県教育庁の卑劣なやり方

県教育庁の卑劣なやり方
県教育庁(大城浩教育長)は14日、
2013年度に県内の小中学校で使用する教科書の需要冊数報告書を文部科学省に郵送したが、
なんと、報告書には八重山地区の中学校中学校公民教科書数を含んでいないという。



公民教科書数を含んでいない理由として
「教科書無償措置法では同一地区、同一教科書と定められている。
昨年と同様に統一できていないものについては、報告を見送ることとなった」と述べている。
県教育庁(大城浩教育長)は
公民の教科書数を文科省に送らなければならないということを本当は知っている。
しかし、育鵬社を否定する自分たちの政治思想を押し通すために
公民教科書の冊数を送らなかったのだ。

八重山地区の公民の教科書の冊数を文部科学省に報告しないことが間違っていることを
私の「沖縄に内なる民主主義はあるか」で詳しく書いてあるが、
新聞記事だけからでもそれは証明できる。

「使用する」教科書は
八重山地区の石垣市、竹富町、与那国町の教育委員会が集まって
同一の教科書を採択することはしない。
それぞれの教育委員会がそれぞれの自由な判断で教科書を採択する。
つまり、石垣市の中学校が使用する教科書は石垣市の教育委員会が採択する。
竹富町や与那国町の教育委員会が石垣市が使用する教科書に一切口出しはできない。
だから、使用する教科書は別々の教科書になる可能性が高いし、別々の教科書でいいということだ。
それぞれの市町で使用する教科書を採択する法律は地方教育行政法に定められている。

他方、文部科学省が無償給与する教科書は無償措置法で同一にしなければならないと定めている。
だから、三市町の合同で協議会を創設して、
その協議会で八重山地区に無償給与する教科書を決める。
それが八重山地区採択協議会である。
八重山地区採択協議会では文部科学省が八重山地区に無償給与する教科書決めるだけである。
使用する教科書は八重山地区採択協議会では決めない。
使用する教科書を決めるのは各市町の教育委員会である。

県教育庁義務教育課は、
「教科書無償措置法では同一地区、同一教科書と定められている」を理由に
公民の教科書の冊数を報告しなかったとコメントしている。
それは間違った行為である。
県教育庁は故意に地方教育行政法と無視用措置法をダブらせている。
県教育庁義務教育課のいう、
「教科書無償措置法では同一地区、同一教科書と定められている」のは
文部科学省が八重山地区の学校に無償給与する教科書のことであって、
八重山地区採択協議会によってすでに公民は育鵬社に統一されている。
だから、文部科学省は石垣市、竹富町、与那国町に育鵬社の教科書に限って無償給与する。

統一されていないのは使用する教科書である。
使用する教科書を採択する権限は各市町の教育委員会にあり、
石垣市と与那国町が使用する教科書は育鵬社版、
竹富町が使用する教科書は東京書籍版になった。
問題は竹富町である。
文部科学書が無償給与する育鵬社版以外の東京書籍版を選択したから有償になる。
それだけのことだ。

使用する教科書は同一である必要はない。
県教育庁が報告しなければならないのは各市町村で使用する教科書の冊数だから、
石垣市、竹富町、与那国町が報告してきた使用する教科書の冊数を
文部科学省に報告すればいいのだ。

無償給与する教科書を最終的に決定するのは無償給与する文部科学省である。
県教育庁は無償給与するか否かについてはなんの権限もないし、
無償給与する冊数を報告する必要もない。

使用する教科書を採択する権限は各市町の教育委員会にある。
県教育庁が使用する教科書を決める権限はない。

県教育庁は
各市町村の委員会から報告された教科書の冊数を文部科学省に報告する義務があるだけだ。

石垣市、竹富町、与那国町の中学三年生が使用する公民教科書の冊数を
文部科学省に報告しないのは県教育庁の義務違反である。

理由にならない理由をつけて報告しないのは
県教育庁が法律を間違った解釈をしているからではない。
法律を間違った解釈をしているのを県教育庁とっくに承知している。
報告をしないのは県教育庁に蔓延している左系の政治思想が原因である。
県教育庁は左系政治屋たちの巣窟になっているのだ。
これではまともな教育ができるはずがない。
学力全国最下位も納得せざるをえない。
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9・9県民大会は参加する価値がない


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県民大会でオスプレイ阻止はできないのに


オスプレイ配備反対県民大会をやってもオスプレイを阻止するのは100%できない。
実現の可能性がゼロであるオスプレイ配備反対の県民大会を開く意義はない。
新聞なら「初めから配備ありき」などと日米政府を非難する記事を掲載してもいいだろう。
しかし、マスコミと政治は違う。政治はもっと現実的に考え、
市民生活が少しでも平穏な生活を送る努力をしなければならない。

沖縄の政治家に要求されるのは
オスプレイの配備を阻止する実力が自分たちにあるかどうかを判断することである。
もし、阻止する実力があれば命がけで阻止活動をすることだ。
しかし、阻止する実力がなければ
オスプレイ配備の条件を改善させることができるかどうかを考えるべきだ。
離着陸の時に事故を起こさないようにさせたり、
騒音被害を軽減させる努力をするべきだ。

ところが沖縄の政治家たちは実現不可能なオスプレイ配備反対の運動に熱狂している。
実現不可能なことを平気でやるのが沖縄の政治家だ。
9・9県民大会は翁長那覇市長の旗振りで沖縄市町村長が主催している。
彼らは選挙で選ばれた者たちであり、
県民・市民生活の安全の確保に責任がある。
今回の9・9県民大会を開催することが県民・市民生活の安全をもたらすものであるのだろうか。
つまり、県民大会を開催すればオスフプレイ配備を阻止することができるのか。
答えはNOだ。
普天間ヘリコプター飛行場は日米のアジア戦略のひとつであり、
オスプレイ配備は老朽化したCH46ヘリコプターとの入れ替えであるから阻止は絶対にできない。
沖縄の首長たちはこの事実を認識しなければならない。
正しい認識をして9・9県民大会ではなくオスプレイの安全運行を日米政府と交渉するべきである。
ところがところが沖縄の首長たちはオスプレイ配備反対9・9県民大会の開催にまい進しているのだ。
特に翁長那覇市長、佐喜真宜野湾市長は舞上がっている。
彼らはオスプレイの安全運行には全然興味がない。
むしろ、9・9県民大会を成功させるためにはオスプレイは危険なヘリコプターでなければいけないのだ。
彼らは故意にオスプレイの安全性を無視している。
彼らはオスプレイは危険だと主張し続け、
政府や米軍への交渉をしない。
オスプレイの安全運航の確保に全然努力しないのが沖縄の政治家である。

翁長那覇市長は9・9県民大会で自分の支持層を増やして
11月の那覇市長選で当選するのが目的である。
佐喜真宜野湾市長は9・9県民大会を政府への圧力に利用して
宜野湾市への補助金を増やすのが目的である。
彼らにはオスプレイ運行の安全性を高めることには関心がないのだ。

