ひろの東本西走!?

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新・午前十時の映画祭 「冒険者たち」

2013-04-10 22:39:56 | 映画

冒険者たち(フランス映画)
★★★★★:100点

映画ファンには嬉しいイベント「新・午前十時の映画祭」が始まった土曜日、大阪ステーションシティシネマ第1作目の作品「冒険者たち」をいの一番の第1回上映で観てきました。

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この作品は確か1970年代(中学生の頃)に「ゴールデン洋画劇場」のTV放映を見たのが最初のはずです。同様にしてTVの「日曜洋画劇場」で見た「鉄道員」(こちらも2年前に「午前十時の映画祭」で観ました)とあわせて、TV放映を見た直後からマイ・ベストムービーのベスト2(どちらが上ということはありません)にランキングし、この2作品はそれから何と40年以上(!)、不動のポジションを占め続けています。第3位はときどき変わりますけれど。 

★「新・午前十時の映画祭」HPの解説とストーリーより

<解説> 

60年代フランス映画の名篇がついに上映決定!パイロット、レーサー、彫刻家、それぞれが夢を追い、しかし共に挫折した彼ら3人の“冒険者たち”は、より大きな夢を追ってアフリカ沖へと旅立つ。野性味溢れるドロン、大人の渋さのヴァンチュラ、フレッシュな魅力を放つシムカス。太陽が眩しく照りつける大海原にきらめく、愛と友情のアドベンチャー・ロマン。F・ド・ルーベの名曲に乗せ、名匠アンリコが鮮烈に綴った青春の光と影。
 

<物語> 

命知らずのパイロット・マヌー(アラン・ドロン)と、自動車技師ローラン(リノ・バンチュラ)は、ある日、美しい前衛彫刻家レティシア(ジョアンナ・シムカス)と出会う。厚い友情で結ばれていた男二人に女一人。この三人の間には、いつしか不思議な三角関係が生まれていく。そしてある日、三人はどん底の生活から這い上がるために、アフリカ沖に沈む財宝を積んだ船を探すという、一獲千金の旅に出る。この船出が、彼らの運命を変えていくとも知らずに……。
 

Amazonレビューより
 

 パリ郊外の飛行クラブでインストラクターをしているマヌー(アラン・ドロン)と新型エンジンの開発に熱中す元レースカーのエンジニア・ローラン(リノ・バンチュラ)のもとに、レティシア(ジョアンナ・シムカス)という女性が現れる。芸術家の卵である彼女に恋心を抱くふたり。やがて3人は、アフリカの海底に5億フランの財宝が眠っているとの話を聞き、コンゴに旅立つ。
 

 男ふたり、女ひとりの恋愛関係、複葉機で凱旋門をくぐるマヌー、船の上でふざけあう3人、海中に沈んでいくレティシアの遺体、そして海にぽっかりと浮かぶ軍艦島。口笛を使ったフランソワ・ド・ルーペの音楽が、名シーンの数々をいっそう忘れがたくしている青春映画として、友情を描いた作品として、冒険を描いた作品として、その輝きは永遠に色あせることはないだろう。マヌー、ローラン、レティシア、まるで実在するかのように彼らと彼らの行動が愛おしくなってしまう。ロベール・アンリコ監督の映画には、いつまでたっても大人になりきれない人間が登場し、夢追い人たちに微笑みかける。(斉藤守彦)

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概要やストーリーは上記の文章で書き尽くされていますね。
以下、感想などを若干、硬質な文体で書いてみた。
※注)以下、ネタバレあり。

どなたかがブログで書いておられたのだが、映画の冒頭、レティシアが自動車解体工場(?  廃棄物処理場)にやってくるシーンで、川向こうの光が当たった明るいビル群手前の暗く殺伐とした風景と対比が見事(上の写真)。作品全体を貫く明るさとほの暗さ、動と静、夢や野心と挫折、ロマンと現実、束の間の幸せと忍び寄る不穏・不安な影・・・。フランソワ・ド・ルーベの音楽は、不安をかきたてるような、あるいは予感させるようなテンポの速い刻むようなリズムと口笛を使ったゆったりとした美しいメロディが交互に現れ、作品の性格を見事に紡ぎ出している。この音楽は一度聴いたら忘れられない、映画音楽史上の傑作とも言えよう。中学生だった私の脳裏には恐らく冒頭~序盤の映像と音楽が焼き付き、以降、マイ・ベストムービーの地位を不動のものにしたものと思われる。

