は、中学2年生が抱える悩み・苦しみにしてはちょっと重すぎる、陰湿過ぎるかなとも思いました(最近の学校ではこんなことがよくあるのかもですが・・・)。しかし、県大会出場をかけて絶対に負けられない試合で先発GKの哲也がよもやのレッドカードで一発退場のピンチをむかえる。急きょ交替出場のオッサは果たして敵のエースストライカーが放つ強烈なフリーキックを防ぐことができるのか?苦悩が深かった分、オッサの復活シーンがより感動的になったと思います。
GKとして再びつかんだ自信。チームでただ一人違う色のユニフォームに身を包み、一番後ろでゴールを死守する、その孤独感。その一方で感じる仲間からの信頼感、仲間との一体感。仲間の背中を見て鼓舞し続け、祈りをこめてボールをフィードする、その喜び。
これらが実によく描かれていました。
感想を書けずじまいだった前2作ですが、手元ノートのメモから少し書き出してみると、
「再会のグラウンド」 ★★★★☆:85~90点
(少年)サッカー小説には「龍時」を上回るものはない、出てこないと
思っていたが、それに匹敵する作品が出てきた!
何とみずみずしい青春スポーツ小説。
として、小学生と大人(コーチや親)の両方が描かれていた。
子供の読者にとって大人のシーン・会話はピンとこなかったりする
かもしれないが、大人の読者にとっては両方があってより味わい
深いものになったと思う。人によっては、その描き方・立ち位置が
やや中途半端というかもしれないが、一生楽しめるスポーツとして
のサッカーの魅力がよく描かれていてveryg ood !
主人公の遼介と共にチームメートもきちんと描かれていた。
強豪クラブチーム「キッカーズ」との試合が感動的。
小2のときに夜逃げ同然のようにして転校した鮫島琢磨との再会。
何と彼はサッカーを続けていたのだ!
彼のチームと試合をするために打倒キッカーズを誓い、必死の
プレーを続けるその心意気や良し!
「13歳 雨上がりのグラウンド」 ★★★★’ :75点
実はこの作品については、”前作の初々しさには及ばず”として、
他に感想メモが残っていませんでした。
これは感じ方だけの問題だと思うのですが、はらだみずきさん、
スミマセン(汗)。
そして今回の「14歳 蝉時雨のグラウンド」です。第1作で感じたあの瑞々しさ、ゲームでの興奮が蘇ってきました。とくに私が好きだったのは以下のようなシーンです。
サッカー部の女子部員でもある蜂谷麻奈(1年生)が、青葉市の女子サッカークラブで練習しているところを見てみんなが応援するシーン。
「麻奈、ナイスプレーだ!」
「いいぞ、ハチヤ!」
「ハチ、行け!」
「エイトー、がんばれー!」
ボールがラインを割ってスローインになると、麻奈は振り返り、
男子サッカー部員が応援に来ているのに気がついた。
顔がぱっと明るくなって、照れくさそうに笑った。
キッカーズとの再戦。0-3とリードされた後半、それまでの4-4-2から小暮の指示で初めて4-3-3の攻撃的フォーメーションを試す。そして、遼介が囮となって輝志(1年生)のシュートで1点を返したシーン。
恐れを知らない一年生は、そのまま両手を開いて旋回した。
:
「何やってるんだ、おまえら!」(キッカーズの監督)
:
輝志は二年生にもみくちゃにされた。
蜂谷麻奈と小暮輝志の1年生コンビが物語に新しい風を吹き込んでいます。もの静かな活躍ぶりが微笑ましいです。もちろん、2年生たちも素晴らしいですよ。新人戦の準々決勝のシーン。
オッサ→麻奈→土屋→巧→良→遼介 と流れるようなパス回し。
ダブルリョウの頭脳的連携プレーに完全に振り回される敵ディフェンダー。
そして感動的なゴールへ。
完全に自由を手にした遼介が、右足首を固めて振り抜く。
心地よい衝撃を三本指の付け根に感じた。
振り足と共に軸足も自然に地面から跳んだ。
得意のアウトにかかったシュートは、キーパーの左を抜いて
ネットに深く突き刺さった。
まるで起立を求められたように、桜ヶ丘中ベンチの全員が
一斉に立ち上がった。
鉄笛が秋空に長い尾を引いて響くと、季節外れの蝉時雨の
ような大歓声がわいた。
遼介のシュート&ゴールシーンがスローモーションで目に浮かぶような気がしますね。
身体の浮遊感も素晴らしいです。
全員が自由自在に走り回ってパスを繰り出し、相手ディフェンス陣を翻弄しながら敵ゴールへ向かう姿は力強く美しく、選手たちも自分たちのサッカーを繰り広げる喜びにひたる。そう、1つの理想としてクライフを軸としたオランダチームが見せたトータルフットボールさながらです。
そして、遼介の使う魔法のかけ声。
「エンジョーーーイ!」
「フットボーール!」
最高です。
物語のラスト、サッカーをやめた和樹もいずれ戻ってきそうな・・・。
「15歳編」が待ち遠しいですね。ダブルリョウはどうなるのか!
そうそう、美咲や葉子との胸キュン物語はもう少し展開があっても良かったような気がします(^_^)。
表紙&裏表紙も素晴らしかったです。
木洩れ日の桜坂。そこをリフティングをしながら校門に向かうサッカー部の少年(もち武井遼介ですね)の後ろ姿。構図が抜群で、光を感じさせる色も美しい。
さて、名作揃いの青春スポーツ小説。皆さんが選ぶベストワンはどれでしょうね?
野球 「バッテリー」(あさのあつこ)
サッカー 「サッカーボーイズ」(はらだみずき)
「龍時」(野沢尚)
飛び込み 「DIVE!」(森絵都)
陸上(短距離) 「一瞬の風になれ」(佐藤多佳子)
陸上(長距離) 「風が強く吹いている」(三浦しをん)
自転車 「セカンドウィンド」(川西蘭)
ボクシング 「ボックス」(百田直樹)
なお、各ブログ記事での採点は、そのときの気分によったりもしますので、点数の差はあまり関係がないとも言えます。他の日にもういちど採点したら、ころっと変わったりしますしね。
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