阿久根市の真実

ブログ市長激白「議会と役所に癒着するメディアは許せん」
2010.09.27 14:15

 人口約2万4000人の漁業の町・鹿児島県阿久根市。その名を全国に知らしめた「ブログ市長」こと竹原信一市長(51)は、市議会の決議を受けずに条例を定める「専決処分」を次々に発して過疎の町を立て直そうとした。
 
 だが、途中から「係長解雇」「マスコミ締め出し事件」などが報じられるなど、竹原市長は、なぜ市政の混乱を招くことを承知の上で過激な手段を続けたのか。これまで沈黙を守ってきた竹原氏が口を開き、「議会、行政とスクラムを組んだ記者クラブメディアという第3の既得権益」との闘いを初めて語った。
 なぜ私が記者クラブと対立するようになったのか。それは、メディアが市民ではなく、議会や役所を向いて報道をしているからです。そのことに気付いたのは、私がまだ市議だった06年、医療費の受給資格証の申請について市民から相談を受けたことがきっかけでした。
 その女性は何度も市役所の担当課に足を運んだが、窓口の女性職員から「私は忙しいのよ。申請者も一杯いるんだから」と邪険にされ、一向に資格証が発行されないという。そこで私が直接調査をしたところ、女性職員が職務怠慢で事務処理をサボっていたことがわかった。
 ところが、鹿児島の県紙・南日本新聞はそのことを「ファイルに保管したまま交付していないことに気づいた」と、職員のうっかりミスだったかのように報じた。私は議会でもこの問題を指摘したので、南日本新聞が女性職員の怠慢を知らないはずがない。新聞記者は、市民よりも役人を大切にするんです。信じられないけど、これが現実だった。
 その後、私は何度もブログの中で、南日本新聞が役所や議会とベッタリの「御用マスコミ」だと指摘した。例えば、前市長が、市の職員の退職金を勝手に増額して問題になったことがあった。市民が前市長や元総務課長を鹿児島地検に告発したので、全国紙はこの問題を取り上げたけれど、南日本新聞は全く触れない。
 竹原市長と南日本新聞の確執が他のメディアにも拡がった背景を、市長派市議が説明する。
「記者クラブメディアの中で唯一、阿久根に記者が常駐しているのが南日本新聞。鹿児島市や薩摩川内市に拠点を置く全国紙の記者は、南日本新聞から阿久根市関連の情報をもらうため、論調も追従する。それが、南日本新聞の市長批判が他紙にも波及した原因でしょう。
 県紙である南日本新聞と県知事や県庁との親密な関係も一因だと思う。改革派として注目を集める竹原さんが、今後、知事選にでも打って出れば脅威となると感じた現知事周辺の意向があったと聞いています」
 今年3月の議会で、私は市民を欺く記者クラブではなく、市民の権利こそ尊重すべきだと考えました。前述の鹿児島市長や大牟田高校の件などでウソを報じた朝日、毎日、読売、南日本新聞、南日本放送のメディア5社のカメラを議場に入れないことを議長に申し入れ、その代わりに、禁じられていた市民による議会の録音や撮影を許可するように要求した。
 ところが議長2つとも拒否。議長が市民よりもマスコミのカメラを選んだのです。翌日は、「マスコミがいるから」という理由で私が議会出席を拒否した、というバッシング報道でした。議会は、マスコミだけに撮影、録音を許すことで無責任で背信的な議員たちの生態を隠している。そして、この利権を共有するマスコミが私を攻撃した、という構図です。
 記者クラブと議会の蜜月関係を示すいい例がある。阿久根には南日本新聞しか常駐していないので、市役所内に「記者クラブ室」を設けていない。しかし、議長の管轄下にある市役所3階の一室が、記事などを書くためのクラブ室として提供されているのです。
 メディアは、取材に応じない私とは対照的に、情報をくれて、さらにお茶付きの部屋まで使わせてくれる議会が大切なのでしょう。
聞き手■白石義行
※週刊ポスト2010年9月24日号

リコール失職 竹原前市長の政策は市民の意見を反映していた


NEWS ポストセブン 12月18日(土)10時5分配信
 鹿児島・阿久根市で行なわれたリコール投票の結果を受けて、竹原信一・市長が失職、2011年1月16日に出直し選挙が行なわれる。
 
 リコール委が活動(リコール実施の署名活動)を始めたのは2010年5月。きっかけは竹原氏が専決を連発して、「市民減税」の実施を決めたことだった。

 その内容は、「市議報酬の日当制」「市長、市役所職員の賞与半減」を行ない、それを財源として「法人市民税減税」「固定資産税減税」「手数料値下げ」などに充てるというもの。

 その目的は、市民の世帯年間平均所得が200万円であるのに対して市役所職員の年収が700万円という、阿久根市の歪な構造の改善である。
 
 そもそも、3月に竹原氏が市報を通じて行なったアンケートで、市民の76.5%が「日当制に賛成」と答えたことが制度改正のきっかけだった。市民が喝采を送った政策に、なぜ市民団体はリコールを起こしたのか。

「われわれは竹原氏の手法に異を唱えてリコールを起こした。彼の政策に反対しているわけではないし、市議や市役所の代弁者などといわれるのは心外です」

 そう川原慎一・リコール委員長は強調するが、「どうやって市政のリストラや減税を実現していくのか」と尋ねると、答えは苦しい。

「竹原氏のやり方は性急すぎる。私たちは時間をかけて市議や役所職員と話し合い、彼らも納得できる解決を目指している」

 反市長派市議の中面幸人氏も、「市議や市職員の給与削減は竹原でなければできないと思われているが、われわれは3年、5年と段々下げていって格差をなくしたいと考えている」と口を揃える。

 だが、「市議や職員も納得できる方法」では、市民減税が頓挫するのは目に見えている。まして、税収(18億円)より市職員人件費(23億円)が多いという状況を、「5年かけて」是正するというのは、市民の求める市政とはかけ離れているといわざるを得ない。

※週刊ポスト2010年12月24日号

新聞報道だけでは、乱暴でむちゃくちゃな政治をやる市長だというイメージが強かった。しかし、あるテレビ番組で前竹原市長が市長になった理由や彼が目指している政治を知ったとき、確かに彼のやり方は乱暴ではあるが、彼の目指している政治は市民のための政治であることを知った。
前竹原市長の目指す政治と名古屋市の河村市長の目指す政治は同じであり、議会は名古屋市とまったく同じ状況なのだ。それに前竹原市長のほうが役所改革は具体的であるがゆえに役所の抵抗もつよい。

阿久根市長選で竹原氏が三度当選し、議会のリコール選挙で竹原氏側の議員が過半数を占めれば、阿久根市の構造改革が実現するだろう。
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