琉球新報の時代遅れの世論調査



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琉球新報の時代遅れの世論調査
 琉球新報が普天間飛行場移設に関して世論調査を発表した。

国外移設・・・26.7%
県外移設・・・26.1%
撤去・閉鎖・・・21.3%
辺野古移設・・・18.0%
わからない・・・7.9%

世論調査の結果から琉球新報は「県外・国外移設や即時撤去を求める回答は計74・1%で、名護市辺野古の新基地建設を容認・推進する18・0%を大きく上回った」という結論を導いた。そして、タイトルでは「辺野古反対74%」と書いてある。それは変てはないか。琉球新報は移設希望方法を調査したのであって辺野古反対の調査をしたわけではない。もし、辺野古反対を調査するのなら、辺野古移設ついて「辺野古移設絶対反対、辺野古移設反対、辺野古移設賛成、辺野古移設は仕方がない」等の項目を設けて世論調査をするべきである。
琉球新報の世論調査の目的は県民が普天間飛行場の移転先としてどこを希望しているかである。辺野古移設の賛否を問うてはいない。世論から見て普天間飛行場の移設はどうした方がいいのかの結論を導き出すべきであるのに、琉球新報は辺野古移設より辺野古移設以外を希望するほうがはるかに大きいことを根拠にして、辺野古移設反対が74%であると結論づけている。
 琉球新報の分析は希望している移設以外には反対であると決めつけているところがある。もし新報のように希望以外は反対であると決めつけるならば、国外移設は26.7%であるが、県外、撤去・閉鎖、辺野古移設求める回答は65.4%であるであるから、国外移設反対は65.4%であるということになる。
翁長知事は県外移設を主張しているが、県外移設は21.8%である。それに比べて国外移設、撤去・閉鎖、辺野古移設は66%である。県外移設よりも国外移設、撤去・閉鎖、辺野古移設の合計がはるかに大きい。世論調査を琉球新報流に分析すれば66%が県外移設に反対ということになる。建白書では普天間飛行場の閉鎖・撤去を要求しているが、国外移設、県外移設、辺野古移設の合計は70.8%である。閉鎖・撤去も同様に反対が70.8%であるということになる。

世論調査ではすべてが過半数を大きく下回わっている。どれを選択することもできないのが世論調査の結果である。
 琉球新報の世論調査からは普天間飛行場の移設は過半数を超えるものはなく、県民の意見が分かれていて解決することができないことが判明したことである。

 琉球新報は「県外・国外移設や即時撤去を求める回答は計74・1%で、名護市辺野古の新基地建設を容認・推進する18・0%を大きく上回った」と辺野古移設以外の希望が大きく上回っていることを重視しているが、それとは別にもっと重視しなければならないことがある。それは実現性である。希望しても実現しなければ希望してもしようがない。
 鳩山元首相は普天間飛行場を「できるなら国外、最低でも県外に移設したい」と述べ、国外は困難であるからすぐにあきらめて、県外に移設することを県民に約束して県民を喜ばせた。ところが県外移設を実現させることができなかった。鳩山元首相は県外移設ができなかったことを県民に詫び、辺野古移設を宣言した。鳩山元首相の時に国外移設と県外移設は困難であることが判明した。7年前のことである。
 県民は国外移設、県外移設、閉鎖・撤去、辺野古移設のそれぞれが本当に実現できると思っているかどうかを調査するのも沖縄2紙の役目だと思う。希望と現実は違う。その自覚は県民にもきっとある。だから、国外移設を希望してもそれが実現するのは困難であると思っている県民もいるだろう。もっと県民の現実意識に接近させた調査をするのが沖縄2紙のやるべきことだと思う。

 国外移設、県外移設、閉鎖・撤去は困難である。突き詰めていくと辺野古に移設するかそれとも普天間飛行場を固定化するかの二者択一の選択になっていく。そうなると県民はどちらを選ぶか。
 
 辺野古ではボーリング調査が終わり、埋め立てが始まった。こんな時期に普天飛行場の移設先としての国外、県外、辺野古、閉鎖・撤去の世論調査をするのは的外れの調査である。辺野古移設に反対か賛成かを問う世論調査をするべきであるし、もっと突き詰めれば辺野古の建設工事を翁長知事や反対運動が止めることができるかどうかを世論調査する必要がある。それが県民の現実的な考えである。

 埋め立てが始まったというのに、埋め立てに対する世論調査はしないで、国外移設、県外移設、閉鎖・撤去、辺野古移設の世論調査をするのは時代の流れにそぐわない時代遅れの世論調査である。
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NZが日本に続きTPP手続き完了、TPP実現に大きな一歩



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NZが日本に続きTPP手続き完了、TPP実現に大きな一歩
 日本に続きニュージーランドがTPPの国内手続きを終えた。安倍政権は政府は環太平洋経済連携協定(TPP)について、米国抜きの11か国での発効を目指す方針を固めて、TPP閣僚会合で、11か国での発効を呼びかける方向で調整しているが、NZが国内手続きを終えたことで一歩前進である。
 ベトナム・ハノイで今月後半、TPP閣僚会合が開かれ、TPPの今後の方向性が話し合われる。閣僚会合では、マクレーNZ貿易相が共同議長を務める。カナダやオーストラリアもTPP前向きである。11カ国すべての国が参加しなくてもTTPは実現する可能性が高くなった。
世界第一位と第二位の経済国である米国と中国は一対一のFTAを進めていこうとしている。そのFTAは大国に有利な条約になるだろう。それに比べてTPPはトランプ大統領が嫌ったように平等な条約になっている。
世界第三位の日本が中心となってTPPをけん引していけば日本経済と同時にTPP参加国の経済も発展していき。日本を中心としたTPP経済圏が築かれることになる。
TPPに参加する国も米国や中国とのFTAを結ぶことはできる。敵対関係にはならないから、TPP参加国は増えていくだろう。

アジア圏の自由貿易構想では、TPPのほかに、日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16か国でつくる東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の締結交渉が進んでいる。年内合意も取りざたされているが、交渉は社会主義の中国主導で進んでいて、日本政府は「市場開放が不十分に終わる恐れがある」(政府筋)と警戒している。
このため日本が主導したTPPの発効を改めて目指すことにした。5月にベトナムで開かれるTPP閣僚会合で、11か国での発効を呼びかける方向で調整している。
 NZのTPP国内手続終了はTPP実現への大きな一歩である。

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「長期戦見据え運動を」は敗北宣言



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「長期戦見据え運動を」は敗北宣言
 米軍キャンプ・シュワブの「K9護岸」建設現場で本格的な埋立が始まった。9日午前には網袋に入っていない砕石の投下作業が実施されたが、同護岸だけでダンプ9千台分以上砕石が必要とされている。
 そのことについて、沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は、
「本格的な埋め立て工事と思われるものが昨日から始まったが、K9護岸のだけでもダンプ9千台分以上の砕石が必要だ。長期戦になることを見据え運動をする必要がある」
と、奇妙な発言をしている。
 辺野古基地建設反対運動は基地建設を阻止するのが目的である。建設工事が進めば進むほど阻止するのは困難になる。9千台分以上の砕石が必要であるから埋め立て工事が長期になることは分かる。しかし、工事が長期間になるのに合わせて建設反対運動も長期戦にするということは埋め立て工事が進むことを容認するということになる。北上田毅氏の発言は工事が終わるまで反対運動を続け、終わった時に反対運動も終わると解釈することができる。つまり、工事が完成することを北上田氏は暗に認めていることになる。北上田氏だけではない。共産党の志位和夫委員長も翁長知事と非公式の会談をした後に、
「県民が諦めない限り、新基地は作られない。万、万、万が一、基地を作っても、そんな基地は維持できない」
と記者団に述べている。志位委員長は辺野古が万、万、万が一に基地が作られると言ったのだ。そんな基地は維持できないと志位委員長は言っているが、作ってしまえば基地の維持は簡単である。基地は作られないと言っているが、本音では基地が作られることを認めているから、万、万、万が一に基地が作られると志位委員長は言ったのである。作らせない自信があったらそんなことを言うはずがない。志位委員長は辺野古基地が作られることは止めようがないことを承知しているのだ。米軍基地反対運動を続けていきたいし、基地建設が進んでいっても反対運動が下火にならないことを願っているから「県民が諦めない限り、新基地は作られない」とか「そんな基地は維持できない」と言うのである。共産党に辺野古基地建設を止める有効な手段はないことを志位委員長が認めたといってもいいだろう。