9・9県民大会は参加する価値がない。

ゼロ校時校長責任調査


高校の教師が背筋が凍るような調査が始まった。
県教育庁は全県立高校の学校長に対し、
過去10年間の歴任校で、
兼職兼業の承認を得ずに早期講座(ゼロ校時)を実施したかを確認する調査をしていることが31日に分かった。同庁は、
兼職兼業の無届けという違法状態が続いてきたことに対し、
責任の所在は「兼職兼業願いを申請しなかった学校と、指導すべき立場の県立学校教育課にある」
と同じ穴のむじなであったはずの県教育委員会が
ゼロ校時は犯罪であり、
県教委とは関係がないと学校現場を突き放した行為に出た。
「慣例で続いてきたとはいえ、
学校が兼職兼業が申請をしてこなかったのは事実。
問題の大きさから、行政側、学校現場の双方に責任があるとした」
とゼロ校時問題は違法行為であると県教委は認め、
「昨年まで違法状態が続いたことに対し、県教委が関係者の責任の所在について調査・検討する」
と宣言して歴任校長に
「兼職兼業なしに時間外講座を行った実態があったか」
と質問し、
9月5日までに回答するように求めたのだ。
県教委はゼロ校時問題の責任を現場に押し付けて自分は責任逃れを決めたようだ。
以前はゼロ校時をかばう態度を取っていたが今回はゼロ校時を違法だとはっきり言っている。
県教委はもう、ゼロ校時をかばうことができないと観念したようだ。
学校現場は、
「通知には行政上部の責任については触れられていない。現場に責任を押し付けようとしているのでは」
と疑心暗鬼になっている。
ある県立高校の校長は、
「突然、何の説明もなく用紙が届いた。見方によってはわれわれ現場の校長に、
ゼロ校時問題の責任を押し付けようとしているようにも感じる。
ゼロ校時が始まった背景、
県教委の責任もきちんと考えてもらいたい」
とゼロ校時が現場、校長、県の教育界全体が関わっていたことを暗に吐露しながら、
県教委の逃げを警戒している。

新聞は
1、教員が兼職兼業願いを提出し県教委が商人する。
2、PTA主催するなどの一定の条件を満たせば、保護者から報酬を得て開催できる
と県教委が7月に指針を示していたと述べているが。
あの時すでに文科省はゼロ校時は兼職兼業には当たらないという見解を出していた。
県教委は文科省を甘くみていたのだ。
過去10年間沖縄の公立高校ではゼロ校時の違法な報酬をもらっていた。
それは莫大な金額である。
違法だから全額返済をしなければならないだろう。
これは現場とってすごい恐怖だろう。

八重山教科書冊数国報告を見送りへ


県教育庁は法律を全然理解していない。
あきれる。
教科書無償措置法で決めるのは国が無償給与する教科書だ。
県教委は「昨年の採択地区協議会で一本化できなかった」と述べいるが、
無償給与する教科書は育鵬社の教科書に一本化している。
一本化できなかったのは各中学で使用する教科書であって無償給与する教科書ではない。
県教育庁はいまだに
「国が無償給与する教科書」

「各中学が使用する教科書」
の違いを理解していない。
県教育庁が国に報告するのは
無償給与する教科書の冊数ではなく使用する教科書の冊数だ。
使用する教科書は石垣市と与那国町は育鵬社版であり竹富町は東京書籍である。
その冊数を報告すればいいのだ。
あまりにも無知な県教育庁である。
これが沖縄の教育界のトップかと思うと恥ずかしい。




掲示板の方が対話がやりやすいと思って。
掲示板をつくりました。
みなさんの意見・感想は
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八重山教科書裁判には裏がある

8月1日に行われた八重山教科書問題の裁判の経過について、
狼魔人日記が詳しく書いている。
この裁判は非常に奇妙な裁判である。訴える相手は本来は文科省であるのに、
妙な理屈をつけて石垣市と与那国町の教育長を訴えている。
私の「沖縄に内なる民主主義はあるか」で
八重山教科書問題について詳しく追及しているが、
石垣市と与那国町が育鵬社の教科書を採択したのに落ち度は全然ないし
教育長の行動にも全然落ち度がない
。この裁判は100%原告が負ける。
それなのに裁判をしているのである。
政治集団なら100%負ける裁判でも
思想信条の理由で裁判を起こすのは理解できるが、
この裁判は生徒とその両親である。
つまり一般家庭の人が原告なのだ。
裁判には多額な弁護士料が必要である。
100%負ける可能性が高い裁判を一般家庭がやるのはありえない。
この裁判には裏がある。

この裁判はとてもややこしい内容であり、
一般の人では絶対に思いつかない訴えかたある。
私もうまく説明はできない。
裁判について説明すると、

石垣市と与那国町の小学生または中学生がいずれ中学三年生になるが、
中学三年生の公民を育鵬社にしたのは9月8日の全員協議の決定に違反している。
石垣市と与那国町は東京書籍にするべきであるのにしていないということで
石垣市と与那国町の教育長を訴えている。

しかしだ。8月23日の八重山地区採択協議の採択を有効とし
9月8日の全委員協議の決定を無効と判断して
育鵬社の教科書を無償給付することに
最終的に決定したのは文科省なのだ。
石垣市や与那国町の教育長には無償給付する決定権はない。
それにこの問題は国が無償給付する教科書を決めたことであり、
中学で使用する教科書を決めたわけではない。
ここが八重山教科書問題を知らない人にはややこしい。

八重山地区に国が無償給付する教科書を決めるのが八重山地区採択協議会である。
しかし、八重山地区採択協議会は各市町が使用する教科書を決める組織ではない。
だから、八重山地区採択協議会で決めた教科書を強制することばできない。
しかし、八重山地区採択協議会で決めた教科書以外の教科書は有償となる。
各市町の中学で使用する教科書を決めるのは各市町の教育委員会である。
だから、八重山地区採択協議会や9月8日全委員協議は国が無償給付する教科書を決める会議であって、
二つの会議がどんな教科書を決めようが、
それには束縛されないで
各市町の教育委員会は使用する教科書を決めることができる。
使用する教科書を決めるのは無償措置法ではなく地方教育行政法によるからだ。

つまり、9月8日の全委員協議が東京書籍を採択したことが有効だとしても
石垣市の教育委員会が育鵬社の教科書を採択したことになんの問題もないのだ。

八重山採択地区協議会が有効であるなら育鵬社の教科書が無償給付され、
9月8日の全委員協議が有効なら東京書籍の教科書が無償給付されるだけなのだ。
文科省は八重山地区採択協議会の採択を有効だと判断し、
育鵬社の教科書を無償給付した。

地方教育行政法と無償措置法を正確に読めばわかることだが、
八重山教科書問題で裁判に訴えるとしたら無償給付を決断した文科省しか訴えることができない。
ところが法律の専門家しか考え出すことができないようなややこしい理由をつけて
無理やり石垣市と与那国町の教育長を訴えたのだ。

はっきりいって、
これは政治的意図による裁判だ。
裁判の原告人が自費で裁判を起こしたとは考えられない。
万が一原告が裁判に勝っても
東京書籍の教科書が使用されるだけで原告に賠償金が入るような裁判ではない。
こんな裁判を一般家庭の人がやるはずがない。
東京書籍の教科書も育鵬社の教科書も国の検定を合格している。
一般の人が国の検定を合格した教科書に駄目を出すのはありえないことだ。

育鵬社の教科書を嫌う政治団体が仕掛けた裁判であるのは見え見えだ。
この裁判の目的は裁判に勝つことではなく、裁判の報告会などといって市民集会を開き、自分たちの政治思想を広めていくのが目的だ。
裁判に負けても
市民集会に集まった人たちをオルグして組織拡大をしていけば
十分元が取れるという戦術である。

ある政治集団が得意とする戦術である。
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竹富町は画期的な教科書採択をした

竹富町は八重山採択地区協議会が採択した育鵬社の教科書ではなく、東京書籍の教科書を採択した。無償措置法が「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」と教科書を無償給与する「無償措置」を明確にしているが、
(この法律の目的)
第1条 この法律は、教科用図書の無償給付その他義務教育諸学校の教科用図書を無償とする措置について必要な事項を定めるとともに、当該措置の円滑な実施に資するため、義務教育諸学校の教科用図書の採択及び発行の制度を整備し、もつて義務教育の充実を図ることを目的とする。
第2条  第2章 無償給付及び給与
第3条 (教科用図書の無償給付)
第4条 第3条 国は、毎年度、義務教育諸学校の児童及び生徒が各学年の課程において使用する教科用図書で第13条、第14条及び第16条の規定により採択されたものを購入し、義務教育諸学校の設置者に無償で給付するものとする。
第2章 無償給付及び給与(教科用図書の無償給付)第3条 国は、毎年度、義務教育諸学校の児童及び生徒が各学年の課程において使用する教科用図書で第13条、第14条及び第16条の規定により採択されたものを購入し、義務教育諸学校の設置者に無償で給付するものとする。