好きなシーンや印象に残るシーンは多すぎて、とても書ききれない。

序盤、ローランが運転する軽トラックすれすれに、まとわりつくように踊るように楽しげに飛ぶマヌーの飛行機(前部座席にレティシアを乗せている)。このシーンが最高に美しく&素晴らしく、おそらくここでこの映画と3人の虜になった人が多いだろう。

コンゴ沖での宝探し。まばゆい太陽のもと、船上での3人の自由で気ままな暮らし。宝探しの合間にマヌーとレティシアが、ローランとレティシアが小型ボートを操って走りまわり、楽しそうに笑いころげる。2人を見つめるもう一人。友情、恋心、羨望、若干の嫉妬? これぞ青春ロマンか。ローランは結構な年齢のはずではあるが。

レティシアが叔父・叔母に育てられた町の小さな博物館で解説をする少年。レティシアに似たソバカス顔で純粋無垢なところが素晴らしい。叔父・叔母の冷たい態度に愛想を尽かしていったんは引き揚げかけた2人は、少年がレティシアの従兄弟と知って、巨額の遺産を渡すことに決めるシーンも良かった(この少年が実にいい子でね)。遺産が叔父・叔母ではなく、きちんと少年に渡るよう、成人してから渡すように公証人?に託すのも痛快。

映画終盤の重要な舞台となる、日本の軍艦島(端島)を髣髴とさせる要塞島(ボイヤール要塞)。レティシアの幼い頃からの夢の対象であったこの島の存在も映画には大きい。そこで彼女の夢を実現しようと考えたローラン。いったんは彼と距離をとったものの、孤独感・空虚感からか舞い戻ってきたマヌー。しかし、要塞島の雰囲気が誘うかのように大金を付け狙う一味が再び。。。

ラスト。直前まで夢を語り合ったマヌーまでも銃撃で失い、頭を抱えるローラン。やがてその手をおろし、マヌーの傍らで呆然と立ち尽くす。映像はゆっくりと周りながら俯瞰撮影で遠ざかっていく。波の音と音楽。ローランの孤独感と絶望感を思うと胸が締め付けれれる、痛切・哀切のラストである。

今見れば、映像が古めかしかったり、多少展開が性急であったりするが、それが作品の小気味良いリズム感につながっていると思う。幸せな時間がもっと長く続いて欲しかったなあとの思いが強いが、フランソワ・ド・ルーベの音楽とあわせて、常に感じる不安感がこの作品をより一層印象的なものにしていた。

中学生のときも老眼鏡(?)をかけたローランの方が印象に残ったように記憶しているが、髭ぼうぼうのマヌー(アランドロン)も野性的でかっこよかったなあ。最後の2人の言葉には涙、涙。。。<o:p></o:p>また、元パイロット役のセルジュ・レジアニ。3人にとっては財宝のありかという幸運をもたらすと共に、取り返しのつかない不幸をも招いた人物であるが、彼の哀感や疎外感も実によく描けていた。彼が最後に示した友情(?)は・・・。

劇場で観たのは2回目、テレビ放映やビデオ・DVDで観たのは4~5回だと思う。鉄道員のときも書いたが、ストーリー良し、俳優良し、音楽良し、映像良し。まさに私にとっての不朽の名作である。そして、レティシアは永遠のヒロインとなった。

大感動作ほど、どのように書いて良いか分からず支離滅裂になってしまったが、この作品を観たことの喜びとその感動を覚えていることに誇りを持ちたいと思う。だが、これはいつまでたっても大人になりきれない人間なのかなあ。。。

P.S.
金曜日にBSでこの映画が放映されるようですよ。
劇場の大スクリーン&暗闇で観るのと差はあるかもしれませんが、
必見!


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