浅田次郎:「間違いやー、人さらい」
すわ大事件? なんや、間違いかいな
じゃなくて、「輪違屋糸里」
めちゃくちゃ良かった~。。。
浅田はん、見直しましたえ~
◎今読んでいる本
宮部みゆき:「村上龍は眠る」
え? 村上はん、どないしはったん?
じゃなくて、「龍は眠る」
◎次に読むつもりの本
岡嶋二人:「暗いドツボ」
真夜中、野壺にはまってドツボやね
じゃなくて、「クラインの壺」
魔術はささやく(新潮文庫)
★★★★☆’~★★★★☆:85~90点
宮部みゆき(投票&ランキング)でも書いた「魔術はささやく」。読了から1週間が経ってしまい、色々忘れつつあります。ですが、読んでいるときのワクワク感が素晴らしく、一気読みしたくなる面白さを堪能しました。改めて「宮部さん、スゴイ!」
~Amazon:内容(「BOOK」データベースより)~
それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。
********************** 【注意】ネタバレあり **********************
先にも書いた”長編で登場人物が多いのにも関わらず全ての人物が生き生き”、まずはこれが見事でした。私は純粋なミステリーファンではないので、トリックや謎にはあまりこだわりがなく(そりゃ、凄い作品にはビックリしますが)、小説を読むときは、人物がどのように描かれているか、主役&脇役、善人&悪人etc.が生き生きしてるかを最重視します。個人的には結構、脇役が気になりますね。
体育科主任でバスケ部顧問の岩本先生には花マルを。担任の能崎のような先生もいれば、こういう先生もいなくちゃね。言葉も荒くすぐに拳骨が飛んでくるけれど、生徒のことをきちんと見ている先生っていると思いますよ。
絵に抜群の才能を示すがイジメの対象になっている気弱な親友・宮下陽一。元気で頼もしい同級生の”あねご”時田沙織。友達というよりも、いい仲間です。主人公・守の姉になる年上の従姉妹・真紀。からっとして元気があって愛敬もあるgoodキャラ。
「そお? わたしは好みのタイプだわ」。真紀ちゃん、あんたはエライ!
バイト先の書籍コーナーのチーフ・高野もいい味を出していました。真紀といい感じ?
さて、大事なミステリー部について。
サブリミナル広告、催眠療法(催眠術)など恐らく時代を先取りした題材をうまく用いながら上質のミステリーに仕上がっていたのではないでしょうか。自殺と考えられる若い女性三人の不可思議な死。自殺ではないとしたら、犯人はどのようにして手を下したのか?その場にいない犯人が他の人間を自殺させることは果たして可能なのか。書店で起こるおかしな事件の秘密は?
いやー、読者をぐいぐいと引っ張っていく力が絶大。催眠術で本当にあそこまでのことができるのかはよく知りませんが、よく練られたプロットでした。もっと違う謎解きであれば更に驚いたとは思いますが。犯人はさすがに想像がつきませんでしたね。犯行に至った理由は描き方が少ない分、若干弱いかなと思いましたが、味わいはあり。
○○かと思わせるような人物。
「私は、君の・・・・・さんに償いをしなければならなかった」
ここは引っかけ的ではありましたが、雰囲気からしてちょっと違うなと感じていたので○○とは思いませんでした。
守は終盤、2つの重大な決断をする。果たして自分に人は裁けるか。人を許せるか。
怖いキーワード:「東京は今夜も霧ですね」
そして、守が言った最後の魔法の言葉で物語は終幕を迎える。
・・・は立ち止まった。
建物を見上げる。そして落ち着いた態度で中へ入っていった。
このラスト近くのシーンが非常に印象的でした。