地区協議会は無償給与する教科書を採択するために設立された協議会であるが、採択地区協議会のすべての名称には「教科用図書足柄上採択地区協議会」というように「無償給与」の言葉がない。それだけではない。採択地区協議会規約にも国が無償給与する教科書を採択する組織であるとは書いていない。採択地区協議会の目的は「無償給与」ではなく、小中学校で「使用する教科書」を採択すると書いてある規約がほとんどである。
1962年に施行されて以来、竹富町のように採択地区協議会が採択した教科書以外の教科書を採択したことは一度もなかった。その原因は、採択地区は「使用する教科書」を採択するという先入観があったからではないだろうか。であるから、1962年に無償措置法を施行してから50年も採択地区協議会が採択した教科書以外の教科書を採択したことがなかったのだ。

育鵬社の教科書作成にかかわった日本教育再生機構理事長八木秀次氏は竹富町が東京書籍の教科書を採択したことを違法行為だと何度も主張している。八木秀次氏が違法と考える根拠は採択地区協議会は地区の学校が使用する教科書を採択すると考えているからである。
しかし、竹富町は違法行為をしたのではない。採択地区協議会は国が無償給与する教科書を決める協議会であって学校が使用する教科書を決める協議会ではないからだ。

文科省は竹富町が東京書籍の教科書を採択したのは違法行為ではないと明言した。それは採択地区協議会が9月8日の全員協議を支持する人間たちが言っているような八重山採択地区協議会が強制力のない「答申する」組織であるからではない。八重山採択地区協議会は学校が使用する教科書を採択する組織ではなく、国が八重山地区に無償給与する教科書を採択する組織であるからである。

竹富町が東京書籍の教科書を採択したことは違法行為ではないが、国が無償給与する育鵬社の教科書以外の教科書を採択したから国は竹富町には無償給与をしないということである。

竹富町は60年間も採択地区協議会に束縛されていた教育委員会の教科書採択の自由を解放をした。もともとは市町村の教育委員会は教科書を採択する時に地区採択協議会が採択した教科書を採択する義務はなかったのだのだ。教育委員会は地区採択協議会の採択に縛られないで自由に教科書を選ぶことができたのだ。それを竹富町はやってのけたのである。竹富町は教育委員会の縛りを解いたのだ。素晴らしいことである。

竹富町は無償給与以外の教科書を採択したのだから国が無償給付することはない。教科書代金は竹富町が負担しなければならない。国に無償給与を要求するのは間違っている。

育鵬社の教科書つくりに参加した日本教育再生機構理事長八木秀次氏の竹富町への反論のビデオである。育鵬社版については八木秀次氏のいう通りである。竹富町側の育鵬社批判は間違いである。しかし、八木秀次氏の竹富町批判にもクビをかしげるものがある。


ユーチューブ

【八木秀次】八重山教科書採択問題の最新情報[桜H24/2/27]


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竹富町方式を全国に広めよう




竹富町は採択地区協議会に縛られない自由な教科書採択をやった。八重山採択地区協議会が採択した教科書を採択しなかったから国から無償給付されないのは当然ことであるが、その代わり市民が教科書の現物支給をやるという。国の税金も使わないし竹富町の税金も使わない。素晴らしい教科書の採択方法である。

竹富町のやり方に文科省はお墨付きをつけた。文科省は竹富町のやり方を認めたのだ。来年からは全国の市町村の教育委員会は教科書の料金を市町村か市民が負担すれば採択地区協議会の採択に縛られないで自由に採択してもいいということを竹富町は見本を示してくれた。

竹富町の自由な採択に大賛成だ。

「法的瑕疵があるならば3市町は『同罪』なのに、竹富だけ有償なのは不当な差別そのもの」は法律に無知な中村代表の愛嬌として、「教科書問題は大人の責任で、子供に押し付けてはいけない。大人が目の前の問題をしっかりと解決する必要がある」と考え、竹富町に東京書籍版教科書の現物寄贈をするのは立派な考えである。

市町村が自由に教科書を採択する竹富方式は全国に広がってほしい。
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八重山採択地区協議会規約には大きな間違いがある

 

教科用図書八重山採択地区協議会規約


第3条 協議会は、採択地区教育委員会の諮問に応じ、採択地区内の小中学校が使用する教科用図書について調査研究し、教科種目ごと一点にまとめ、採択地区教育委員会に対して答申する。

教科用図書浦添・那覇採択地区協議会規約


 第3条 協議会は、採択地区教育委員会の諮問に応じ、採択地区内の小中学校が使用する教科書について調査研究し教科種目ごと一点にまとめ、採択地区教育委員会に対してそれぞれの教育長を通じて答申することを目的とする。

  
 去年、教科用図書八重山採択地区協議会規約をネットで探したが見つけることができなかったので他の県の採択地区協議会規約を参考に意見を述べた。昨日、ネットで教科用図書八重山採択地区協議会規約を見つけ、読んで驚いた。国が無償給付する教科書を採択する内容の規約になっていない。他の採択地区協議会規約も同じなのかどうかを確認するために浦添・那覇採択地区協議会規約を見た。内容は同じだった。八重山と浦添・那覇の規約が同じであるから沖縄の他の採択地区協議会も規約は同じだろう。

 「採択地区内の小中学校が使用する教科用図書について調査研究し、教科種目ごと一点にまとめ」という文章にはっきりと「使用する」と明記してある。私が見た他の県協議会規約は「使用する」という文はなく、教科書を「採択する」となっていた。

 教科用図書採択地区協議会は地区の小中学校の使用する教科書を決める機関ではなく、地区に無償給与する教科書を決める機関である。
無償措置法の正式名称は「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」であり、第1条には「この法律は、教科用図書の無償給付その他義務教育諸学校の教科用図書を無償とする措置について必要な事項を定めるとともに、当該措置の円滑な実施に資するため、義務教育諸学校の教科用図書の採択及び発行の制度を整備し、もつて義務教育の充実を図ることを目的とする」と教科書の無償給付するための法律であることを明記している。

 沖縄県の教科用図書採択地区協議会規約は地区の小中学校で使用する教科書を決める機関としているが、教科書を使用する法律は地方教育行政法である。無償措置法による採択地区協議会の規約としては沖縄の規約は間違っていると言わざるを得ない。

 「採択地区内の小中学校が使用する教科書について調査研究し教科種目ごと一点にまとめ」は採択地区協議会が教科書を無償給付する内容になっていない。教科用図書八重山採択地区協議会規約と教科用図書浦添・那覇採択地区協議会規約は、国が無償給付する教科書を決める機関であるという内容に訂正するべきである。
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民主主義・法治主義を破壊する者たち

八重山日報より転載


 竹富町教委では慶田盛安三教育長が住民の会メンバー8人と会い、要請に理解を示すとともに「(東京書籍版の)無償給付を求め続ける。皆さんの支援や激励で持ちこたえている」と述べた。


 今後も無償給付が認められない場合の対応について、メンバーからは「保護者が自分たちで教科書を買った、という形にして、あとで(教科書代を)払い戻してはどうか。保護者の負担という形になれば、文科省には痛手だ」という提案も出た。


 住民の会メンバーは市教委も訪れ、職員が要請書を受け取った。玉津博克教育長は取材に対し「裁判で係争中のためコメントできない」としている。


 要請書では、東京書籍版を採択した昨年9月8日の全教育委員による協議を有効としながら、石垣市、与那国町教委が無効とするなら「同一教科書採択へ新たな協議をしなければならない」と主張している。


