アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

Seconds Out

2007-11-10 12:59:35 | 音楽
『Seconds Out』 Genesis   ☆☆☆☆☆  ジェネシスのライブ。ピーター・ガブリエルが抜けてスティーヴ・ハケットは残っている、『静寂の嵐』期のジェネシスである。ヴォーカルはフィル・コリンズ。ガブリエル期の怪奇性、おどろおどろしさはなくなっているが、後のヒットチャート・ポップス化はまだしていないという絶妙な時期だ。ジェネシスの本領は複雑で幻想的な演奏にあると思うがガブリエル期のラ . . . 本文を読む

ABC殺人事件

2007-11-07 17:30:39 | 
『ABC殺人事件』 アガサ・クリスティー   ☆☆☆★  再読。クリスティーの傑作の一つに数えられているが、私はそれほど好きではない。ただし傑作といわれることに異存はない。  クリスティーにしては珍しい、クローズド・サークルではない殺人事件だ。つまり限定されたグループの中に犯人がいる、というパターンではなく、相互に関係のない被害者があちこちの町で次々と殺され、犯人はどこの誰でもおかしくないとい . . . 本文を読む

椿三十郎

2007-11-05 20:28:11 | 映画
『椿三十郎』 黒澤明   ☆☆☆☆☆  Criterionのツイン・パックで、『用心棒』に続いて『椿三十郎』を再見。久しぶりに観たが、やはりこれは人類の宝である。面白過ぎる。しかもCriterionの拍手もののリストアのおかげで音響、映像ともにピッカピカの新作のような美麗さ。本当にうれしい。日本でも黒澤DVDボックスが出ているが、これと同じバージョンなのだろうか。  前作『用心棒』はまぎれもな . . . 本文を読む

男はつらいよ 寅次郎忘れな草

2007-11-03 12:49:18 | 映画
『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』 山田洋次監督   ☆☆☆  『男はつらいよ』シリーズ11作目。シリーズ中4本でマドンナをつとめ、寅次郎との関係が他のマドンナのように一過性ではなくシリーズ通して継続的だったという意味で、寅次郎の実質的な恋人だったともいえる浅岡ルリ子のリリーが登場する最初の一本である。  ロケ地は北海道で、リリーとの恋物語の他に見所としては、寅がマジメな生活を志し、北海道の酪農 . . . 本文を読む

恐怖の存在

2007-11-01 21:29:44 | 
『恐怖の存在(上・下)』 マイクル・クライトン   ☆☆☆  クライトンの小説を文庫で購入。今回のテーマは地球温暖化である。環境テロリストとそれを食い止めようとする人々の戦い。薄っぺらいアクション。ステレオタイプのキャラクター達。スラスラ読めるが、はっきりいって小説としては駄作だと思う。少なくとも人に勧めることはできない。しかし、地球温暖化や環境保護について例によって登場人物が(クライトンの代弁 . . . 本文を読む