 志位委員長はは「安倍政権が進めている作戦は、ともかく工事を進め、既成事実をつくれば県民は諦めるだろう、この一点だ。卑劣な打算だ」と泣き言を言った。
 安倍政権に志位委員長のいうような作戦なんてあるはずがない。埋め立て申請、ボーリング調査、埋め立て工事開始と普通に建設工事を進めているだけだ。それを県民を諦めさせる作戦とは笑ってしまう。工事が進めば辺野古移設を認める県民が増えていくことは確実である。共産党はそのことを一番恐れている。恐れているから普通に建設工事を進めていることを安部政権の作戦のように見えるのである。工事を進めるのは当たり前のことであるのに志位委員長の目には「卑劣な打算」に見えるのである。

志位委員長は、
「沖縄の闘いを全国の問題にして、日本の民主主義の闘いとして進めたい」
と言った。志位委員長が敵対しているのは安倍政権のようであるが本質的には安倍政権ではない。日本の議会制民主主義体制である。辺野古のキャンプ・シュワブへの移設は小泉政権に始まり、民主党の鳩山政権、管政権、そして安部政権へと引き継がれていった。安倍政権だけで辺野古移設を決めたわけではない。そして、辺野古移設が決まるまでには紆余曲折があり、島袋名護市長、仲井眞県知事、辺野古区などが深く関わっている。
 辺野古基地建設は議会制民主主義国家日本の地方自治法や公有水面埋立法に則って決まったものである。志位委員長のいう辺野古基地建設反対の沖縄の闘いは日本の法律を破るものである。翁長知事の承認取り消しは違法行為であると最高裁が判断した。議会制民主主義の法律を破る沖縄の闘いを日本の民主主義の闘いにすることは日本の議会制民主主義を否定するものである。議会制民主主義の選挙制度、法治主義、三権分立を否定する志位委員長の民主主義とはなにか。それは共産党イデオロギーである。共産党が正しいと決めたことを実現することが志位委員長のいう民主主義である。そんな民主主義は共産党員以外は誰も認めない。
 共産党イデオロギーを民主主義と呼び、議会制民主主義社会である日本で民主主義の美名に乗って共産党イデオロギー民主主義革命を起こそうとしているのが共産党である。「民主主義革命」を起こすための共産党員を増やすのが今の共産党の目標である。だから、辺野古基地建設を止めることができなくても建設反対運動をやって党員を増やしたいのだ。「沖縄の闘い」を全国に広めることによって党員を増やすのが共産党の狙いである。
だから、辺野古基地建設阻止を強調するのではなく、「県民が諦めない限り、新基地は作られない」と言い、「基地を作っても、そんな基地は維持できない」と言って反基地運動を続けていくようにするのである。

本当の民主主義である議会制民主主義に共産党イデオロギーの偽の民主主義が勝てるはずがない。辺野古基地建設のように共産党イデオロギーは敗北していく。

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辺野古の海は本土活動家がほとんどではないのか



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辺野古の海は本土活動家がほとんどではないのか
 今までの反基地運動は地元の住民が中心であったが、高江のヘリパッド反対運動と辺野古移設反対運動はそうではない。地元以外の市民が中心となっている。市民というより活動家と言ったほうが正確かもしれない。
 8日には網袋に入っていない砕石を投下する作業が始まった。抗議する市民からは「今日が(建築工事の)着工だ」との声が上がった。

 琉球新報は建設に反対する二人にインタビューをしているが、名前からみると二人とも本土の人間である。
一人目は抗議船船長の相馬由里さん(39)である。彼女は網袋に入れていない砕石が海に投下されたことに「海が壊されている。今日が(護岸工事の)着工だ。これまでのものはパフォーマンスだ」と述べ、投下するたびに粉じんが上がるのを見て「海の汚染を防ぐために一度洗ってから持ってくることになっていたはずだ。洗っていないのではないか」と批判した。彼女の批判はいいと思う。防衛局は洗ってから持ってきてほしい。相馬由里さんは前にも新聞に載ったことがある記憶がある。はっきりとは断言できないが彼女の父親は日大闘争に参加した人である。日大闘争を克明に記してある「1968」というブログがあり、筆者の知り合いの娘が辺野古で活動していることを書いていた。その娘が相馬由里さんだと思う。彼女の辺野古での活動4、5年になるだろう。インタビューを受けたもう一人はカヌーで海上から抗議する柴田鉄也さん(29)である。名前からみて彼も本土からやってきた活動家だろう。
琉球新報としては県民をインタビューしたいはずである。しかし、辺野古の海には芥川賞作家の目取真俊氏以外の県民はいないのだろう。

辺野古現場の反対運動は社民党系沖縄反戦運動センターと共産党系統一連に加えて革マル派、中核派の全国的な反対運動であって辺野古住民や名護市民を中心とした運動ではない。県民を中心とした運動でもない。それが辺野古反対運動の特徴である。
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日本・アジアの経済発展にTPPは絶対に必要である



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日本・アジアの経済発展にTPPは絶対に必要である
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の閣僚会合が2015年10月5日午前(日本時間5日夜)閉幕したが、当初は2日間だったが交渉は難航し、翌年に延ばそうとした時に、その時に最終決着をつけるために奔走したのが日本であった。日程を延長し、6日目までずれ込んだ。最終的に12年のデータ保護期間を主張してきた米国が譲歩案を示し、実質8年とすることで折り合い、交渉全体の決着がついた。
高い基準の合意を目指したTPP交渉は、関税撤廃やルールづくりなどで各国の利害が対立。今回の合意まで、2010年3月の交渉開始から約5年半、13年7月に日本が参加してからは2年余りの歳月を要した。
世界最大の自由貿易圏の誕生は、今後の世界経済や国際秩序に大きな影響を及ぼしそうだ。TPPは日本・アジア経済を飛躍的に発展させていくだろうと期待されたが。トランプ大統領によって環太平洋連携協定(TPP)から米国が離脱した。
2017年5月2日に米国を除く11カ国はカナダのトロントで首席交渉官会合を開き、米国抜きの発効に向けた議論を始めた。日本は最小限の変更による早期発効を主張したが、問題点を指摘する国が相次ぎ、難航は避けられない見通しだ。その中にあって発効に積極的な国の交渉関係者は「5カ国での発効でも構わない」と明言した。
米国が抜けて規模が小さくなったが、これからのら日本・アジアの経済発展にTPPは絶対に必要である。

