DSLRメーカー別シェアの行方は

 昨年の秋・冬以降各メーカーが積極的に入門用の低価格機種を投入したことから急速にマーケットが大きくなっているDSLR(デジタル方式一眼レフ)だが、気になるのはそのメーカー毎のシェアである。まずは下の表・グラフをごらん頂きたい。

[表およびグラフは郷秋<Gauche>作成]

 昨年10月から本年4月までのメーカー別シェアの推移はご覧の通りである。ニコンとキヤノンの2強に寡占化されたマーケットであることがわかる。また、昨年11月までは磐石かと思われたキヤノンのシェアトップが、ニコンのD40が登場した12月に一気に逆転し、それ以降ニコンがトップシェアを維持している事がわかる。

 更に仔細に見れば、3月までは最下位であったオリンパスが新機種の投入によりペンタックスとソニーを逆転し一気に第3位に躍り出ている事がわかる。

 シェア獲得に直接貢献するのは、D2Xsや1D MarkⅢ(3)と言ったフラッグシップ機ではなく、D40やD40x、KissデジタルXといった低価格機。つまり昨年の12月以降はこの低価格機の品揃えに力を入れたメーカーがシェアの拡大に成功しているのである。

 本年4月のオリンパスの躍進はE-410の発売によるものだが、オリンパスは更により収益性(価格)の高いE-510を投入し、ニコン、キヤノンに次ぐ第3のメーカーとしてのポジションを確実にしたいところだろ。

 ペンタックスはソニーのシェア縮小に伴い1月には12.2%のシェアを獲得しているが、残念ながらこれは最大瞬間風速。HOYAによる買収発表以降のごたごたに嫌気を差したファンが他メーカーに流れたのか、3ヶ月連続のシェア下落で4月には5%割れ目前の崖っぷちである。

 もう一つのDSLRブランドであるパナソニックだが、DMC-L1Kのみではメーカー単独で表示できるほどのシェアには達せず「その他」に含まれているのが寂しいところである。富士フイルム(FinePix S5 Pro)とシグマ(SD14)も同様である。

 昨年鳴り物入りでDSLR市場に参入したソニーだが、残念ながら4月には「その他」入りしている。ソニーは本年中に「フラッグシップ機」を登場させる計画のようだが、その勢いを借りての再浮上できるのかにも注目したいところだ。

 これから発表になる5月以降のシェアで気になるのは2強の動きである。今年1月にはニコンに16.8ポイントもの差をつけられたキヤノンはKissデジタルXの1万円キャッシュバックキャンペーンにより9ポイント差まで詰め寄っているが、オリンパスの躍進によりニコンと共にシェアを落とす中で、果たしてキヤノンのトップ返り咲きはあるのか。企業としての体力を考えれば遠からず返り咲きを果たすことにはなるのだろうが、逆の見方をすれば、ニコンがいつまでトップの座を死守できるのか、興味津々である。

 さて、タイトルには「DSLRメーカー別シェア」と書いたが、数字の出典であるBNCランキングでは「デジタルカメラ(レンズ交換型)」となっている。したがって一眼レフではないけれどレンズ交換が出来るデジタルカメラであるエプソンR-D1sとライカM8が「その他」に含まれていることになるが、その数はほんのわずかであろうから、「DSLRメーカー別シェア」とした次第である。また、各月のシェアは、実は各月の最終週などの1週間程の間の数字であり、厳密な意味での月間シェアではないことを付記しておく。

注:カメラ映像機器工業会発表による本年4月のDSLR出荷台数(国内)は前年比63.8%増の99,000台である。
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