Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

エースの移籍(22節神戸戦)

2019-08-12 12:35:00 | マッチレポート19'
この1週間に起きたことは気持ちを整理するのが難しかった。実際に一昨日DAZNで試合を観た後にこの記事を書き始めたけど、何が言いたいのか自分でもさっぱり分からなくなってきたので、途中まで書いたものを全て消した。色々と考えてみて書きたいなと思ったことは2つ。他にも思うことはたくさんあるけど、書いて残したいとまでは思わなかったこと。


1つは藤本について。藤本が置かれた状況と下した判断については100%支持する。今季J1に昇格して藤本の年俸が700万(推定)と知った時にこうなることが全く予想出来なかったかと言えば、そんなことはない。むしろ神戸のようなクラブに引き抜かれてゼロが1つ増えるくらいでなければ夢がない。自分はプロの試合よりも育成年代の試合を観ることの方が多いけど、その試合に出ている選手たちの多くはプロになることを夢見て一生懸命やっている。でもその目指す先の1つであるJ1で日本人トップのゴール数を叩き出してももらえるサラリーが公務員の平均年収程度じゃあまりにも夢がなさすぎる。でも大分にいてはその状況が改善出来ないと分かったなら、環境を変える決断をして不思議なことは何一つない。磨いてきた選手としての質が評価されて環境が改善するのに、そのオファーを蹴るなんて相当な変態くらいしかやらないよ、普通。学校が夏休みに入ると育成年代の大会がたくさん行われるので、育成年代の試合を観るのが好きな自分からするといい季節。ただこの炎天下の中、本当に真剣にサッカーに打ち込んでその先を目指している若人たちに待ち受けている環境が夢にあふれていなければこんなに悲しいことはないし、その業界が廃れていくのは時間の問題。そんなことにはなってほしくないので、こういう移籍はもっともっとあってほしいと思っている。


ただ一方でサッカーの観点で考えてみた時にどうかといえば、全く逆の考えになる。現時点での立ち位置だけでの話になるが、上位に付けている大分から残留争いをする神戸への移籍は誰がどう見てもステップアップとは言えない。現状で「引き抜かれる側」である我々がサッカーの部分でアピールすることが出来なければこの先のクラブとしての成長は見込めない。だからこそ今回の移籍はステップダウンなんだということは声を大にして言い続けたい。藤本にはこれまでのクラブへの貢献に感謝して、そして何だか異常にウェットだったこの22節の終了を持って関係は終了。札束で寄せ集めたチームよりも信頼すべき監督のもと積み上げてきたサッカーの方が優れていることを証明するためにも、そしてそれを拠りどころとして生き残り続けていくためにも「神戸も藤本も降格してしまえ」としか思わない。費用対効果なんてクソ食らえの札束攻撃で残留争いをしている神戸に対しての皮肉としての「残留しろよ」は大いにアリだけど、そんなこと本気で思うわけない。ありとあらゆるタイプの策士がうごめく魑魅魍魎な魔境J2で札束片手にズブズブと沼に沈んでいけばいい。リーグ全体に刺激をもたらす神戸のような存在はわりと歓迎しているけれども、その幸せまでを願うほどおめでたくないし、お人好しでもない。藤本の環境が整ったことは喜ばしいことだけど、サッカーの面では大いに苦労してほしい。そして願わくば「大分は良かった」と思ってほしいし、そう本気で発信してくれることが我々の未来に繋がる。