私はTPPについて2011年からブログに掲載している。これからもTPP問題に取り組んでいくつもりだ。今回は、5年前に掲載したフログを紹介する。
○TPP・八方美人学者は役立たず(2011年01月27日 )
小泉元首相が構造改革をしようとした時、多くの学者に協力を求めたがほとんどの学者が腰を引いたらしい。日本の学者の理論は実行力のない机上の理論が多いということだ。

沖縄国際大学の富川学長(現在、沖縄県の副知事の富川盛武氏(69)。彼を八方美人学者であると批判した)は「比較優位性のあるマンゴーなど外国と差別化できる品目と、国民の基礎的食料・甘味資源として必要なサトウキビやコメなど保護すべき品目は分けるべき」と農業の貿易自由化に反対するような意見を述べたかと思うと、「一方でアジアの成長を取り込むことは沖縄の発展に不可欠だ」と貿易自由化に賛成するようなことも匂わせる。そのあげく、「それを推進するのはTPPなのか、FTAなどの二国間協定なのか、手法はさておき」と肝心なTPP問題への追求をはぐらかし、「貿易拡大でGDPが増えれば、税収も増える」と当たり前のことを述べ、「必要なところに必要な予算を投下することが必要だ」とますます当たり前のことを述べて終わっている。

「まず政府は具体的な農政ビジョンを示すべきだ」と富川学長は述べているが、むしろ学者がビジョンを示すべきだ。学者は客観的な立場に立てるから思い切ったビジョンを示すことができる。専門的な視点から追求して厳しい意見をすることもできる。

例えば、沖縄のさとうきび生産に将来性はあるのか。離島の農業に将来性はあるのか。さとうきびに代わる作物はあるのか。TPPを実施した時に沖縄の農業は生き残れるのか。生き残るにはどうすればいいのか。離島は農業から他の産業への転換は可能なのか。
このような問題に客観的に追求すべきは学者のほうである。学者だからこそ豊富に資料を集め、じっくりと分析し、より客観的な結論が出せる。

富川学長は大規模農業について一言も触れていない。現状の農業を固定したまま農業問題を考えていては沖縄の農業の将来図は描けない。富川学長は知識は豊富かも知れないが、沖縄の農業の将来への提言はなにもやっていない。

さとうきびの生産は年々減っている。それなのに保護して将来もずっと続けていいのか。私はさとうきび生産を将来はやめたほうがいいと思う。

政府や県は、農業の大規模転換を推進すると同時に、生産物の二次産業と三次産業の発展に力を注いでほしい。
カラーコピー機の組み立て方法に屋台式組み立て法がある。屋台のように組み立て道具を回りに置き、独りでコピー機を組み立てるやり方だ。流れ作業よりも屋台式のほうが質量ともいい生産ができる。屋台式組み立てなら沖縄でもできる。アジアから部品を輸入して、沖縄で組み立てて輸出することが可能だ。電気自動車はガソリン車より部品が少ないから、沖縄での生産が可能である。観光をアピールするのに電気自動車は最適である。沖縄の全車を電気自動車にすることを経済戦略にし、電気自動車の生産を沖縄でやるのは実現可能だ。

政府は金型を沖縄でやることを決め、金型関連の会社が沖縄に工場をつくるようになった。TPPは沖縄の第二次産業の発展を可能にする。

沖縄の学者はもっと沖縄の現実を見つめ、沖縄の発展につながる提言をしてほしい。

離島の農業問題はむつかしい。解決策は簡単には見つからないだろう。しかし、製糖工場の閉鎖は続いている。離島のさとうきび栽培は確実にじり貧になり、消滅危機に直面するのは時間の問題だ。
沖縄の農業の大型化をやることによって、離党の農業の構造転換を図ることが必要だ。たとえば本島で農業を経営する会社が離島の農業も経営し、離島に若い農業従事者を派遣するとか、会社が離島でつくる野菜を指定して買い取りをするとかすれば離島の農業も生き残るだろう。
問題は、小規模農業を維持し農業従事者の高齢化を進めるか、大規模農業に転換するかである。自民党は大規模農業を支援し、大規模農業に補助金を与えていたが、民主党が一律に農家への補助金をやるようになったので、補助金目当てに小規模農業が増えてきているという。このままだと、補助金は増えるが農業は衰退するという不条理な日本農業になっていくだろう。
○沖縄の農民はJAの奴隷のようなもの(2011年12月30日 )
「僕が生まれ育った所は住民の8割近くが農業に従事していた。主な作物はサトウキビであった。そして、一人当たりの年間所得は県内全市町村中最下位の100万円前後が30年近く続いてきたことを先輩たちから聞かされて唖然とした」
新聞への投稿である。資本主義経済が発展した現在は、昔のような小規模農業では生活ができない。機械化した大規模農業でないと通用しない。沖縄の農業は地産地消の小規模農業ではなく、輸出ができる大量生産農業を目指すべきである。
砂川JAおきなわ理事長は基幹作物のサトウキビがなければ生活できないという農家の悲痛な声を聞いているという。そして、TPPに参加すれば離島は人口流出すると警告している。
しかし、離島農家のサトウキビ年収は100万円足らずである。100万円では生活できない。離島農家が300万円の収入を得るためには三倍の耕作地が必要である。人口を3分の1にすれば300万円の収入が可能である。100万円しか収入がないということは離島の人口は多すぎるということであり、離島の人口流出は促進するべきである。

砂川JAおきなわ理事長は離島の人口流出を悪いと考えているが、それは反対で、離島の農家人口は多すぎるから、3分2の人口は島から流出したほうがいいのだ。
サトウキビの政府の補助金は1トン当たり1万6000円であり、製糖工場の買い上げは5000円余である。農家がもらうサトウキビ代金の4分の3は税金なのだ。サトウキビ生産は健全な産業とは言えない。農家は4分の3の補助金をもらいながら年収は100万円しかない。多額な補助金をもらいながら貧乏生活を強いられている。このようなサトウキビ産業はいびつであり、サトウキビ産業を健全な産業に転換しなければならない。それは離島の3分2の人口流出を促進して、人口を現在の3分の1にすることである。離島の農業人口は増加をさせてはいけない。

沖縄 全体に言えることでもある。農家の年収を300万円以上にするには農業人口を減らしたほうがいい。
県の農業政策は農業人口を増やすことではなく農家の年収を500万円にアップする政策を立てるべきだ。年収が多ければ農業を志望する若者も増える。

農家の年収アップ政策に大きく立ちはだかるのがJAである。キビ作農家は貧しいが、沖縄製糖は2010年度県内法人企業利益ランキング26位である。沖縄県農業(協)はランキング15位である。沖縄製糖、沖縄県農業(協)は沖縄ではトップクラスの優良企業なのだ。

JAおきなわは一軒一軒の農家は貧しくても全体の生産量が多ければ儲けるシステムなのだ。このシステムは戦後すぐにつくり上げている。

砂川JAおきなわ理事長は、小浜島のサトウキビ畑を見ればそれがお金に見えてよだれが出るだろう。サトウキビ農家の年収が100万円であろうと50万円であろうと砂川JAおきなわ理事長には興味がない。とにかく、サトウキビ畑が多ければ多いほどいい。それだけ儲けが増えるから。
JAおきなわは絶対に自分でサトウキヒ畑経営をやらない。苦労のわりには儲けが少ないと知っているからだ。農民を相手に商売したほうがリスクは小さく確実に儲けることができる。沖縄の農民は畑を所有しているが、内実はJAの奴隷のようなものだ。
砂川JAおきなわ理事長が嫌うのはJAに頼らない大規模農業だ。しかし、沖縄の農業は大規模農業に転換して、輸出ができるくらいに強くしないと生き残れない。 
今のままだとジリ貧するだけだ。
県は離島のサトウキビ農家人口は徹底して減らして大規模農業に転換し、観光企業を発展させることによる人口増を図るすべきだ。
○JAのTPP1420億円被害論は疑問(2011年10月31日 )
TPPは来年の6月ごろに大枠が決まるだろうといわれている。それから細かい交渉をやり、条約の内容が決まるとそれぞれの国が国会で批准にかけて、国会の承認を得た後にTPPは始まる。TPPは10年をかけて徐々に拡大していく予定だという。
そのことを念頭においてTPPは考えるべきである。

