Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

Jリーグ史上最も盛り上がらないJ3参入を追いかけて

2019-10-29 23:48:02 | 東京武蔵野ユナイテッドFC
最近平日がとても忙しくスパーズのCLもPLも観ていなければ、天皇杯神戸戦もまだ観ていない。にも関わらず日曜日は青森まで遠征に行ってきた。



目的は東京武蔵野シティFCのアウェイゲーム・ラインメール青森戦。


ブログ名にトリニータの名前まで入れている自分がなぜそんな試合を観に行ったかということを少し整理。

大分トリニータ → 心のクラブ

トッテナム・ホットスパー → 海の向こうのクラブ

東京武蔵野シティFC → 体のクラブ

大分トリニータがこれまでもこれからも心のクラブであることはずっと変わらないんだけど、一方でそのクラブが1,000kmも離れた場所にあることも動かしがたい事実。アウェイゲーム中心に参戦してても先日の浦和戦のようにたまにとんでもなく素晴らしい試合に出会えることがあるけど、毎試合ホームゲームに通える喜びと比較したら小さなもんだ。贔屓のクラブを追いかける楽しみってやっぱり日常にあってほしいし、現在の自分の生活からそれを大分トリニータに求めることは出来ない。そんなことを感じるようになった2年ほど前に引っ越しをした。引っ越した先にはJFLを主戦場とするフットボールクラブがあり、それに飛びつかない手はなかった。自宅を出て左に曲がれば練習グラウンドがあり、毎週のようにアカデミーの試合が観られる。U−18は東京都1部、U−15は関東2部とレベルも高いため面白い試合ばかり。自宅を出て右に曲がればホームスタジアムがあり行ける時は必ず足を運んでいる。息子はクラブのスクールに通い、「フットボールクラブが日常にある生活」を心の底から満喫させてもらっている。


大分トリニータを追いかけた約20年でクラブの浮き沈みは嫌というほど味わってきたので、武蔵野にはJ参入を目指さないJFLの門番クラブであり続けてくれていいと思っていた。しかしクラブはJ参入を目指しチーム名も変更。ただ現在のホームスタジアムであるムサリクをご存知の方であればよく分かると思うけど、Jを目指せるクラブの施設ではないし、J参入は現実的な目標ではないよなと勝手に思っていた。しかし先月何と条件付きではあるものの武蔵野にJ3ライセンスが交付された。


武蔵野への交付があるまで自分も知らなかったんだけど、今年から施設基準の例外規定というものが作られていて、J参入してからでいいからスタジアムを何とかしなさいよという猶予規定があり記念すべきその適用第1号が武蔵野だったというわけだ。歴は浅いもののあえて「当事者」と言わせてもらうけど、これには「当事者」でもかなり驚いた。







さてどうするよということでまずは初めてのアウェイゲームに参戦してきたという経緯。実は武蔵野のアウェイゲーム初参戦は6月のヴェルスパ戦とトリニータの浦和戦のハシゴで予定していたんだけど、浦和の日程変更により流れていた。さらに今月の3連休の初日にHonda戦を予定するも台風襲来による日程変更でこれまたお流れ。そしてやっとやっと先週無事に参戦することが出来たというわけだ。









試合は後半開始早々に奪った先制ゴールを最後まで守り抜きアウェイで貴重な勝ち点3を掴んだ。将来的に武蔵野がどんなクラブになっていくかということはいったん置いておき、2020シーズンにJ3に参入するために武蔵野がクリアするべきハードルは2つある。その1つ目が「リーグ戦4位以内」という成績面でのハードル。9月下旬にライセンス交付が発表される直前にソニー仙台、今治と続く上位連戦にいずれも完敗し順位を6位まで落としていて実力的にはまだまだかなという感じがあった。しかしライセンス交付が発表されるとそこからアウェイ3連戦で3連勝と見違えるように強くなった。その中にはJFLの絶対王者HondaFCとのアウェイゲームも含まれていてこの勢いはホンモノかもしれない。武蔵野と同じ百年構想クラブでJ参入を目指す今治が逆にライセンス交付と時期を同じくして急降下を始めているので、成績面ではもしかするといけるかもしれないという雰囲気はあったし、青森の現場でもその感触は確かに感じた。