 要請後の記者会見で、住民の会の仲山忠亨共同代表は「八重山でいまだに教科書が定まらず、保護者、先生は不安。何とか打開しなくてはならない」と述べた。


 メンバーの富里八重子さんは「育鵬社版が子どもの手に渡ると、どうなるのか。地元が主体性を持って、再協議するべきだ」と訴えた。

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9月8日は無償措置法第13条4項を根拠にできない


無償給与教科用図書の採択 第13条

 4 「第1項の場合において、採択地区が2以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」
 
 県は3市町の教科書が統一しなかったという理由で第13条4項を根拠にして9月8日に全員協議を開いて賛成多数で全体協議を教科書を無償給与する協議会に決め、そして、賛成多数で東京書籍の教科書を採択した。
 しかし、無償給付する教科書は3市町のそれぞれの教育委員会が中学で使用する教科書を採択する前に決めなければならない。そうでなければ3市町の教科書はいつもばらばらになってしまう。ばらばらにさせないためには無償給付する教科書を先に決めなければならない。第13条4項の条例は3市町がそれぞれの中学で使用する教科書を決める前に実施しなければならない法律なのだから、採用を決めた後に開催した9月8日の全員協議は無償措置法13条4項を根拠にすることはできない。9月8日の全員協議は法治主義に反する行為である。

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全員協議は採決機関になれないことを説明する


2010年の八重山地区の人口は、石垣市46938人、竹富町は4058人、与那国町は1695人である。与那国町を1とすると、石垣市は約28、竹富町は約2となる。与那国町の教育委員は3人だから、人口に比例させて教育委員を選出すると、石垣市は約84人、竹富町は約6人、与那国町は3人となる。

  全員協議は民主的に見えるが実際は住民の一票も重みが全然違う。石垣市の人口46938人から選出された教育委員5人と竹富町の人口4058人から選出された教育委員5人では一票の重さが違いすぎる。協議や討論なら5対5の同じ人数でもいいが、無償給付の教科書を決定するには不公平である。衆議院選挙の票で2倍以上の差は憲法違反だと最高裁は判決を下している。一票の重さを同じにすると八重山地区の人口比は、28:2:1となる。石垣市は、竹富町とは14倍、与那国町とは28倍の格差がある。
 全員協議の人口の比は28:2:1であり、教育委員が5:5:3人の全員協議で無償給付の教科書を決めるのは民主主義に反する。
 
 教育委員会はそれぞれの市町村の教育に関することを運営する目的のためにつくられた機関であり、教育委員の人数はそれぞれの市町村が決めるものであり人口に比例させて人数を決めてはいない。教育委員はそれぞれの市町村の運営では賛成多数による決定は民主主義に準じているが、3市町が合流する地区協議会の場での全教育委員の賛成多数による決定権は民主主義に反する。だから、全員協議の賛成多数で教科書の無償給与を決める法律は地方教育行政法にもないし、無償措置法にもない。

 9月8日の全員協議で、石垣市教育長と与那国町教育長は無償措置法の協議会にすることに反対し、採決にも参加しなかったから9月8日で全員協議は無効であるのは確実である。

県は9月8日の全員協議は教育委員全員が参加したから民主的であると主張している。それは正しいか検討する。

 全員協議といっても石垣市:竹富町:与那国町の人口比は28:2:1であるのに、教育委員の比率が5:5:3である。人口に比べて不公平な全員協議の賛成多数で無償措置法の機関にすることは非民主的であり、憲法の精神に反する。
だから、全員協議は教科書を無償給与する協議会にすることはできない。3市町が特別に合意しない限り、全員協議は教科書を無償給与する機関にはなれない。
 
 もし、人口の比率で無償給与する教科書を採択する機関をつくるなら、石垣市84人、竹富町6人、与那国町3人になる。そうなると総勢93人で協議をすることになり、協議が大変なことになる。協議会をスムーズにし、民主的な要素も採用して作ったのが3市町の教育長と教育委員長が加わり2人は有識者を採用した八重山採択地区協議会だ。八重山採択地区協議会にはちゃんとした規定があり、規定にしたがって無償給与する教科書を採決する。八重山採択地区協議会の規定を変更するときには全教育長の賛成が必要となる。
 
 中学の無償給与の教科書を採択する八重山採択協議会は4年に一度特別に開く協議会である。今回の八重山採択協議会は2012年度から4年間国が無償給与する教科書を採択するために結成された特別な協議会であり、無償給与する教科書を採択した後には解散することになっている。規定によれば八重山採択地区協議会は問題が生じたときに8月31日に3市町の教育長が協議した後に閉会することになっている。そして、八重山採択地区協議会の協議委員はお役御免となる。
玉津教育長は規定通りに八重山採択地区協議会を運営し、無償給与する教科書を採択し、規定通りに八重山採択地区協議会を閉会つまり解散した。

 閉会した八重山採択地区協議会が採択した教科書を破棄する法律はない。だから、八重山採択地区協議会で採択した教科書を変更する方法はないのだ。
八重山採択地区協議会は8月31日の3教育長の再協議を最後に規約通りに閉会した。そして、3市町に無償給与する教科書を伝える(答申)と、八重山採択地区協議会の運営は終了する。つまり八重山採択地区協議会は消滅するのだ。

9月8日に全員協議の賛成多数で八重山採択協議会で採択した育鵬社版を破棄したが、法律としては破棄できない。全員協議で八重山採択協議会が採択した教科書を破棄できるという法律がないからだ。全員協議ならなんでも賛成多数で決められるかと考えるのは大間違いだ。

現在、「押し買い」が問題になっている。年寄りから言葉巧みに金やダイヤなどの貴重品を安く買い、後で返品してほしいと頼んでも返品しない。このような被害が増大しているが「押し売り」を取り締まる法律はあるが「押し買い」を取り締まる法律がないので取り締まることができない。国会で「押し買い」を取り締まる法律ができない限り、「押し買い」はやりたい放題である。

法律に明文化されていない限り行動をすることができないのが法治主義である。法律の欠点に気付いた時は法律を改正したり新しい法律をつくることで問題を解決するしかない。法律ができる前の行為は裁くことはできない。全員協議でも法律に従った行動しかできないが、全員協議については無償措置法にも地方教育行政法にも書かれていない。

県は3市町の教科書が統一されていないことを理由に9月8日の全員協議を正当化しようとしているが、国が無償給与する教科書は八重山採択地区協議会によって育鵬社版に統一されている。統一されていないのは3市町の中学で使用する教科書である。使用する教科書は地方教育行政法によって決めるのだから、無償措置法は国が無償給与する教科書を統一することはできても、3市町の中学が使用する教科書を統一することはできない。地方教育行政法は石垣市の教育委員会は石垣の中学が使用する教科書を採択し、竹富町の教育委員会は竹富町の中学が使用する教科書を採択する法律である。地方教育行政法は3市町が統一した教科書を採択するための法律ではない。
実は、3市町が使用する教科書を統一しなければならいという法律はない。

メンバーの富里八重子さんは「育鵬社版が子どもの手に渡ると、どうなるのか。地元が主体性を持って、再協議するべきだ」と訴えている。

9月8日の全員協議が有効であると主張している人たちは富里八重子さんの発言で分かるように、八重山地区で育鵬社の教科書を使用させないのが目的であり、民主主義も法治主義も関係がない。いや、民主主義のルールを破り、法治主義を破壊してまで育鵬社版を八重山で使用することを阻止しようとしているのだ。

 これが沖縄で最高学府を出た、一番教養のある教員の団体やOB団体の行動かと思うととても残念に思う。
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八重山教科書問題・裁判の意見陳述書への反論

八重山教科書問題で、石垣市教育委員会が採択した育鵬者版公民教科書を使用する可能性がある同市内の子供2人とその親2人の計4人が、市と県を相手に、東京書籍版公民教科書の無償給付を受けることを確認する訴訟の第一回弁護が8日、那覇地裁であった。
原告の弁論の全文である。




平成24年(行ウ)第29号 教科用図書の無償給付を受ける地位確認請求事件
原 告 ○○○○○外3名
被 告 沖縄県外1名
            
                    意 見 陳 述 書                                                                                              
平成24年2月8日