JAなどの農業団体は関税が撤廃されれば580億円の打撃を受けると試算している。本当に580億円も被害をうけるのか検討してみよう。
さとうきびの被害は197億円としている。197億円はさとうきび生産額の全額である。
JAの試算によると砂糖は安価な海外産に変わり、さとうきび生産額197億円は壊滅するという。輸入関税を財源に農家へ交付金を支給しているから、関税がなくなれば交付金がゼロになるという理屈である。その理屈はおかしい。関税以外から交付金の財源を確保すればいいし、政府は農業を保護するといっているのだから、さとうきびへの補助金は必ず出すだろう。さとうきびの197億円はそのまま維持できる。それにブラジルではさとうきびからアルコール燃料を産出する産業のほうが盛んになっていて、一時期世界の砂糖が高騰したことがある。関税がゼロになったからといって極端に低下な砂糖が入ってくるとは考えられない。
ただ、沖縄のさとうきびには将来性がない。他の作物への転換を目指していくべきである。

沖縄にはアグーという豚のブランドがある。その他にも牛肉や豚のブランドが登場するようになった。ブランドものの知名度を高くして、観光客や本土、海外に売り出せばTPPの被害をかなり押さえることができるはずである。地産地消の発想では農業は発展しない。牛肉や豚肉の知名度を高めて輸出戦術に転換しない限り農業の発展はない。TPPは農業が輸出をして発展するチャンスである。
キクの生産額は90億円、鶏卵47億円、マンゴー21億円である。TPPの打撃をそれほど受けそうにない作物もけっこうある。そのような作物の生産量を増やすのもいい方法である。

農業生産額は全体で約920億円である。TPPが始まったら農業生産額920億円のうち520億円が被害を受けるとJAは試算している。しかし、具体的に検討していくと、さとうきびの197億円はほとんど被害を受けないし、政府の農業支援を考慮すればTPPの被害額は少ないだろう。
関税撤廃をしてTPP契約国との交流がやりやすくなれば沖縄の農産物を輸出することができる。むしろTPPは農業の夢を広げる。

JAは関連産業への影響を1420億―580億=840億円と計算している。しかし、840億円の内訳を具体的には書いていない。恐らくJAの損失を高く見積もって出しているのだろう。

TPPをきっかけにJAの支配する地産地消の小規模農業から脱して、輸出を目指した企業農業へ転換したほうが沖縄の農業の将来は明るい。
○主張の裏にはJAの利益優先がある(2011年01月25日)
私の父は昔気質の農民だった。鍬と鎌だけで数千坪の畑にさとうきびを植え、山奥には田んぼもやっていた。豚とやぎを飼い、早朝から陽が沈むまで働き続けた。あんなに父は働いたのに私の家は貧乏だった。アメリカ軍基地や会社や商店などで仕事をしている親の家庭は普通の生活を送っていたのに、なぜ農民の親を持つ私の家は貧乏なのか。中学から高校生の頃に私は悩み、農家の貧乏の原因はどこにあるのかを真剣に考えた。そして、父のような鍬と鎌だけの農業では駄目で、農家が普通の生活をするには機械を使った大規模農業をやるか、ビニールハウスを利用した値段の高い野菜をつくる方法しかないと私は結論した。
私の父のように鍬と鎌だけでの農業は現代社会には通用しない。さとうきび栽培でまともな生活をするには最低五、六千坪は必要であるだろう。いや、もっと必要かもしれない。
現在の法律では遺産相続は兄弟が分配するから、一人の所有する農地は小さくなっていくようになっている。これでは農業を専業とするのはますます困難であり、農業が衰退していくのははっきりしている。

私の父のような貧しい専業農家や会社勤めをしながら小遣い稼ぎとして農業をしている兼業農家が多い沖縄で、農家をお客にして儲けたのが農協だ。
JA沖縄中央会長小那覇安優氏の意見は小規模農家をお客にして儲けるJA体質まるだしの意見である。
小那覇氏のいう農家とは小規模農家のことであり、大規模農家や企業経営の農業は対象としていない。そして、特に注目してほしいのはJAは直接農業する気が全然ないことである。いわゆる農業のリスクを取らないのを前提にしてJAは経営しているのだ。
農業を大規模化して経費を下げ、販売網を拡大して利益をあげるようにすれば、農家が受け取る交付金は減少させることができる。地域産業の維持は重要であるが、農業だけが産業ではないし小規模農業にこだわればむしろ地域の過疎化は進むだけである。観光業、民宿や加工業などの開発を進め、小規模でも採算の取れる野菜を開発しなければ地域の農業は消滅するしかない。
「島で数人の農家だけに農地を集約すれば、人口再生力のある人口構成が失われ、地域社会が崩壊する」と小那覇氏は主張するが数人の農家で採算が取れるのなら、数人の農家でやるのがいい。採算の取れない小規模農業をしているから畑を放棄して地方から出て行く人が増え、地方の過疎化が進んでいるのだ。
小規模農業主義が地域を支えているというのは間違いであり、面積が小さい沖縄でありながら放棄地が増えているのが現状である。その原因は小規模農業であるからだ。大規模農業であるなら、畑は放棄されなかっただろう。私も畑地を所有しているが放棄している。
小那覇氏は輸出国が輸出を止めたら困ると主張するが、それは安い輸入野菜がなくなるということであり、輸入野菜がなくなれば国内で生産した高い野菜が売れるようになる。すると国内での野菜つくりが盛んになるから日本の農業は発達する。輸入野菜がストップするということは国民の食料がなくなるということではなく国内の農業が盛んになるということである。
小那覇氏はなんの予告もなく突然輸入がストップするような印象を与えているが、そんなことはありえない。現在の情報化時代では国々の政情は分かるし、どの国が輸出をストップする可能性があるかどうかも前もって把握できる。だから前もって対応することができる。中国の野菜が農薬濃度が高い理由で突然中国からの野菜の輸入をストップしたのは数年前のことだ。その時、野菜は高騰はしたがパニックになるような野菜不足はなかった。
日本の農業問題は他国の野菜より日本の野菜が高いことである。もし、他国の野菜と同じ値段なら日本の農業もどんどん生産することができる。穀物市場で日本が買い負けするということは穀物の値段が高くなるということであり、日本の農家にとって歓迎するべきことである。
小那覇氏の主張する不安は的外れの不安である。
小規模農業を前提とした小那覇氏の主張は、小規模農家が多ければ多いほど儲けるJA側の主張である。TPPとは関係なく、日本の小規模農業主義は農業の停滞を生み出し、畑の放棄地を増やしている。
大規模農業と企業参加の農業に転換しないと、TPPとは関係なく日本の農業は高齢化が進み衰退していく。政府は農業の政策転換を早くするべきだ。JAには直接農業をさせるべきである。そうすればJAのほうが大規模農業の推進者の第一人者になるだろう。
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翁長知事派保守系の危機感が安慶田前副知事シンクタンク設立に
 安慶田光男前副知事が、沖縄の経済振興に関するシンクタンクを5月にも設立する方向で準備を進めていることが分かった。副知事を辞任した安慶田氏は一般市民になり、政治力は失った。副知事であった時は翁長知事の片腕として政治力を発揮していたが、翁長知事から切り離されてしまった今は無力となってしまっている。安慶田氏がシンクタンクを設立したとしても翁長知事と切り離されている安慶田氏が翁長知事にコンタクトを取るのは困難だろう。それでもなぜ、安慶田氏はシンクタンクを設立するのだろうか。それには翁長知事派の保守系の企業家たちの危機感があるからだろう。
 ヘリパッド建設の土砂は国場組の採石場から運ばれた。辺野古基地建設の土砂も同じ国場組の採石場から運ばれている。基地建設で莫大な金が国場組に流れる仕組みになっている。国場組は辺野古移設反対の翁長知事とは対立し、自民党県連と国側についている。これからの辺野古基地や米軍基地関連の工事は国場組や国側についている企業に回り、辺野古移設に反対している翁長知事派の企業には回らないだろう。それでは翁長知事派の企業の経営がピンチになる。
 翁長知事派の保守系は安倍政権とは敵対関係ではなく、友好関係を維持していたいだろう。ところがそれを許さないのが共産党であり沖縄革新である。だから、安倍政権と親しい安慶田氏を副知事の座から引きずり落としたのである。そして、翁長知事の周囲を沖縄革新で取り巻いたのだ。安倍政権と敵対関係だけになった翁長知事側近である。これに危機感を抱いたのが翁長知事派の保守系だろう。安倍政権とつながりを維持したいために安慶田前副知事によるシンクタンクを設立しようとしているのが保守系である。沖縄経済に関するシンクタンクというが要するに政府の交付金を当てにしたシンクタンクでしかない。
 安慶田氏は副知事を辞任して以降3月と4月に東京に行き、菅義偉官房長官や鶴保庸介沖縄担当相らと会談した。政府としても翁長知事とは友好関係を築きたいから安慶田氏との会談は歓迎である。シンクタンクは経済関係者や研究者らに参加を求め、県と政府とのパイプ役を目指すという。政府側も菅氏と気脈の通じた安慶田氏に期待を寄せているという。
 