では自分のクラブに目を向けてみた時に、今後も同じような状況を下唇が引きちぎれるほどに噛みしめて耐え続けなければいけないのか。10年前ならそうだとしか思わなかったかもしれないけど、いまはハッキリと違うと言える。前にも書いたけど、いま大分トリニータはクラブとしての明確なアイデンティティを構築出来る大きなチャンスの時期を迎えている。この先必ず来るであろう片野坂さんがチームを離れる時、そしてそれより先か後かは分からないけどJ2降格危機も必ず来る。その時に「またいい監督と巡りあえますように!」と全力で神頼みをするのではなく、今の攻撃的なサッカーをどれだけチームのアイデンティティ、もっと簡単に言ってしまえばチームのイメージとして根付かせられているかが重要だと思ってる。その基本的な考え方を軸に監督の選考も選手の選考も進めいけばクラブが大崩れを起こすことはないと思ってる。この先長い歴史の中で弱くなる時期も必ず来る。でもそんな時でも「これが我々のサッカーだから」とそれを貫き通すことが大事だ。でなければ毎度毎度同じことを繰り返して「あの時は良かった」と昔話が酒の肴になるのが関の山だ。Jリーグでこれが出来ているのは鹿島だけだろうけど、神戸と湘南にもいまその大きなチャンスが来ていると思う。神戸には「サッカーに一番大事なの資金力」のスタンスで進み続けてほしいし、湘南はこのパワハラ問題の処理にクラブとしての未来がかかっていると思う。「湘南スタイル」って結局「曺貴裁スタイル」なわけであってここで及び腰な対応見せたらここまで築き上げたもの全てが崩れていくと思うよ。他人のことだから深くは突っ込めないけど、「曺貴裁スタイル」がリーグに彩りを加えているのは間違いないので好転することを期待している。おい外務大臣、くだらねえことばっか言ってねーでこういう時こそ何とかせーよ!


話を戻して大分。上記のクラブとしてのアイデンティティが長期的な展望だとすれば、2つ目に言いたいことは短期的な展望。具体的に言うと今季の残りをどうするのかということ。正直に言って嶋田慎太郎の獲得が発表になった時も、小林裕紀の噂が出た時も思ったのは、「要る?」ってこと。それぞれの選手の能力云々ではなく、今いる選手を引き上げていくことの方が大事なんじゃないかと思うってこと。新戦力の獲得は本来であれば喜ばしいことだけど、そのことにモヤモヤとするのは目指すべき方向性にブレが出始めてきてるように思うからだ。18位鳥栖、15位神戸との連続ドローは順位表上から評価すれば取りこぼしなんだけど、残留が目標なら残り試合数を考慮しても何ら問題ない結果。試合内容を見ても取りこぼし感は強く、逆に言えば残留はもう大丈夫ということ。それでもあくまでも「目標は残留」という看板を下ろさないのなら嶋田も小林も本当に必要なのと思ってしまう。それよりは伊藤涼太郎やマルちゃんにチャンスを与えてほしいと思う。「目標は残留」という看板をなかなか下ろさずに最後フニャッと終わってしまった2017シーズンの教訓を活かすためにも上を目指すという意思表示をしっかりとしてほしい。神奈川県勢の失速によりこれだけ取りこぼしてもACL圏内との勝ち点差はわずか5。絶対に無理な差ではない。上を目指すのであれば2人の戦力補強もしっくりとくる。ただ個人的には現有戦力の来季の査定アップに資金は使ってほしいと思っているので、どちらにしてもこの時期の過度な戦力補強には否定的なスタンス。


神戸戦の試合自体について全く触れていなかったので、少しだけ感想を。古橋ゴラッソ。アレはすごい。あのターンと振り抜きはちょっと抑えられない。早々にオランダ行きの報道が出てたけど、AZあたりなら本当に行く意味あるんだろうかというのは思ってしまうね。もう一つ前節も書いたけど、ボランチは前田を軸にして回していけばいいと思うくらいに成長していると思う。


ということで試合の感想あっさり。夏はトリニータ以外の観戦が忙しくなるのと、そもそも片野坂さんになってからチームが夏に調子を落としがちになることも重なってここ数年夏にトリニータに対するテンションが落ち気味になる傾向。

2016年 3勝1分2敗
2017年 4勝4分2敗
2018年 3勝2分4敗
2019年 1勝2分2敗

片野坂さん就任以降の7〜8月の成績。悪いとまでは言い切れないけど、このうち2度昇格しているシーズンがあることを考えるとやはり夏に勝ち点獲得のペースが落ちることは間違いない。この後鹿島、広島と続いてこれで上位勢との対戦はほぼほぼ終わってしまう。8月が終わった時点で上位との差が今と変わらないようなら本気で上を目指してほしいね。それでも今月一番大事なのは天皇杯・鹿屋体育大戦だということに変わりはないけどね。
コメント
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