那覇地方裁判所民事第1部合議B係 御中

                                  原  告  ○ ○  ○ ○ ○

                                  原  告  ○ ○  ○  ○
平成24年(行ウ)第29号 教科用図書の無償給付を受ける地位確認請求事件
原 告 ○○○○○外3名
被 告 沖縄県外1名
            
                    意 見 陳 述 書                                                                                              
平成24年2月8日

那覇地方裁判所民事第1部合議B係 御中

                                  原  告  ○ ○  ○ ○ ○

                                  原  告  ○ ○  ○  ○

 本日、第一回口頭弁論期日を迎えるにあたり、私たち原告の思いを述べさせていただきます。
 
 私たちは、石垣市で暮らす、普通の一市民であり、一母親に過ぎません。そんな私たちの一番の関心事は、子どもたちの成長です。私たちは、子どもたちが、健全に育つように、そして、未来の社会を支えていく子どもたちが、夢や希望を持ち、社会に貢献できる人に育っていけるように、微力ながら、試行錯誤で、子育てに向き合っております。



 さて、昨年、八重山におきまして、中学3年生で使用する公民の教科書の採択を巡って問題が起こりました。
 
 私たち一般市民は、新聞やテレビの報道を通して、私たちの住む八重山での教科書の採択の問題を知りました。そのよう中、アメリカ留学を終えて帰ってきたばかりの八重山高校3年の女子高生の新聞への投稿文「八重山の民主主義は大丈夫?」の問いかけは、私たちを含め、八重山の大人たち一人ひとりのあり方が揺さぶられました。

 私たちは、一母親として、子どもを取り巻く環境で、私たちの知らないところで、何かが決まろうとしていることに危機感を覚えました。私たちが、教育行政に不信感を持ったのは、何よりその採択が、市民にまったく公開されず、何の説明もなく不透明に
進められていることでした。

 「なぜ、こんな問題になってしまったのだろう?」母親仲間で、集まるたびに、そのことが話題に上がっていきました。このよう
に問題になるまで、私たち母親は、教科書が、地域ごとに選ばれている現状すら知りませんでした。私たちは、報道や聞きかじりの情報からでなく、事の実際を知ろうと、仕事が終わってからや、休みの日に、自分たちで、資料や情報を集めることから始めました。

 私たちは、教育行政の仕組みさえ知りませんでしたので、教育委員とは、教育長とは、というところからはじめました。そして教科書の採択の仕組みも勉強しました。八重山採択地区協議会という組織があること、その規約がどのようになっているのかなどを調べました。関係者には、直接、聞き取りもしました。このようにして、私たちは、資料を整理分析し、事の実際を把握して
いきました。

 この問題では、平成23年8月23日の八重山採択地区協議会と平成23年9月8日の教育委員全員協議の二つの採択のどちらが有効かが争点となっています。

 しかし、私たちが調べた結果では、8月23日の八重山採択地区協議会の答申を受けた各教育委員会の採択で、同一の教科書にならなかったことから、県教育委員会の指導助言のもと、教科書無償措置法に基づき、八重山地区教育委員協会で早期解決の方法を探る協議を経て、9月8日、教科書の同一化に向けて行われた八重山地区全教育委員による協議によって、適正に東京書籍の公民教科書が採択されたことははっきりしています。

ところが、石垣市と与那国町の両教育長は9月8日の採択は無効であるとする文書を文科省に提出し、これを受けた文科省は、教科書の採択として無効であることが明らかな8月23日の答申の採択の方が有効との見解を示すに至りました。

 そしてさらに文科省は、東京書籍の採択が有効であると正しく主張している竹富町に対して、教科書無償配布の対象としないとの措置までをとろうとしています。

 私たちは、八重山地区の教育委員全員の協議で決定した9月8日の採択を、文科省というお役所が八重山地区の決定を無視して強権的、一方的に八重山の教科書を決めようとする事態に、民主主義とは何かをあらためて考えさせられました。
 
 私たちは、子どもたちに、相手の話をよく聞いて、言いたいことは、はっきりと伝えるようにと、日頃から教えています。私たちは、この法廷の場で、真実を明らかにし、適法な教育行政が行われたのかどうかを問うことにより、民主主義とは何かを身をもって教え、親としての責任を果たしたいと決意し、裁判を起こしました。

 原告になった私たちは、この問題を八重山の方々と学ぶため、石垣市で2回、西表島で1回、与那国島で1回、勉強会を開きました。各地域で、教科書を受け取る対象の生徒さん、父母、地域の皆さん方の参加があり、活発な意見交換も致しました。各地で、応援の和が広がり、この訴訟が注目されているのを肌で感じてきました。

 八重山で起こったこの一連の騒動は、八重山の子どもたちの目にも映っています。私たち大人の姿勢は子どもたちに見られています。

 八重山で起こったことは、八重山の住民の手で、民主主義社会の仕組みに則って解決したいと思っています。

 私たちは、母親として、未来の民主主義社会を支えていく子どもたちに、この教科書問題は、民主主義社会の仕組みを知る生きた公民の学習であり、民主主義を問う良い機会だったと胸を張って話せるようにしたいと思います。

 新しい教科書が配布される4月が目前に控えています。この裁判で、速やかに、このたびの教科書採択に関する一連の事実が明らかにされ、八重山の中学生に正しく採択された公民の教科書が配布されることを強く望みます。

 そして、被告の石垣市、沖縄県の関係者の皆さまは、この問題からに逃げることなく、早急な解決へ向けての事実を明らかにしていく努力をしていただきますようお願い申し上げます。

 裁判所には、以上の私たちの思いをご理解いただき、迅速公平に審理をお進めいただきますよう切にお願い申し上げます。
                                     



親子4人はなぜ石垣市と県を相手に訴訟を起こしたのか。理由がわからない。無償給付する公民の教科書を育鵬者版に決めたのは文科省である。石垣市ではない。もし、石垣市が原告の訴えを受け入れて東京書籍を採択したとしても、無償給付の決定権は文科省にあるのだから、東京書籍の教科書が石垣市の無償給付されることはない。東京書籍を無償給付するには文科省を相手に裁判を起こして、文科省に東京書籍版の無償給付を決断をさせなければならない。

原告側には弁護士もついている。弁護士なら文科省が無償給付する教科書を育鵬者から東京書籍に変更しない限り、石垣市に東京書籍版を無償給付させることはできないということを知っているはずである。
この裁判に勝ち、次に文科省を相手に裁判を起こすという時間のかかる方法を選んだのは理屈に合わない。

石垣市は9月8日で起こったことの事実を文科省に報告しただけであり、文科省が8月23日の八重山採択地区気宇議会が育鵬社版を採択したのは有効であり、9月8日の全員協議による東京書籍版の採択は無効であると判断した。
親子4人が問題にしているのは8月23日の八重山採択地区協議会は諮問であり、「9月8日、教科書の同一化に向けて行われた八重山地区全教育委員による協議によって、適正に東京書籍の公民教科書が採択されたことははっきりしています」と主張している。
親子4人の主張と対立しているのは文科省であり石垣市ではない。石垣市の教育長は9月8日の事実を文科省に報告して、文科省の判断を仰いだだけである。事実を報告をした石垣市教育長は文科省が8月23日は有効であり9月8日は無効であるという判断に従っているだけである。もし、親子4人が石垣市を訴えるとしたら、石垣市の教育長が虚偽の報告をして、そのために9月8日の全員協議を文科省が無効と判断したというようなことを根拠にしなければならない。しかし、石垣市の教育長は文科省に虚偽の報告をしてはいないし、親子4人もその件で石垣市を訴えてはいない。
親子4人は石垣市に対して、9月8日が有効であると訴えることはできないし、9月8日が有効であると文科省が認めていないのに石垣市に東京書籍の教科書を無償給付するように訴える権利もない


弁論には「民主主義」を何度も主張している。「私たちは、子どもたちに、相手の話をよく聞いて、言いたいことは、はっきりと伝えるようにと、日頃から教えています。私たちは、この法廷の場で、真実を明らかにし、適法な教育行政が行われたのかどうかを問うことにより、民主主義とは何かを身をもって教え、親としての責任を果たしたいと決意し、裁判を起こしました」と述べられている。