 オール沖縄内の保守と革新の対立が安慶田副知事の辞任とシンクタンク設立となった。沖縄県幹部は「知事や県が依頼したり、関与していたりするもののではない。パイプ役と言われても困惑するしかない。辞任した問題で裁判が続いており、逆に県の足を引っ張る形にならないか」とシンクタンクを敬遠した。
 オール沖縄の革新は県庁を牛耳り、保守系を追い出した。保守系は県庁の外で安慶田氏とシンクタンクをつくり、政府とのつながりを強くしていこうとしている。オール沖縄の保守と革新の分裂が形になって表れてきたのがシンクタンク設立である。革新に翁長知事を完全に抱きかかえられてしまったのが保守である。保守でありながら革新のロボットになってしまったのが翁長知事である。翁長知事を保守の元に戻すことは困難である。果たして保守の逆襲はできるのだろうか。まあ、逆襲ができたできなかったに限らず、辺野古飛行場建設は順調に進むだろうし、県民の翁長知事支持は落ちていく。それは確実だ。
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短篇小説・おっかあとドラム缶



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おっかあとドラム缶
「おっかあ。今度の日曜日は渡久地の浜に行く。清二兄ちゃんが連れて行くってさ。ドラム缶を取りに行くんだ。」
啓一は遊びから帰ってくるなりおっかあに言った。啓一は小学三年生。遊び盛りの少年だ。野山を駆け巡り村の広場で遊びまくり夜に帰ることもある。日曜日なぞは朝から家を出て夕方に帰ってくるのはしょっちゅうだ。その度に啓一はおっかあにこっぴどく叱られる。川や山に遊びに行くと言えばおっかあは「だめだ。」と言うに決まっている。だから啓一はおっかあに内緒で川や山に遊びに行くんだ。家を出る時、おっかあが「どこに行くんだい。」と聞くと「公民館。」とか「神社に。」とか「よし坊の家に。」と嘘をついて家を出ることにしている。いわゆる子供の処世術ということだ。日が暮れる前に家に帰ってしまえばおっかあに怒られることはないが遊びに夢中になって夕暮れまで遊んでしまう。すると家につく頃にはすっかり日が暮れてしまう。だからおっかあにこっぴどく叱られてしまうというわけだ。啓一はおっかあに叱られるのが怖いから日が暮れる前に家に帰ろうと思っているが、遊びに夢中になるとそれを忘れてしまう。なにしろ啓一は小学三年生。まだ遊び盛りの子供だ。
海に遊びに行くなんて絶対におっかあは許さない。なにしろ海はとても遠い。とても遠い海に遊びに行くことは絶対におっかあは許さない。だから本当は海で遊ぶのが目的であるがドラム缶を取りに行くのを口実にした。ドラム缶はお金になるからおっかあは許すだろう。
「え、ドラム缶を取りに行くのか。」
おっかあはドラム缶と聞いて目の色が変わった。
「う、うん。」
おっかあが目の色を変えて顔を啓一に接近させたものだから啓一はおっかあに叱られるかも知れないと後ずさりした。
「渡久地の浜にドラム缶があるというのは本当なのか。」
「うん。清二にいちゃんが言っていた。」
「一本だけあるのかい。」
「たくさんあるらしいよ。砂に埋まっているらしいよ。」
おっかあの目が輝いた。
「渡久地の浜は金網の中だよ。どうして入っていくんだ。パスがなければ入れないはずだよ。」
「清二兄ちゃんは監視員のおじさんと知り合いだから入れるらしいよ。」
おっかあは啓一をじーっと見つめた。啓一はおっかあが怒っているのかと心配し叱られるかもしれないと体を固めた。おっかあを怒らすようなことを言っていない積もりなのにおっかあは怒る時があるからだ。
「渡久地の浜にドラム缶があるというのは本当なんだろうね。」
おっかあはなぜか念入りに聞いてきた。おっかあは自分が嘘をついていると疑っているのだろうかと啓一は思った。でもそれは清二兄ちゃんが言ったことであり啓一は清二兄ちゃんの言ったことをそのまま信じるしかないのだから渡久地の浜にドラム缶があるということが嘘であるかどうかは啓一は知らない。それは清二兄ちゃんが知っていることだ。啓一は返事に困り下を向いた。あっかあに疑われたのでは渡久地の浜にいけないなと啓一は諦めかけた時に、
「確かめてくる。」
と言っておっかあは外に出て行った。
暫くしておっかあが帰ってきた。
「啓一。渡久地の浜にはおっかあも行くからな。」
啓一は驚いた。おっかあのお腹はでっかくなっている。来月には啓一の弟か妹が生まれるはずだ。でっかいお腹のおっかあが渡久地の浜に行くなんて啓一には信じられなかった。

 渡久地の浜はアメリカ軍の基地の中にある。トリー通信基地というアジアで一番大きい通信基地を作るときに海の近くにあった渡久地村をまるごと引越しさせた。渡久地村だけではない。北側の楚辺村もまるごと引越しさせ、大木村や古堅村の半分も引っ越しさせてつくったとても広い通信基地なのだ。金網の中にはとてもでかい鉄塔がいくつも並び、鉄塔の先端には剣の刃のようなものが雲を突き刺しそうに聳えていた。
渡久地の浜に行くには金網の中に入らなければならないが金網の中に入るにはアメリカ軍から発行される通行証が必要だった。通行証はトリー通信基地で働いている人と金網の中に土地を持っている人に発行されていたから啓一のおっかあのようにトリー通信基地に土地を持っていない人間は入ることができなかった。
 しかし、ゲートには沖縄の監視員とアメリカ人の監視員の二人がいたが沖縄の監視員は近隣の村の出身で顔見知りだから話せば入れてもらえる。

