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自治体が通塾費用を負担?!

 東京・府中市が進めていた、生活保護世帯の子どもを対象とした無料の学習支援教室「みらサポ」の開校関連経費886万円の補正予算案が9月定例市議会の予算特別委員会で承認され、10月にスタートすることが決まったとの報道。同市は生活保護世帯の学習支援策として、2009年度から通塾費を助成(上限は中学1、2年が年間10万円、3年が同15万円)を実施していた。

 生活保護を受給する家庭の子どもが成人後も貧しさから抜け出せない「貧困の連鎖」を断ち切るための施策とのことだが、郷秋<Gauche>的にはどうも腑に落ちない。「貧困の連鎖」についてではなく、学校教育が不十分であることの解決策を学習塾に通う事に求めた、その安易な、本末転倒な考え方にである。

 府中市自身が中学校における教育・学修内容が不十分であることを認めているのにも関わらず、学校現場における教育力改善の努力を放棄し、解決策を学習塾に求め、更には行政主導の学習塾「擬き」を始めよとしている。高校受験を意識し、生徒・父母側が自主的に塾に通うのならばいざ知らず、学校側の教育方法や制度の改善を棚上げにして行政が塾通いを推奨するとは何たることか。

 勿論、現場の教員が多忙で、通常の授業・学修から遅れがちである生徒のサポートに手が回りかねている事実は郷秋<Gauche>も見聞きしてはいる。だがしかし、多忙を極める教員がいる一方で、何の校務も担当せずクラブ活動の指導もせず毎日定時で退勤している教員もいるのだと聞いている。教員すべてが多忙なのではなく仕事が偏在しているのである。つまるところは学校経営の拙さと云う事になるのではないだろうか。

 校長は教育のエキスパートであったとしても、学校経営の専門家ではない。そこに問題があるのだと、マネジメント能力に優れた人材を民間から登用する動きがあるけれど、こちらはこちらで数カ月で退職、セクシャルハラスメントやパワーハラスメント問題を引き起こし、あるいは教頭・副校長以下の同僚教員の支持を得られず効果が上がっていないとも聞く。

 どの世界でもそうだが、「総論賛成各論反対」「言うは易く行うは難し」。特に教育問題は一億総評論家たり得るからなおさら大変。そうは云っても「教育は国家百年の計」であり、いま手を抜く、いま予算をけちることをすれば、百年後の日本を危うくすることは必至。確固たる信念をもった教育者かつ学校経営者が各学校の長として、教育行政の長として存分に力を振えるようであって欲しいものである。

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