民主主義は法治主義がコンビになっている。民主主義を守るには市民の代表者が法律を決め、それを明文化し、すべての人に平等に法を適用する。法治主義が徹底されなければ民主主義も単なる数の暴力になる。

原告が民主主義を主張するなら、八重山採択地区協議会と全委員協議はどちらが民主主義のルールをまもったかを検討するべきである。八重山採択地区協議会の正式名称は「教科用図書八重山採択地区協議会」である。弁論では八重山採択地区協議会は答申と決めつけているが、八重山採択地区協議会にははっきりと「採択」という名称がつけられている。普通の主婦なら「採択」という名称なのになぜ「答申」なのか問題にするはずである。
教科用図書八重山採択地区協議会という名称であるのなら、協議会は「答申」機関ではなく「採択」機関と思うのが普通である。しかし、原告は八重山採択地区協議会は答申であると決めつけている。決めつけている理由を述べていない。

無償措置法の正式な名称は「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」である。この法律の趣旨に基づいてつくられたのが「教科用図書八重山採択地区協議会」である。教科用図書八重山採択地区協議会をもっと詳しい内容の名称にすると、「無償給与」教科用図書八重山採択地区協議会となる。つまり、八重山採択地区協議会は八重山地区へ文科省が無償給与する教科書を「採択」する協議会であるのだ。決して答申機関ではない。

八重山採択地区協議会には規約がある。規約は全国共通している規約であり、協議会は規約を守って採択委員を選び教科書を採択する。民主主義のルールに従って規約はつくられ、民主主義のルールに従ってつくられた規約に従って協議会は国が無償給付する教科書を採択したのだ。
つくられた法律はすべてが完全とは言えない。訂正しなければならない箇所があれば民主的なルールを通して訂正していく。しかし、訂正しない限り明文化した法律が有効である。
9月8日の全員協議には何の規約もない。教科書を無償給付するためにつくられた八重山採択地区協議会の規約を破棄または改正をしないで、また、二人の教育長が採択協議会として運営するのに反対したから正式な採択協議会として成立をしていないにも関わらず、教育委員の賛成多数の論理だけで、しかも教科書の無償給付する協議会として明文化させることもなく、正式な記録もつくらず、東京書籍版を無償給与すると決めた。
普通の人が9日8日の全員協議の内容を知ったら、教科書の無償給付を採択する正式な協議会として認めないだろう。

八重山採択地区協議会は無償措置法の第13条4項「第1項の場合において、採択地区が2以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」に従って設立した機関である。9月8日の全員協議もこの法律を根拠にしている。

「当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない」は全員協議をやらなければならないということではない。採択地区協議会には教育委員長、教育長は必ず協議委員にならなければならないし、あとは地区の状況に沿って地区の校長や有識者を委員にしている。

被告は「八重山で起こったことは、八重山の住民の手で、民主主義社会の仕組みに則って解決したいと思っています」と述べている。被告の民主主義には選挙の思想がない。八重山は石垣市、竹富町、与那国町に分かれ、それぞれの市長では市民の選挙で首長と議員を選び、首長と議員が市町の政治を行っている。もし、民主主義の仕組みに則るのなら、市民に選ばれた市長、議員による政治に信頼を持つべきである。

被告は民主主義の仕組みに則ると述べているが、被告は9日8の全員協議が有効であると主張している。政治や法律を詳しくはしらない普通の主婦であるといいながら9日8の全員協議が有効であると強く主張するのはふつうの主婦とは思えない。
もし民主主義の仕組みに則るなら八重山採択地区協議会と全員協議のどちらが法的に正しいかを裁判に問うべきである。被告の態度は普通の主婦と言いながら全員協議が正しいと自信をもち、東京書籍の教科書を石垣市で採用するように主張している。普通の主婦とは思えない主張である。

八重山教科書問題は無償措置法と地方教育行政法の二つの法律の問題である。法律の問題なのだから、ネットなどを利用して法律や教育の専門家の意見を収集して勉強をするべきであって、法律に素人である住民たちが意見交換をしても八重山教科書問題の本質を理解しあうことにはならない。民主主義を主張するなら民主主義のルールを積み上げている法律を勉強するべきであり、法律や教育の専門家の意見に耳を傾けるべきである。

専門家も二つの意見に分かれているが、八重山採択地区協議会のほうが優勢だ。
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なぜ裁判を起こしたのか・八重山教科書問題

八重山教科書問題裁判を起こした人のブログがあることを知ったのでブログを覗いてみた。とても丁寧で説得力のある文章はかなり鍛えられた人が書いたとしか思えない。親切丁寧で正直に説明しているように見えるが、肝心なところを上手に本当の内容を折り曲げて、もっともらしく嘘の説明をしている。しかも、法律的にまずいところはうまく隠している。
八重山教科書問題裁判を起こした理由は裁判で勝つより、裁判をしながら集会やブログなどて政治運動をするのが目的だろう。

一部分であるが引用して、その文章の嘘部分を説明する。

「八重山では、八重山採択地区協議会が、その諮問機関に当たります。それで、採択権のある石垣市、竹富町、与那国町の各教育委員会は、八重山採択地区協議会に諮問します。(審議調査してもらい意見を求める)八重山採択地区協議会は、調査員(各教科ごと3人の専門の教員が選ばれ、調査研究をする)を置き、共同調査研究を行います。(H24年度使用教科書の採択についての中に示されるH14年文科省の通知に明記)
そして、八重山採択地区協議会は、審議調査し、教科書を選定し、
各教育委員会に答申します。(審議調査した意見を報告)
その答申に基づき、各教育委員会において、審議し、各教育委員会ごとに教科書を採択します。
採択の権限のある教育委員会においては採択、
諮問機関である協議会においては選定
というふうに用語を使い分けます。(石垣市学校指導課長、指導主事の両方とも、同じように教えてくださいました。)
このような用語の使い分けでも、採択権限と諮問機関の役割の違いが、わかるようになっています。
地教法第23条第6項で示されている通り、
採択の権限が、市町村教育委員会にあることから、
八重山採択地区協議会の答申と異なった採択をした竹富町教育委員会は、違法ではありません」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

説明は丁寧であり、やさしさがにじみ出ている文章だから、ほとんどの人は文章の内容を信用するだろう。このような文章は法律に精通し、書くのを鍛錬した人にしか書けない。無償化法と地方教育行政法について精通していない人なら、上の文章を完全に信用するだろう。

八重山採択地区協議会は諮問機関ではない。八重山採択地区協議会は国が無償給与する教科書を採択する協議会であり、八重山採択地区協議会が採択した教科書だけが国が無償給与する教科書となる。だから、八重山採択地区協議会で採択した育鵬社の教科書以外の教科書を採択した竹富町には文科省が無償給付することは絶対にない。もし、文科省が育鵬社の教科書以外の教科書を無償給与したら文科省が無償措置法を犯したことになる。

ブログでは採択権限と諮問機関の用語の違いを丁寧に説明し、役割の違いを述べて八重山採択地区協議会は諮問機関で教育委員会は採択機関であると説明している。このように説明するとほとんどの人が納得するだろう。しかし、八重山採択地区協議会は国が無償給与する教科書を採択する機関であり、諮問機関ではない。一方、教育委員会は地方教育行政法に従って学校で使用する教科書を採択する機関である。

八重山採択地区業議会は国が無償給付する教科書を採択することはできるが、三市町の学校で使用する教科書を採択することはできない。石垣市の教育委員会は石垣市の学校で使用する教科書を採択することはできるが国が無償給与する教科書を採択することはできないし、竹富町と与那国町で使用する教科書を採択することはできない。同様に竹富町、与那国町の教育委員会もそれぞれの学校で使用する教科書を採択することはできるが国が無償給与する教科書を採択することはできないし、他の市町の学校で使用する教科書を採択することもできない。八重山採択地区協議会と各教育委員会は採択機関であり、ただ採択する内容が違うだけだ。