啓一はお腹のでーっかいおっかあが渡久地の浜に行くというのでたまげた。なぜドラム缶の話におっかあが目の色を変えたか子供の啓一は分からなかった。戦前は水脈を探し水脈のある場所に井戸を堀り井戸のある所に家を作った。だから各家には井戸があり水に不自由しなかった。ところが大戦争が終わるとアメリカ軍は大きい軍事基地を造るために村々を接収し村々の人々は井戸のないところにも家を建てなければならなかったから水タンクが必要になった。その水タンクにドラム缶はうってつけだったからドラム缶は高く売れた。水道のない時代だ。水をたくさん溜めることのできるドラム缶は貴重なものだった。来月には子供が生まれる啓一のおっかあはお産の費用を稼ぐために啓一たちと渡久地の浜にドラム缶を取りに行くことにした。

日曜日、おっかあはつるはしを持った。啓一はへらだ。啓一の家にはスコップというしゃれたものはない。啓一のおとうは戦前も農民で戦争の時は兵隊に行ったが戦争から帰ってきても多くの人が軍作業員になったり基地の近くの街で働くようになっていたが啓一のおとうだけは農民をやっていた。昔ながらの農業にはスコップは必要ない。鍬と鎌があればやっていける。だから啓一の家にはスコップはなかった。
清二の家の近くの三叉路に大きながじゅまるの木があり、木の下が集合場所になっていた。
「おっかあ。ぼくがつるはしを持つよ。」
でっかいお腹のおっかあにつるはしを持たすのはかわいそうな気がした。
「そうかい。すまないね。」
啓一とおっかあはつるはしとへらを交代した。
 がじゅまるの木の下にはてっちゃんの弟のてつだけでなくお父とお母も来ていた。てっちゃんは名前を哲夫といい啓一よりふたつ上でてっちゃんの屋敷の回りには大きいがじゅまるの木が防風林として植わっていた。がじゅまるの木に家を作って啓一はてっちゃん兄弟とよく遊んでいた。
「てっちゃんのお父とお母も行くのか。」
「ああ。」
てっちゃんはお父とお母が一緒に行くのはおもしろくないようだ。苦虫を潰した顔をして舌打ちをした。てっちゃんは哲一といい、てつはっちゃんの弟で哲三といい七歳になる。てつははしゃいでいる。渡久地の浜に遠足をする気分だ。啓一もてつと同じ気持ちだ。てっちゃんはお父とお母が遠足気分を壊してしまうので不機嫌だった。

カーっと晴れた空だ。
白雲に朝の太陽がぶつかってまぶしい。

古堅村を過ぎると金網に囲まれた場所に出た。金網は古堅村から大木村そしてそべ村へと続いていた。金網の入り口に来た。啓一たちは心配そうに目を合わした。啓一のお母と清一のお母も不安そうである。入り口にはアメリカ兵が立っていた。清一はアメリカ兵に通行許可証を見せるとアメリカ兵は手に取って確かめ、通行許可証が本物であることに頷きながら清一に返した。清一は詰め所の側に立っているガードマンに近づいた。
「源三さん。あいつらも入れてくれないか。」
源三は困ったようで腕組みをした。
「子供はいいが、大人は困る。」
「頼むよ。」
二人は詰め所の中に入って行った。
「子供を連れてくると言ったじゃないか。子供なら入れてもいいと言ったはずだ。大人は困る。」
清一は頭を掻いた。
「その積もりだったが。ドラム缶を掘ると聞いて是非一緒に掘らせてくれと頼まれたのだ。断ることができなかった。ナビーさんはもうすぐ子供が生まれるらしい。お産費用にしたいと泣きつかれた。」
源三は外を見た。お腹の大きい女が心配そうに詰め所の方を見ている。
「そうか。子供が生まれるのか。お産の費用にするのか。」
源三は独り言のように呟いた。
「おじさん。お願いだ。みんな入れてくれ。」
源三は暫くの間迷っていたが、
「分かった。みんなをここに呼んでくれ。」
清一は外に出て、入り口に立っているみんなを呼んだ
いよいよ金網の中に入るのだ。啓一はぞくぞくしてきた。安全な地帯との結界を越えて危険地帯に入ったような気分である。啓一のお母とてっちゃんのお母とお父は詰め所の中に呼ばれた。

 啓一はアメリカ兵の側に近寄った。一メートル八十センチを越す大きな体のアメリカ人だ。赤ら顔のアメリカ人はまだ十九歳の軍人で動きはぎこちなかった。ちらちらと啓一たちの方を見たりした。
「おい、本物の拳銃だよ。」
アメリカ兵の腰にはコルト45軍用拳銃がホルダーに収まっていた。啓一とてっちゃんとてつはアメリカ兵の回りに集まって拳銃を見つめた。ずしりと重そうな拳銃である。本物の拳銃を間近で見ているとぞくぞくしてくる。アメリカ兵は子供たちが回りをうろうろしていることに戸惑い、咳をして腰を揺らした。
「おうい。行くぞ。」
精一は三人を読んだ。源三は三人の名前を聞いてノートに記した。名目には畑仕事と書いた。一九五七年の頃、知り合いは顔パスで通れる時代であった。

 黒いアスファルト道がぐーんとまっすぐ伸びている。アスファルトが舗装されているのは沖縄の幹線道路である一号線だけである。村の中央通りも学校へ行く道路も砂利の道だ。アスファルト道路はバスやタクシーやジープにトラックそして戦車が走る。人はアスファルト道路を横切るだけだ。ところが金網の中のアスファルト道路は車が通る気配がない。歩道もないからみんなはアスファルト道路の真ん中を歩いた。恵一たち子供は平らなアスファルト道路でかけっこした。
 広くて舗装された道路を自在に歩くのは初めてだ。気持ちいい。開放された気分だ。

 アスファルトが途絶えて赤土が剥き出しなった道になった。道の中央は雨水に抉り取られて溝になっていた。
「海だあ。」
渡久地の浜に出た。真っ白な砂浜がズーっと続いている。啓一もてっちゃんもてつも「うわー。」と叫びながら砂浜に走りこんだ。朝日に映える砂浜はまぶしい。

砂浜は三百メートルの長さがあり砂浜が切れてアスファルで固められた広場があり、広場には山のように大きい岩があり海に突き出ていた。直角に切り立った岩山は十メートルの高さがあった。
 啓一は岩を見上げた。
「高えなあ。」
直角の岩は登れそうにない。岩山の側から海を見た。波が真下の壁にざぶーんとぶつかっては返す。
「おまえたちい、なにをしているんだあ。こっちにこうい。」
精一の声が聞こえた。啓一たちは精一のところに走った。
 十三個のドラム缶が砂に埋まっていた。ドラム缶は空であった。でこぼこな海岸に空のドラム缶を敷いて平坦にしたのだろう。渡久地海岸はアメリカ軍が上陸した場所である。ドラム缶を敷いた場所は指令部だったかも知れない。おっかあたちはどれが掘りやすいかどれが穴が空いていないかを調べた。
啓一のおっかあは西側にあるドラム缶を掘ることにした。ドラム缶は砂に埋まっていた。砂はコンクリーのように固くつるはししか使えなかった。大人たちはドラム缶を掘り起こした。子供たちは手伝っていたが、手伝うことにあきて遊びたくなっていた。

