唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
旅
月刊雑誌の『旅』4月号のことだ。数日前にたままた通りがかりに入った書店で目に付いたのでパラリと眺めて買おうとしたけれど、手に取った物は散々立ち読みされてヨレヨレ。古本より酷いんじゃないかという状態だったのでその時は止め、翌日別な書店で手垢の付いていないものを購入した。
これまで立ち読みはしてもついぞ買ったことがなかった『旅』を何故買ったのかと云うと、宮沢賢治の特集号だったからである。『旅』といえばJTBが発行していたはずだった記憶があったけれど、購入してみたら、発行元は新潮社だった。B5版の、どちらかと云うとぱっとしない体裁だけれどいかにも質実なイメージの雑誌だった記憶があったが、手に取って見たらA4変形平綴じ薄手のお洒落な感じだった。なにやら女性雑誌の趣だ。
なんだか違和感があったのでWikipediaで調べてみた。郷秋<Gauche>が感じた違和感は、正しい違和感であったことがわかった。確かに以前はJTBが刊行していたが、2003年に休刊になりその誌名が新潮社に譲渡され、さらに2005年に女性向けの雑誌に衣替えをしたんだと。誌名と旅に関する雑誌と云う基本だけは継承されているけれど、かつての『旅』とは随分違う『旅』になっているようであった。
さて、その中身だが、以前から行きたいと思っていた賢治の作品に登場する場所、あるいは作品のモチーフになった場所を訪ねてみたいという気持ちを高めるには十分な内容であった。ただ、作品との関連性よりもやたらに丁寧に紹介されている盛岡と花巻の美味しい店の紹介にページの多くが費やされているのには多少ウンザリもしたけれど、「女性誌」だと思えば納得できるし、実際に行けばその中なの幾つかでビールを飲み食事をし、あるいはコーヒーを飲むことになるのだろうから、まっ、親切な内容だとは云える。
で、写真が良いですね。いかにも女性誌チックで「こんなもので良いだろう」的な写真も無い訳ではないけれど、幾枚かはかなりしっかりとしたもので、強い訴求力を持っている。綴じ込み付録の「タウン誌『てくり』編集部が案内、地元おすすめ、盛岡ごはん処」に掲載されている料理の写真はボケを一切排除した標本的写真が並ぶが、これはこれである種の見識が感じられて好感が持てる。手本になる。
さて、今年中に行けますかね、賢治のふるさとへ。
月刊『旅』(2009年4月号)
新潮社 (雑誌コード:15991)
発行年月日 2009年2月20日 (明後日には5月号が刊行されます)
A4変形版 144頁
820円(税込)
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