ブログは筋の通った説明をしてきて、「採択の権限が、市町村教育委員会にあることから、八重山採択地区協議会の答申と異なった採択をした竹富町教育委員会は、違法ではありません」と八重山採択地区協議会が諮問機関だから、竹富町教育委員会が八重山採択地区協議会の採択した教科書と異なった採択をしたのは違法ではないと説明している。その説明は間違っている。

竹富町教育委員会が違法でない理由は八重山採択地区協議会が諮問機関だからではない。八重山採択地区協議会は国が無償給付する教科書を採択する協議会であって、市町で使用する教科書を決める機関ではないからだ。八重山採択地区協議会は採択した教科書を市町で使用するように強制することはできない。強制すれば地方教育行政法の教科書を自由に採択する権利を犯してしまうからだ。

無償措置法は国会で審議した法律であり地方教育行政に違反するような条例を導入するわけにはいかない。無償措置法に市町村の学校で使用することを強制する条例を入れてしまうと、憲法が保障している選択自由の権利を犯してしまうからだ。国会は無償措置法に地区の市町村教が使用する科書使用を強制する条例を入れるわけにはいかなかった。
もし、無償措置法で採択した教科書を地区の市町村で使用するように強制する条例を導入しようとしたら、地方教育行政法も改定しなければならないし、憲法に保証する選択の自由を侵してはいけないかという問題や、地方自治の権利を犯してしまうのではないかという問題までおよんでくる。無償措置法に強制力を持たす条例を加えるのは大変な作業になる。反対する議員も多いだろう。簡単に無償措置法に強制力を持たす条例を加えることはできない。

革新系の人たちが八重山採択地区協議会は諮問機関であると言うようになったのは、竹富町が東京書籍の教科書を採択したことに対して文科省が「違反」ではないと答弁したことがきっかけだった。「八重山採択地区協議会の採択が市町に対して拘束力がない。拘束力がないから八重山採択地区協議会は諮問機関である」という理屈をつくったのだ。新聞で見る限りではあるが、最初に八重山採択地区協議会は諮問機関であると主張したのは革新系の弁護士だった。

革新系の人たちやブログを掲載している人は、絶対に無償措置法が国が無償給与する教科書を採択するための法律であるとは言わないし、八重山採択地区協議会は国が無償給与する教科書を採択する機関であるとは言わない。それを認めると、9月8日の全体協議は有効でありしかも拘束力あるという主張が崩れるからだ。
彼らは9月8日の全体協議は無償措置法にのっとった協議であり、全体協議には拘束力があるから三市町は東京書籍の教科書を採択するべきだと主張している。県教育庁も同じ主張をしている。

無償措置法には拘束力はない。国が無償給与する教科書を採択するだけだ。八重山採択協議会が採択した育鵬社の教科書を採択した市町には国は育鵬社の教科書を無償給与する。育鵬社以外の教科書を採択した市町は国が育鵬社の教科書を無償給与するのを断ったことになるから国は育鵬社の教科書を無償給与することができない。だから、無償給与をしない。これで無償措置法についての問題は終わりである。

地方教育行政法は無償措置法と違って強制力がある。地方教育行政法では市町村の学校で使用する教科書を教育委員会で採択して文科省に報告するのを義務化している。もし、国に報告しなかったら国が教科書を採択して学校に給与し、教育委員を罰することになる。

無償措置法と地方教育行政法の違いは、採択と諮問の違いではない。採択内容の違いだ。
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斎藤剛史氏の八重山教書問題への反論

狼魔人日記に斎藤剛史氏の八重山教書問題について述べたブログが紹介されていて、斎藤剛史氏は地方教育行政法と教科書無償措置法では特別法の教科書無償措置法が優先すると主張しているが、地方教育行政法と教科書無償措置法は両立しているしどちらが優先するという問題ではないという内容で、勝手ながら狼魔人日記から斎藤剛史氏の意見を転載して、斎藤剛史氏に反論した。

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斎藤剛史氏の意見


教科書の採択権は誰にあるのか ~沖縄・八重山地区教科書問題をめぐって



わずか数十冊分の教科書をめぐって、教科書行政の在り方が大きく問われている。沖縄県八重山地区の中学校公民教科書採択で、一部自治体が採択地区協議会の答申と異なる教科書の採択を決めたことは、義務教育の教科書無償制度の根幹を揺るがしかねない問題にまで発展した。教科書を採択する権限は、いったい誰にあるのか。

中学校公民教科書で採択が対立


2012年4月から使用される中学校の教科書について石垣市、竹富町、与那国町から成る沖縄県八重山採択地区協議会は11年8月23日、A社発行の公民教科書を採択すると賛成多数が答申した。ところが、これに反発した竹富町教委は、それとは別に独自にB社発行の公民教科書の採択を決定する。これに対して沖縄県教委は、採択教科書の一本化を図るよう八重山地区の3教委に働き掛け、その結果、9月8日に3教委の全教育委員による臨時会議が開催され、先の答申を覆してB社教科書を採択することが賛成多数で決まった。しかし、今度はこの決定に対して、石垣市教委と与那国町教委の教育長が文部科学省に直接異議を申し立てたことから事態はさらに複雑化していくことになった。
一連の経緯について文科省は、A社教科書の採択を決めた八重山採択地区協議会の答申を有効とする立場を取り、国に対する教科書採択の報告期限である9月16日までに採択の一本化を図るよう沖縄県教委に通知したものの、A社教科書を拒否する竹富町教委の姿勢は変わらず、とうとう問題解決に至らないまま年を越してしまった。このままいけば1963年の教科書無償措置法の制定以降初めて、国による教科書の無償給付が受けられない自治体が出現する事態となる。
では、この問題の争点は何だろうか。報道でも周知の通り、対立の原因となったA社教科書はいわゆる保守系教科書としてさまざまな物議を醸してきた存在であるのだが、ここではその問題には触れない。また、採択地区協議会の答申と全教育委員による臨時会議の決定のどちらが手続き的に有効なのかということも争われているが、おそらくそれを検証してもあまり意味はないだろう。というのも、このような政治的要素が絡む問題は手続き的妥当性がじつは本当の争点ではないからだ。採択地区協議会答申の妥当性についてさまざまな人々が論じているが、例えば、答申がB社教科書を採択し、一部自治体の決定がA社教科書を採択するものだったとしたらどうだろう。このように政治的要素を除外していくと八重山地区採択問題の争点は意外とシンプルだ。それは、義務教育教科書の最終的採択権は誰が持っているのかという一点となる。

「特別法は一般法を破る」という原則


義務教育の教科書採択について法的に見ると、地方教育行政の根幹ともいえる地方教育行政法は、市町村教委に採択権があると規定している。一方、教科書無償給付の実務を定めた教科書無償措置法は、複数自治体による採択地区協議会の答申で決定すると定めている。このように二つの法律が別々な規定をしていることが問題を複雑化させたわけだが、実際には八重山地区の問題が起きるまで、この矛盾が表面化することはなかった。では、採択結果が対立した場合、いったいどちらの法律が優先することになるか。一見すると、教育行政の根幹となる地方教育行政法の方が、単なる事務手続きを定めた教科書無償措置法よりも上位に立つと思う人が多いだろう。
だが、現実はそれとは逆で、政府と文科省は、教科書無償措置法が優先するという見解を示している。これは「特別法は一般法を破る」という法理論による。さまざまな権限などを定めた一般法と、その具体化に向けた手続きを定めた特別法が対立する場合、例外規定なども盛り込まれている特別法の方が優先するというのが法律学の原則で、政府も八重山地区教科書採択をめぐる答弁書(9月7日付)の中で、地方教育行政法を一般法、教科書無償措置法を特別法と位置付けている。つまり、法的に見れば、採択地区協議会の答申が個別の市町村教委の決定よりも優先するという解釈になるのだ。
一部マスコミの間では、政府や文科省がA社教科書を推進しようとしているという観測もあるが、それは正しくないだろう。実際、中川正春文科相(当時)は、竹富町に教科書を無償給付できないと述べる一方、地方教育行政法と教科書無償措置法の間に矛盾があることを認め、法改正の検討に入る意向を表明した。竹富町に対する教科書採択の一本化期限についても、最初の9月16日を11月末まで延ばし、さらに12月末まで延長するという対応にも、できるだけ事態を穏便に収拾したいという文科省の意図がうかがえる。
現行法下では採択地区協議会の答申を尊重するしかないものの、それを押し通せば市町村教委の権限を規制することになりかねない。教育の地方分権という理念と現行法の適用の間で文科省が苦慮していることの表れともいえる。