岩山に近づき、岩山の右側に回ると七〇度の崖になっていた。
「こっちから上れるかも知れないぞ。」
啓一は岩を登り始めた。ところどころに足場があり予想外に簡単に登れた。岩の頂上まで登った。岩の上は平らになっていた。岩の頂上まで登って啓一は驚いて足を止めた。岩の頂上には先客が居た。親子のようである。ぼろぼろなクバ笠を被っている男は痩せていて色が黒かった。タオルを頭に巻いている男は太っていて若かった。二人が海に向かって座っていた。若い男は啓一に気づくと立ち上がって回りを見回した。くば笠の男は啓一をぎろっと見た。鋭いめつきに啓一は緊張し体が硬直した。啓一は後ろから上ってきたてつに「しー。」と口に指を立てた。

 男は啓一たちに立ち去るように手を振った。啓一たちは岩を下りて行った。

 岩の男はタバコを缶の火縄につけると火縄から煙が昇った。男は缶を海に放り投げた。缶が海面に落ちて数秒するとドーンと水柱が上がった。そして、爆発でショックを受けた魚が海面に浮かんだ。二人の男は岩から下りて小さなサバニに乗ると沖へ漕ぎ出した。
 ドーンという音にドラム缶を掘っている大人たちは驚いた。
「なんの音だ。」
「どこから聞こえた。」
回りを見るとなにも変わった様子は見えない。
「あっちから聞こえた。」
と精一が岩の方を指すと啓一たち子供がいっせいに岩の方に走り出した。大人たちもスコップやつるはしを置いて海の方に近づいていった。
 数十メートル沖に浮かんでいるサバニの二人の男は海面に浮かんでいる魚を拾っていた。
「ハッパだ。」
「ああ。ハッパだ。」
大人たちはそう言いながらサバニを見ていた。
「あれはなんだあ。」
とてっちゃんが大声を出した。啓一がてっちゃんのところに行くとてっちゃんは海の方を指していた。
 岸から十メートルくらい沖で銀色に輝くものが波に揺られていた。魚のようであるがはっきりは分からない。大人たちも寄ってきた。てっちゃんは海に飛び込んだ。銀色の物体に近づいていったが、てっちゃんは銀色の物体の位置を見失った。
「もっとみぎー」
岸に居る人間たちはしきり銀色の物体の位置をてっちゃんに知らせた。それでもなかなかてっちゃんは銀色の物体を見つけきれなかった。やっと見つけて銀色の物体を掴んで持ち上げた。それはハッパで死んだ五十センチほどの魚だった。てっちゃんは魚を持って陸にあがった。
「なんの魚だ。」
「かつおか。」
「いやかつおじゃねえ。」
「まぐろか」
「まさか。」
誰も魚の名前を知らなかった。
「どうするおっかあ。」
てっちゃんはおっかあに聞いた。おっかあは手を振っててっちゃんに家に帰れと指示した。てっちゃんはおっかあに頷いた後、家に走って帰っていった。

 掘り返したドラム缶を海岸まで運び出した。砂浜の陸地の部分はドラム缶を運ぶうちに砂が固められて一本道になっていた。

啓一はドラム缶を転がした。子供だからまっすぐに転がすことはできなかった。右にゴロゴロ左にゴロゴロ転がした。それでも懸命に転がした。
 古堅村のくず鉄屋に到着した頃にはすっかり日が暮れていた。

 おっかきあは精一に言った。
「啓一はあんなに頑張ったんだよ。五十円は安いよ。せめて半々にしてくれないか。」
おっかあは交渉して啓一の貰い分を百円にした。百円はすべておっかあの懐に入った。

 はるか遠い沖縄がゼロから少しずつ復興している時代の話である。
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観念民主主義論から現実民主主義論=議会制民主主義論へ



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  観念民主主義論から現実民主主義論=議会制民主主義論へ

 私が最初に出版した本は「沖縄に内なる民主主義はあるか」であるが、実はこの本の中には「民主主義」という言葉は一度も出てこない。民主主義はあるかと書いてあるから民主主義についての追及の本であり民主主義とはどういうものであるかについての考えを書いてあるのが当然であるのだが、「沖縄に内なる民主主義はあるか」は民主主義については書いてない。その時には民主主義とはこういうものであるとはっきりと説明することができなかったから書けなかった。ただ、高校の時に習った議会制民主主義こそが民主主義であるという信念をずっと持ち続けていた。誰もが知っている議会制民主主義こそが民主主義であると思っていたが、そのことをちゃんと説明できる状態ではなかった。議会制民主主義は誰でも知っていることだから教科書のように説明をしても誰も注目はしないだろう。だから、議会制民主主義について集中的に説明することはしなかった。しかし、翁長知事や共産党、沖縄革新のほうが民主主義を主張し、沖縄には民主主義がないなどと吹聴している。マスコミや評論家も同様である。沖縄には彼らの言う民主主義はない。しかし、日本は議会制民主主義国家であり、沖縄は日本の地方自治体である。沖縄には歴然として議会制民主主義が存在する。そのことを徹底して明らかにしていかなければならないと思うようになった。
 翁長知事誕生からの沖縄はエセ民主主義が横行している。翁長知事や沖縄革新は沖縄には民主主義がないといいふらし、安倍政権を非難している。余りにもひどい沖縄の政界である。日本は議会制民主主義国家である。法律は全国一律に適用している。沖縄だけに特別な法律が適用されているわけではない。沖縄も日本の地方自治体としての権利は他の自治体と同じようにある。
 翁長知事や革新国会議員が辺野古移設反対を公約にして当選したのに政府が辺野古移設を進めているのは沖縄に民主主義がないと言っているが、辺野古移設は政府と沖縄県が民主的な手続きによって決まったことである。2010年の民主党政権の時に辺野古移設は決まった。そのことを無視しているから沖縄に民主主義がないと言えるのである。民主主義のルールを破ったのが翁長知事、革新国会議員である。
翁長知事や沖縄革新は沖縄に民主主義がないと主張することによって議会制民主主義を破壊する方向に進んでいる。そんなことは今の日本に通用しない。辺野古移設は確実に進み、翁長知事、沖縄革新は県民の支持を失っていくだろう。

翁長知事や沖縄革新の議会制民主主義を無視したエセ民主主義をバックアップしているのが沖縄2紙であり本土の朝日新聞などのマスコミである。なぜ、彼らはエセ民主主義をバックアップするのだろうか。それにはいくつかの原因があるが、その中でも大きいのが彼らの唱える民主主義は議会制民主主義を認識していない観念民主主義であるからである。

朝日新聞デジタルに高久潤氏のコラム「大衆迎合、なぜダメ? ポピュリズムと民主主義の違いは」が2017年4月23日に掲載された。
高久氏はポピュリズムは大衆迎合主義であるといい、ポピュリズムについて述べ、民主主義の基本には人民主権があり、民主主義とポピュリズムは違うものであると述べている。そして、「選挙は民主主義の回路の一つに過ぎない。それを絶対視し、民意を聞けば『何でもできる』と語るポピュリストは実は古いタイプの政治家です」とポピュリズムを批判している。