一方でもう一つのハードルである「1試合平均2,000人」という動員面での数値がこれまでの累積赤字もありもう絶望的なくらいに追い込まれている。武蔵野の平均動員はいいとこ1,000人程度だ。それを残り3試合で15,000人動員しなければならず、非常に厳しい。そもそもいつものマッチデーのオペレーションでは5,000人も来場したら混乱するのは目に見えていて、クラブがどう考えているのかは知りたいところだ。ちなみに小学校やスクールには動員のビラが配られていてやれることはやっているようだけども。。


ちなみにこの日の対戦相手だったラインメール青森も武蔵野と同様に百年構想クラブとしてJ参入を目指している。青森は来年から新スタジアムのメドが付いているため勝負は来年という構想が明白だ。この日の試合も含めて2試合で24,000人は武蔵野の比にならないくらい不可能な数字だ。ただこれからJに参入しようというクラブにとって最大のハードルはスタジアムだと思うからそこがクリアされている青森の未来はなかなか明るいのではないかと思う。そういう意味では今季大型補強した割には成績がついてこず中途半端な順位で終わろうとしているのは戦略的に甘いと言わざるを得ない。




ラインメール青森といえば昂洋。もう完全な主力。CBは30歳からがピーク。いつの日か昂洋が大分に戻ってくる日を心待ちにしている。



ということで今週末早速ホームゲームがやってくる。クラブがどうしてくるのか楽しみにしつつ、スタジアムに足を運ぼうと思う。


武蔵野市のポテンシャルを調べてみた。人口14万人、面積11㎢と自治体としては小さい部類に入る。ただ近隣自治体の人口は多いため人気さえ出ればポテンシャルは十分にあると思うが、とにかく土地がない。もし新しいスタジアムを作るとしてそんな土地が果たしてあるのかという問題が一番大きいように思う。武蔵野市の地図を見ると大きな土地は武蔵境駅の近くにある境浄水場くらいなもの。浄水場も都の持ち物らしいためそこを使えるのかもよく分からない。そんな難しい状況ではあるものの最もやってほしくないことは武蔵野市の外のスタジアムをホームスタジアムとすること。それなら小平や稲城のクラブと変わらないし、そんなダサいことはしてほしくない。難しいことは百も承知だけど、クラブ名に「武蔵野」を入れていることにこだわりを持ってほしい。

人口も少ない、土地も狭い一方で都心とは言えない場所でありながら著名企業は多数ある。武蔵野市に本社を構える上場企業はけっこうあって武蔵野の親会社である横河電機、すかいらーく、松屋フーズ、大戸屋、さらに上場企業ではないもののモンテローザの本社も武蔵野市にある。何だか外食産業ばかりだけど、これだけあればつまりは法人税収入はけっこうあるんじゃないかと推測出来る。これもポテンシャルの一つだと思う。ま、あくまでも全て可能性の話ではあるけどもね。


大分トリニータで武蔵野にゆかりがある人といえば筆頭は三竿雄斗。ジュニアユースまで武蔵野に所属し出身の小学校も近所だ。それと安田コーチも短期間ではあるものの武蔵野で指導経験があり、さらに近所の成蹊大学のご出身であるということも最近ひょんなことから知った。


ということで取り留めなくなってきたのでこの辺で締めようと思う。これまで長くJリーグを見てきたけれどもこんなにも盛り上がりを見せないJ参入はなかったんじゃないかというくらいにひっそりと物事が進んでいる。もちろん今週末のホームゲームでずっこけたくなるような動員数であっさりとJ参入を諦めざるを得ない状況になるかもしれないし、応援はするけどもその辺りは客観的に見守っていこうと思う。一方で自分はこれまで贔屓のクラブに親会社というものがなかったので、そういう面での力を肌で感じてくることはなかった。そんな面を見てみたいという思いも少なからずあるし、実際にその片鱗はちょこちょこと見てきた。


それと最後に現在JFLを主戦場とするクラブを応援する身として「J3昇格」という言葉は使わないようにしようと思っている。そもそもJFLを頂点として地域リーグへと繋がっていくピラミッドはJリーグとは別のピラミッドであり、JFLからJ3へは「昇格」ではなく横スライドつまり「参入」だ。このJリーグ史上最も盛り上がらないJ3参入の物語がこの後どうなっていくのかをそばで見守りたいと思う。どんな方向に進もうと「そばで」見守っていくことが重要だと思っている。
コメント
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