Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

現実と哲学の間で(8節ガンバ戦)

2019-04-21 00:00:19 | マッチレポート19'
タイトルは大分のことではなくガンバのこと。


宮本監督の試合後コメント。ほとんどが試合中に想像していた通りの内容なんだけど、そうさせたことに本当に大きな意味があると思っている。

「3バックに関してはスペースを消す」
「背後のスペースをなくすという意味で少し落とし気味に守備はしました」

このコメントをあのガンバ大阪の監督が発していることに本当に大きな意味があると思っている。これってサプライズ枠でJ2に落ちてきたビッグクラブに対してThe J2クラブが採用する戦術そのものだからね。3バックと言っているのはただの負け惜しみで実質5バックだからね。


「じゃあ、われわれはホームだからいつも攻撃的なサッカーをしなければいけないのか。その攻撃的なサッカーをして裏返されて点を取られて負けてしまえば、それは意味がないと思うので」
何かもうちょっと逆ギレ気味だけど、これってこれまで攻撃的なサッカーを標榜してきたガンバのクラブ哲学をこの試合に限っては変えさせたってことだよ。これは重いよ。宮本監督は現場を預かる立場の人間として、3連敗、ホーム未勝利という状況、そして何よりも今季の大分の映像を見て、今のガンバでいつも通りに攻撃をしてたら裏を取られて惨敗しかねないと思ったんでしょう。それゆえに「5バックでドン引きサッカー」という選択をしたとしても理解は出来る。あのガンバが我々大分トリニータ相手にホームでそういう選択をしたということに今日のゲームの全てが凝縮されていると思う。


もっと言えば、後半45分間圧倒されたわけじゃなく、残り10分間押し込んだのは我々だった。どちらに勝ち点3の可能性が高かったかと言えば、それは間違いなく我々だった。後半は確かにガンバの攻勢が続いた。ただそれはいつも通りにやれば出来るということよりもあまりにも何も出来なかった(監督からさせてもらえなかった)前半の反動でしかないと思っていて、だからこそ同点になった後にもう一度我々が主導権を握り直したことには大きな意味がある。結果的には勝ち点1だったけど、この試合の持つ意味は計り知れない。個人的には今季スタジアムで観た試合の中で最も面白かった。カシマ、ヤマハ、札幌ドームと全て勝ってきて、今日だけ勝ち点1だったけど、それでも今日の試合が一番面白かった。


ガンバの選手が大分陣内でボールに触れるまでキックオフから約6分間も要した。それだけドン引きサッカーだった前半。宮本監督は間違いなく深追いするなと選手たちに言っていたはず。先発の渡邉千真は忠実にそれを守っていたけど、急遽投入されたファン・ウィジョは最初のプレーでチャンスを作れちゃったから少しイケイケになって前半25分にこの日初めて大分陣内までプレッシャーをかけに来た。本当にそれがこの日初めての高い位置でのプレッシャーだった。そしてそれをいなして先制点が生まれることとなった。宮本監督は約束を守らなかった選手たちに頭を抱えただろうけど、逆に言えば「獲りにいったらやられる」という宮本監督の見立てはハッキリすぎるほど当たっていたということだよ。自分のチームと対戦相手の力量比べという現実的な問題に対しての解の導き方については本当に優秀だと思うけど、あまりにもあっさりとクラブ哲学を捨て去る決断をした芯のなさにはあまり尊敬出来ないなと思いつつ、いずれにしてもそれら全てを宮本監督に問いかけ、投げかけ、きっと迷わせたのは、我々大分トリニータであるという事実。敵将のやり方を見て、我が君主への尊敬の念が一層深まった試合だった。



同点にされてからもう一度盛り返すのに島川の奮闘抜きには語れない。前後左右だけでなく上にも存在感を発揮し、ガンバがはね返したボールを回収し続けた。回収したら近くの誰かに預けて終わりじゃなく、常に縦のパスルートを探し続けているのがよく分かるし、実際にいい縦パスを1本通した。今のところ個人的にはティティパンよりも島川の方がいいと思ってる。



フクは地元でめちゃくちゃ気合い入ってたね。いつもよりも攻撃に関与する回数が明らかに多かった。来週も中学時代を過ごした古巣。ゴールでも決めちゃうか!





小塚いいなー、マジでいいなー。前半のトラップだけで何回も「うまい!」って唸っちゃったもんな。試合前のシュート練習で外したボールが自分の目の前の女性に直撃してかなり痛そうにしてたけど、少しして小塚が近くまで駆け寄ってきて、地声で「すいません、大丈夫ですか?」って謝ったの最高だったな。少なくとも自分の中では小塚の好感度が爆上がりだったよ。きっと周りもそうだったと思うよ。



高木さんの目の前のラインはペナルティアークじゃないからね、センターサークルだからね。セットプレーじゃないタイミングで高木さんが敵陣まで侵入する日もそう遠くはないような気がしてきたよ。今日は決してストロングな部分ではないと思うハイボールでも強さを見せてくれた。1失点はやむなし。



悔しいけど、ヤットさんの22年連続ゴールに貢献出来たと思えば、その悔しさもグッと飲み込める。





「審判に最も抗議するクラブは?」と問われたならば選手、サポーターを問わず「ガンバ」と即答するくらいにそのイメージが付いている。「くたばれチャント」とかもう象徴してるよね。まあ「おい!」とか思うことは自分にもあるけど、スタンドから見てる限りにおいてはブーイング出来るほどの確証は持てないからいつも「帰って確認するか」になる。大阪の人だけめちゃくちゃ視力がいいはずないだろうし、つまりガンバにおいては審判へのブーイングは文化として根付いているってことだと思うよ。憂さ晴らしを除いて、いいことなんて何もないと思うけど。









噂とおりに素晴らしいスタジアムだった。個人的には日本で最高のスタジアムだと思った。いいスタジアムは他にもあるけど、ここ以上のスタジアムを現時点では知らない。3層構造の一番上は下よりも傾斜がキツくしてあって、上からでも見やすい設計になってそうだった。ちなみに4枚目はエキスポシティの観覧車から見た太陽の塔。このアングルは新鮮。















スタジアム内にあるガンバのミュージアム。これまでの全ての所属選手のパネルを飾ってあるコーナーがあった。大分関連選手を撮り始めたら意外と多くてここに載せてないのでいくと、加地、高木和道、シジクレイ、小島宏美、瀬戸、フェルナンジーニョ、パウリーニョ、川西、船越(多分もっといる)もあってガンバだけでなく、うちのクラブとしての歴史も長くなってきたなと実感した。


13年シーズンがすれ違いだったため10年ぶりとなったガンバとの対戦。スタジアムが変わったからそもそもあまり懐かしさなんてなかったんだけど、唯一スタジアムDJの仙石幸一さんの「ガンバァァァオォォォォォサカッッ!!!!!」のコールが変わってなかったのは嬉しかった。
コメント
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