アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

わらの女

2012-06-07 21:54:36 | 
『わらの女』 カトリーヌ・アルレー   ☆☆★  再読。名作と言われているらしいが、大したことはない。まあ確かに、きびきびした文体と先の読めないプロットでサクサク読める。要するに「金持ちと結婚して贅沢したい」と思っている女が「結婚相手求む」の新聞広告につられて応募すると、大富豪の遺産を相続して山分けしようじゃないかと持ちかけられる。持ちかけた秘書がブレーンとなって女は大富豪を篭絡し、何とか結婚に . . . 本文を読む

ツレがうつになりまして。

2012-06-04 22:31:09 | 映画
『ツレがうつになりまして。』 佐々部清監督   ☆☆☆  日系のレンタルDVDで観賞。☆三つと少な目にしてしまったが決して悪い映画ではない。大きくカテゴライズすればいわゆる「闘病もの」で、鬱病になって苦しむ夫とそれを支える妻、という夫婦愛を謳う作品だ。ただしあまりに深刻に重く描くのではなく、比較的緩く、時々ユーモラスな描写もまじえつつ進み、締めるところでは締める、という作りになっている。ハートウ . . . 本文を読む

白昼の死角

2012-06-02 23:58:18 | 
『白昼の死角』 高木彬光   ☆☆☆☆☆  京極夏彦かと思うくらい分厚い文庫本である。休暇でイタリアに旅行した時機内読書用に持参したが、面白い。これまで読んだ高木彬光の本の中ではダントツに面白い。正直、あまり大した作家さんじゃないなと思っていたのだが、見る目が変わった。  これは名探偵が出てくる本格推理ではなく、天才的犯罪者の犯罪を描く一種のピカレスク・ロマンである。これは実在の人物から聞いた . . . 本文を読む