高久氏は選挙はポピュリズムと言い、選挙戦でトランプ氏はツイッターで虚実ない交ぜの情報を発信するなどして関心を集め、既存の政治に不満や怒りを抱く人たちの心をつかんで支持を拡大したのはポピュリズムの典型例として批判も根強いと述べている。高久氏は人気取りの選挙は民主主義の回路の一つに過ぎないというのである。しかし、高久氏は選挙の一面だけを捉えてポピュリズムであると認識している。議会制民主主義における選挙は一度きりではない。選挙は繰り返し行われる。今度の大統領選でトランプ氏はアメリカ大統領になったが任期は4年間である。4年を過ぎれば次の大統領選挙が待っている。トランプ氏が次の大統領選に立候補した時は、彼の4年間の実績を米国民は評価して、彼に投票するかしないかを決める。また、任期中に失政が続いて米国民の支持を失えば大統領の座から下ろされることもありうる。選挙は繰り返し行われ、国民の厳しい評価が下される。それが選挙の本質である。
高久氏は選挙の一面だけをみているに過ぎない。選挙は人気で選ばれるポュリズムかもしれないが次には実績を厳しく問われる。それが選挙であり、議会制民主主義である。それに議会制民主主義は法治主義である。選挙で当選すればなんでも許されるというものではない。例え大統領であっても違法行為を行えば失脚するし裁判で裁かれる。
韓国の朴槿恵大統領は違法行為をやったことで、韓国の国会で弾劾訴追されたが、職務停止中の朴槿恵大統領について、韓国の憲法裁判所は3月10日、罷免を認めるとの審判結果を発表した。朴槿恵大統領は即時罷免され、失職した。
選挙で選ばれても違法行為をすれば罷免させられるのである。それが議会制民主主義だ。議会制民主主義は観念民主主義ではなく現実民主主義である。現実民主主義は法治主義であり、三権分立である。例え大統領であっても違法行為をすれば法によって罷免されるのである。これもまた民主主義だからである。観念民主主義でしかない高久氏の民主主義は現実の民主主義である議会制民主主義を正確に理解することができない。彼の民主主義は現実には通用しない観念民主主義である。

高市氏は
「米国の公民権運動やベトナム反戦運動の展開を踏まえ、デモやNPO活動など選挙以外の手段で、私たちは民意を「表現」し、民主主義をよりよいものにアップデートしようとしてきた」と述べている。
 公民権運動は民主主義であるがベトナム反戦運動は民主主義ではない。高久氏は民主主義は反戦であると考えているがそれは間違っている。反戦は民主主義ではない。民主主義であっても戦争をする。民主主義だからこそ民主主義を破壊する勢力とは戦争をする。米国は朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争をした。これは米国が民主主義国家だったからやった戦争である。反戦運動が民主主義であると思うのは高市氏が米国は民主主義国家であることやそれぞれの戦争の性質を正確に分析していないからである。
戦後初めに米国が戦争したのが朝鮮戦争であった。朝鮮戦争は社会主義国家である北朝鮮が南朝鮮に侵略してきたから、北朝鮮の侵略を防ぐために戦争をした。そして、社会主義である北朝鮮軍を南朝鮮から退却させた。南朝鮮の領土を守ったのが米国の朝鮮戦争である。
ベトナム戦争も北ベトナムの侵略があったから米国は介入したのである。
ベトナム戦争は社会主義国家であった北ベトナムが南ベトナム軍事独裁国家を倒して社会主義国家にしようとして起こした。米国は南ベトナム政権を守るために戦争をした。それは社会主義国家北ベトナムと民主主義国家米国との戦争であった。ベトナム反戦は民主主義国家米国がベトナムから引き上げることを要求した反戦運動であった。米国が引き上げれば南ベトナムは社会主義国家北ベトナムに支配される。ベトナム反戦運動は南ベトナムが北ベトナムに支配されることを要求する運動でもあったのである。社会主義国家と戦っている民主主義国家米国の戦争に反対することが民主主義であるはずがない。むしろ、米国を応援して北ベトナムの南ベトナム侵略に反対するほうが民主主義と言える。
ベトナム反戦は人間が殺し合うことに反対したのであって、民主主義思想によって反戦運動したのではない。ベトナム反戦は人間の生を大事にするヒューマニズムと言うことはできても民主主義とは言えない。高久氏はヒューマニズムと民主主義を混合している。それは高久氏の民主主義が観念論であり、ヒューマニズムと民主主義の区別もできないものであるからである。

湾岸戦争はイラクのフセイン軍事独裁国家がクウェートに侵略したのを跳ね返すために起こした。
アフガン戦争ではタリバン独裁国家を倒し、またイラク戦争ではフセイン軍事独裁国家を倒して、アフガンもイラクも議会制民主主義制度を樹立した。米国が民主主義国家だったから独裁国家を倒して議会制民主主義制度を樹立したのである。米国はタリバンに武器を捨てて議会制民主主義政治に参加するよう根気よく呼びかけている。しかし、タリバンは武器を捨てない。武器で再びアフガンを支配しようとしている。タリバンの武力支配を防ぐために米軍はアフガンに常駐している。イラクではISISが武力でイラクに侵略した。米軍はISISをイラクから撃退するために空爆を行い、イラク軍を指導して強化している。
民主主義国家米国がアフガン、イラクの独裁政治を倒して議会制民主主義制度を樹立したことは高く評価するべきである。しかし、日本のマスコミも評論家も評価していない。彼らには観念民主主義はあっても現実民主主義=議会制民主主義思想がないからである。
日本のほとんどのマスコミや評論家はイラクに核兵器はなかったのに核兵器を隠し持っていることを理由にして米軍がイラクに進攻したことを非難している。そんなことよりフセイン軍事独裁国家を倒して議会制民主主義を樹立したことが素晴らしいことである。独裁国家を民主主義国家にしたことを高く評価するべきである。

高久氏はデモやNPO活動を「民意」というが、それは一部の人間たちの「民意」であって国や自治体レベルの「民意」ではない。デモやNPO活動は民間における一部の市民の私的活動であるから「民意」ではない。「民意」であるか否かは国や自治体レベルであるか否かで判断するべきであって、デモやNPO活動だから「民意」であると決めつけるのは間違っている。
デモやNPO活動を「民意」と決めつけて、それを広めていって民主主義をよりいいものにしてきたと主張するのはマスコミの自惚れでしかない。民主主義ではないデモやNPO活動を広めて民主主義を歪めることもある。それが日本のマスコミである。

高市氏は「ルソーが『社会契約論』で語ったように、民主主義の基本には人民主権という考え方がある」と述べ、ルソーの時より、現代の民主主義はさらに進んできて、「主権を持つ「我々」の内部にはいろんな人がいることに気づいている。その「違い」を守る仕組みを含めて民主主義と考えるというのだ」と述べているが、政治における民主主義は「違い」を守ることではでない。「違い」を守る政治はいくつもの主張を放置状態するものであり、それでは実行ができない政治になってしまう。高市氏のいう民主主義は主張がバラバラの状態を放置する政治である。それは観念民主主義やマスコミ報道ではゆるされても現実民主主義では無能な政治になってしまう。高市氏のいう民主主義は現実に通用しない観念民主主義でしかない。現実民主主義は「違い」を賛成多数によって「一つ」にすることである。多数決は現実民主主義には不可欠である。多数決なしには現実民主主義は成り立たない。
ルソーのいう人民主権を実現する方法として普通選挙による議会制民主主義があり、多数決があり、三権分立があり、法治主義があるのである。
高市氏だけでなくマスコミや評論家には観念民主主義が蔓延していて現実民主主義はない。だから、翁長知事や沖縄革新のエセ民主主義に賛同してバックアップするし、共産党の「民主主義」が議会制民主主義を破壊するものであることを見抜けないのである。


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