矢祭町「もったいない図書館」

 昨日ご報告した通り、以前から何度かご紹介している福島県矢祭町の「もったいない図書館」に行ってきました。矢祭町は茨城県に接する福島県の最南端の町で、合併しない宣言で一躍有名になりましたが、昨今は、全国からの寄贈本で蔵書をまかなう図書館を設置することを表明し、取り分け本好き・図書館好きの間で有名になった町です。

 郷秋<Gauche>はこの「もったいない図書館」の蔵書集めの初期の時期から興味を持ち、度々紹介をしておりますので、これをご存じであるのみならず、このblog愛読の皆さんの中には愛蔵の書籍を寄贈された方も幾人かおいでのはずです。

 私はこれまで、通称名のつもりで「もったいない図書館」と言い、書いてきましたが、矢祭町の中心地である東館、JR水郡線の東館駅の目の前にあるその図書館に行って、びっくりしたのがその名称でした。看板には、なんと「矢祭もったいない図書館」と書かれているのです。つまり、「もったいない図書館」は通称名ではなく、正式名称であったのです。

 「矢祭もったいない図書館」の入り口。この建物の左半分は教育委員会事務局として使われているようで、図書館はこの入り口を入って廊下を右に進んだところにあります。

 郷秋<Gauche>の心積もりでは、こっそりと見て帰って来るつもりであったのですが、同行の父が、町内の那須屋の人間である事を名乗り、見学したいと申し出たからなのか、館長自らが館内を案内の上、詳しい説明をお聞かせくださるという思いもかけない厚遇を得ることとなりました。

 この図書館はもともと町営の武道場であったようですが、利用が少ないことから図書館への転用が決まったようです。外見はどことなくその出自を思わせる少々くたびれた建物ですが、中はすっかり改装されており、閲覧室には約5万冊の本が整然と配架させています。

 全国から約30万冊の本が寄贈されたそうですが、そのうち傷みの激しい一部の本は寄贈者に連絡をした上で廃棄したそうですが、多くは、特に全集物などは開いたこともないのではないかと思われるほど綺麗なものが多く並んでいるのには驚きました。寄贈者は圧倒的に個人が多いようでしたが、中には出版社が自社の出版物を寄贈したり、篤志家がこのために自ら新刊本を購入し、送ってきた例もあるそうです。

 いずれにしても人口7千人の町には十分過ぎるほどの量と質の本が送られてきたようで、約20万冊の本を納めるために1億数千万円をかけて書庫を造らざるを得ない状況になったとのことでした。その閉架書庫も見学させていただきましたが、この続きはまた、明日。

 2つの建物が「渡り廊下」でつながっているのをお判りいただけるかと思います。左側が武道館を改装した図書館本館(閲覧室)。更に左側に、上の写真の入り口のある建物があります。右側が新築した書庫です。書庫のすぐ後ろをJR水郡線が走っています。とは言っても、上り下り各2時間に1本ですが。

矢祭町、矢祭もったいない図書館関連Site & blog
矢祭町役場
矢祭町役場(図書の寄贈のお礼)2007年6月現在、新たな寄贈の受付はしていないとのこと。
矢祭町Wikipedia
タダで図書館を作る方法(「郷秋<Gauche>の独り言」内の記事)
タダで図書館を作る方法(続報)(「郷秋<Gauche>の独り言」内の記事)
矢祭町図書館、1月14日開館(「郷秋<Gauche>の独り言」内の記事)
矢祭町「もったいない図書館」(「郷秋<Gauche>の独り言」内の記事)
矢祭町「もったいない図書館」(その2)(「郷秋<Gauche>の独り言」内の記事)
矢祭町「もったいない図書館」(その3)(「郷秋<Gauche>の独り言」内の記事)
那須屋(矢祭町にある田舎宿屋)(「郷秋<Gauche>の独り言」内の記事)
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