教科書採択制度の改革へ


1月13日に発足した野田改造内閣で新たに就任した平野博文文科相も就任会見で、「共同採択制度のもとで教科書の無償給付をしており、理解してもらうしかない」と述べ、独自採択を貫くならば竹富町に教科書無償を適用しない方針を改めて示す一方、「竹富町の意見を踏まえて、採択の在り方がこのままでいいのか検討したい」と表明した。おそらく、複数の自治体で構成される採択地区協議会による教科書採択という大枠の制度は残しながらも、義務教育における教科書の最終的な採択決定権は市町村教委が持つというような形で制度改正される可能性が高そうだ。
考えてみれば、4月から使用する教科書を複数自治体で構成する採択地区協議会で決定し、教科書ごとの冊数を前年の9月16日までに文科省に報告するという現在の仕組みは、情報化や物流が未発達だった時代の産物にすぎない。その意味で、市町村ごとの教科書採択は時代の流れだろう。報道などによれば、竹富町で採択される中学校公民教科書の冊数は数十部程度にすぎないという。その数十部の教科書の行方が、教科書採択制度の改革を促そうとしている。
構成・文:斎藤剛史



斎藤剛史 さいとう たけふみ
1958年、茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に記者として入社後、東京都教育庁、旧文部省などを担当。「週刊教育資料」編集部長を経て、1998年に退社し、フリーのライター兼編集者となる。現在、教育行財政を中心に文部科学省、学校現場などを幅広く取材し、「内外教育」(時事通信社)など教育雑誌を中心に執筆活動をしている。ブログ「教育ニュース観察日記」は、更新が途切れがちながらマニアックで偏った内容が一部から好評を博している。




斎藤剛史氏は地方教育行政法と教科書無償措置法の二つの法律が別々な規定をしていることが矛盾していると述べた上で、地方教育行政法は一般法、無償措置法は特別法であると説明し、地方教育行政法と教科書無償措置法の関係を一般法と特別法の関係の問題に置き換えて言及している。斎藤剛史氏は、地方教育行政法と教科書無償措置法のように二つの法がひとつの問題に関わった場合は「特別法は一般法を破る」という法理論に基づき、特別法である教科書無償措置法が一般法である地方教育行政法に優先されると主張している。

しかし、まて。
教科書無償措置法の目的と地方教育行政法の目的は違っているし、斎藤氏のいうように地方教育行政法と教科書無償措置法が対立したり矛盾したりする関係にあるわけではない。だから、「特別法は一般法を破る」という法理論に基づいて判断を下す必要はない。

そのことについて詳しく説明する。
地方教育行政法は各市町村の学校で使う教科書を決める法律である。一方、教科書無償措置法は地区の学校に国が無償給付する教科書を決める法律である。

八重山地区を例にすると、石垣市、竹富町、与那国町のそれぞれの市町で使用する教科書をそれぞれの教育委員会で決めるのが地方教育行政法である。八重山採択地区協議会で八重山地区に国が無償給付する教科書を決めるのが教科書無償措置法である。無償措置法は国が八重山地区の学校に無償給付する教科書を一種類に決めるようにと規定している。留意すべきことは、教科書無償措置法は国が八重山地区の学校に無償給付する教科書を決める法律であって石垣市、竹富町、与那国町のそれぞれの学校で使用する教科書を決める法律ではないということだ。

八重山採択地区協議会は国が石垣市、竹富町、与那国町の学校に無償給付する教科書を決めることはできるが、石垣市、竹富町、与那国町の学校で使用する教科書を決めることはできない。
一方、地方教育行政法は三市町の教育委員会がそれぞれの学校で使用する教科書を決めることができるが、国が無償給付する教科書を決めることができない。
地方教育行政法と教科書無償措置法は教科書に関する法律ではあるが、それぞれの法律は別々の目的の法律であり、二つの法律がぶつかることはない。

八重山採択地区協議会は国が無償給付する教科書を育鵬社版に決めた。しかし、八重山採択地区協議会は竹富町に育鵬社の教科書を使用するように強制することはできない。だから、竹富町の教育委員会が竹富町の学校で使用する教科書を東京書籍版に決めたことは法的にはなんの問題もない。竹富町が東京書籍の教科書を採択したことを他の市町村も県も国も禁止することはできない。
ただ、国が無償給付する教科書は育鵬社の教科書と決まっているので、竹富町が採択した東京書籍の教科書を国が無償給付することはしないということになる。

国が無償給付する教科書は育鵬社版であると知っていながら、竹富町が東京書籍の教科書を採択したということは、竹富町は国の無償給付を断ったことに等しい。国が無償給付したくても、国が無償給付できるのは育鵬社の教科書であるのだから、竹富町が東京書籍の教科書を使う限り、国は育鵬社の教科書を竹富町に無償給布することはできない。そうすると教科書使用の強制になり地方自治法に違反する。

以上のように地方教育行政法と無償措置法は対立したり矛盾するような関係にはないから、「特別法は一般法を破る」という法理論を竹富町に適用する必要はない。

もし、教科書無償措置法が優先するということになると地方の自由決定権=自治権を奪うことになる。竹富町のように育鵬社の教科書を使用したくなければ竹富町の育鵬社の教科書を使用しない意思は尊重されるべきであり、竹富町の決定権の自由は守るべきである。地方教育政法はそれを保証している。竹富町が東京書籍の教科書を選択する自由を守る代償として教科書の有償があり、有償を覚悟で八重山採択地区協議会の決めた育鵬社の教科書以外の教科書を竹富町が採択するのは許されることである。それは地方自治を守ることでもある。

竹富町の問題は、国が無償給付する育鵬社の教科書を採択しないで、有償になる東京書籍の教科書を採択したにも関わらず、東京書籍の教科書を無償給付するように文科省に要求していることだ。
竹富町の行動が地方教育行政法と無償措置法の矛盾を露呈させたわけではない。竹富町が地方教育行政法と教科書無償措置法を理解していないだけのことだ。

八重山地区では育鵬社の教科書以外は有償となるので、竹富町に東京書籍の教科書を無償給付することは国が法律を犯すことになる。国が竹富町に東京書籍の教科書を無償給付することは絶対にない。

地区協議会を解体して、市町村の教育委員会が採択した教科書を自動的に無償給付するようにすれば今回の八重山教科書問題は起こらなかった、しかし、各市町村で教科書採択をすることにすれば、それぞれの市町村で調査員と教科書採択協議会を設置しなければならないから市町村の負担が増える。また市町村間の教育がバラバラになって、転校する子どもにとって不都合になっていく問題が浮上する。無償給付を採択する地区協議会は各市町村の教科書採択の負担を軽くし、地区内の転校生が授業に困らないようにする効果がある。斎藤氏は、「市町村ごとの教科書採択は時代の流れだろう」と述べているが、地区協議会を解体すると非合理的な教育体制になってしまう。悩ましい問題である。

八重山教科書問題の根本的な問題は教職関係の組織が左系傾向が強くて、文科省が検定合格をした教科書さえ八重山地区で使用するのを拒否しようとしたことにある。文科省の検定を合格した教科書を拒否しなければこんなことにはならなかった。
八重山教科書問題では県教育庁、竹富町、教職関係の組織の狙いはすべて文科相に通用しなかった。常識はずれの八重山教科書問題のような事件は二度と起こらないと思う。
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