アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

ジェラルドのゲーム

2011-12-05 18:58:16 | 
『ジェラルドのゲーム』 スティーヴン・キング   ☆

 さっぱり読んだ記憶がないのにいつの頃からか本棚に存在する本というものが我が家には時々あり、これもその一つである。キングを何か読みたいなと思ってふと手に取ったのだが、もう大失敗。無駄な時間を費やしてしまった。キング本の中でも大はずれの部類だ。これはきちんと処分しておかなくてはならない。きっと前回も途中で読むのをやめたか、斜め読みして放り出したのだと思う。

 キング作品に時々ある、アイデア一発ものである。田舎の別荘で、ジェシーはSの気がある夫にベッドに手錠で拘束されました。抵抗して足で蹴った拍子に夫は死んでしまいました。さあ、これからどうなるでしょう。

 というわけで、終盤に至るまで登場人物は死んだ夫とジェシーのみ、他は犬一匹。それだけじゃもたないというので、当然ながらジェシーはさかんに過去の回想をし、夫のことや過去に父親から受けた性的虐待のことなどを思い出す。それからキングお得意の、妄想の中での自分との対話。「(自分に向かって)あんたは本当はこれが望みだったんじゃないの?」「ああもうやめて。今やらなきゃいけないのは…」なんてのが延々と続く。

 一方でもちろん、生き延びるための現実的な努力も続けられる。大声を出したり、コップの水を飲もうとしたり、電話をかけようとしたり、もちろん手錠の鍵を手に入れようとしたり。どうやってコップをずらすか、どうがっかりしてどううまくいったか、その時々のジェシーの心境、などが例によって細かく細かく描写される。それが本書の読みどころ……ってそんなもん読まされて面白いか?

 キングにとってもチャレンジだったんだろうな。しかし、とにかく退屈。しかも強引に盛り上げようとしてこけおどし的な描写が続出するものだから、ますます白けてしまう。大駄作。キング信者以外読むべからず。


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