小松左京のSF長編「さよならジュピター」(感想はまだ書いていません)の後に読んだコミックス。なかなか面白かったです。藤子・F・不二雄はSF的な短編を数多く描いているようですが、これまで殆ど読んだことがありませんでした。
◎:箱舟はいっぱい、◎’:ノスタル爺(じい)、○:カンビュセスの籤(くじ) の3編がベスト3。他に、△:どことなくなんとなく、ミニチュア製造カメラ など全12編。ベスト3作品だけを取り上げれば90点クラスですが、全12編トータルの評価では70点です。
読んだ直後は、もう少しボリューム&読み応えがほしかったなとも思いましたが、各編とも短い話の中にきっちりとSF的エッセンスを盛り込んだ手腕が見事といえるでしょう。特に上で掲げた3編は特筆もの!作品によってかなり味わいは異なりましたが、これまた素晴らしい。
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藤子・F・不二雄の、ちょっと変わった味わいの作品を集めた異色短編集。SF的手法と鋭い風刺精神を存分に発揮し、大胆かつ繊細な構成で不可思議世界を描き出す。「藤子美学の世界」に、どっぷりと浸かれる作品集!
終戦を知らぬまま孤島のジャングルに隠れ住んでいた男が、30年ぶりに故郷に帰ってきた。しかし、村はダムの底に沈み、妻もすでに死んでしまっていた。思い出の木の下で回想にふけるうちに、男はある予感にかられて走り出す! そして彼が踏み込んだのは、失われたはずの30年前の世界だった!(第7話:ノスタル爺)。
****************** 【以下、詳細:ネタバレあり】 ******************
「箱舟はいっぱい」
3年前、地球と彗星が衝突するという騒動が発生したものの、すぐに世界天文学会議が否定して騒ぎは収まった。それから3年後、今度は地球脱出用ジャンボロケット建設が秘密裏に進められているという噂が。しかしこれも関係者が検挙され、デマ&詐欺だと分かった。なーんだ、これで一安心。だが、実は・・・このどんでん返しが見事。ラストは不気味な明るさが漂う。
「ノスタル爺」
幼馴染でいいなずけの太吉と里子。学徒動員による出征前夜の挙式。だが、里子の祈りもむなしく、孤島のジャングルに潜んでいた太吉が帰還したのは30年後だった。村はダムの底に沈み、里子も既に死んでいた・・・。そこから始まる日本情緒あふれるタイムスリップもの。謎の土蔵の爺さんが泣かせます。
「カンビュセスの籤」
終末戦争で食料の自給が不可能になった地球。数少ない生き残った人々は人工冬眠を繰り返しながら地球外生命に向けてSOSを送り続ける。そして23万年。たったひとりぼっちになってしまった娘の前に現れた過去からの人物。おそるべきくじ引き。人類のわずかな希望を守ろうとする”不気味さ”と”悲しさ”と”明るさ”が入り混じった珠玉のラストシーン。
これらによってワタシの人生観が形成されたといっても過言はないでしょう。
・・・ソレが良かったのか、悪かったのか?・・・。
この中だと私的には「カンビュセスの籤」がBEST。
「ミノタウロスの皿」もエエすよ。
追記:荒川さんスゴかったね。金メダルおめでとー!
「まんが道」はつまみ食い的にしか読んだことがありません(^_^;
>・・・ソレが良かったのか、悪かったのか?・・・。
夢があるし、確実に良かったと思いますよー。
僕はもっと洗礼を受けておくべきだった。
「ミノタウロスの皿」は只今図書館で予約中。
しばらくこの路線を追いかけてみようかなっと。
追記:荒川さん、素晴らしかったです。
実績のある一流選手といえども五輪のプレッシャーは凄いという
ことがよく分かりましたが、そんな中でよくぞ滑りきったと思います。
見事!
村主さんも良い出来だったけど惜しかったなあ。