『サンクチュアリ』 ノヴェラ ☆☆☆☆
ジャパニーズ・プログレッシヴ・ロック、略してジャパグレの雄、ノヴェラ4枚目のスタジオ・アルバムである。一般のリスナーはあまり耳にする機会はないであろう日陰者的な音楽だけれども、私は時々引っ張り出して聴いている。私の記憶が正しければこのアルバムは最初のメンバーチェンジ後の作品で、つまり第二期ノヴェラの初スタジオ・アルバムということになる。ドラムとベースのリズムセクションが丸ごと入れ替わり、ツインギターの片方が抜けた。したがってリズムセクションは大幅に印象が変わり、ギターは残った一人、つまりリーダーでありコンポーザーである平山照継のシャープでソリッドな持ち味が支配的になった。
一発目の「ディヴァイン・コメディ」の冒頭、いきなりイコライザー処理された人の声で笑い声まじりの曲紹介アナウンスが入り、引いてしまう人も多いことと思う。こういう大仰さが一般人をジャパグレから遠ざけている第一の要素なのだけれども、それを知りつつあえて冒頭でぶちかます姿勢はいっそすがすがしい。おれたちはこういうのが好きなんだ、イヤなら聴かんでも良し、という開き直りとも取れる頑固な姿勢である。ヴォーカルの五十嵐氏は相変わらず中性的なハイトーンで歌っているが、ファーストの時ほど人間離れした甲高い声は出していない。サウンドはリズムセクション、ギターともにソリッドさを増し、以前よりも仕掛けが多いアレンジだ。しかし曲のサビでオペラみたいな妙なコーラスが入ったりとか、こっぱすかしい大仰路線もますます健在だ。いっそすがすがしい。(<もういいって)
個人的には、このアルバムの聴き所は間違いなくベースである。どの曲でも、ゴリゴリしたエッジの立ったベースがメロディアスに歌いまくっている。このメロディアスっぷりはラッシュのゲディ・リーに勝るとも劣らず、存在感のある硬い音とともに私のツボを突きまくってくれる。おまけにどの曲もキメや仕掛けが多いので、このベースがよくハマる。うるさい曲でガリガリ引きまくるのはもちろん、「夢の絵の具」みたいなバラード曲でも歌のバックで印象的なフレーズを奏でており、ボトムを支えるというよりカウンターメロディを奏でるというに近い。ベースはどの曲でも歌いまくっているが、特に派手なのは「調べの森」あたりだろうか。縦横無尽に弾きまくっていて気持ちいい。「過ぎ去りし我らの日」もベース弾きまくりだが、曲がちょっとヘンだ。
歌メロがキャッチーなのもノヴェラの特徴だが、このアルバムでもバラード二曲とラストの「黎明」でその本領を発揮している。特に「黎明」は美メロと壮大なシンセサイザーによるオーケストレーションをフィーチャーした、典型的なシンフォニック・ロックである。特に間奏部ではクラシカルなテーマをシンセサイザーがここぞとばかりに盛り上げ、鐘の音まで鳴り響き、涙が頬をつたって流れ落ちそうになる。この大仰さ、いっそすがすがしい。
しかしベースの笹井隆司氏、ノヴェラの他ではゲーム音楽みたいなものをやってるぐらいで、あんまりバンドでベースを弾いていないようだ。こういう人をトリオ編成のバンドか何かで思いきりベースを弾かせたら面白いのに。実にもったいない。
ジャパニーズ・プログレッシヴ・ロック、略してジャパグレの雄、ノヴェラ4枚目のスタジオ・アルバムである。一般のリスナーはあまり耳にする機会はないであろう日陰者的な音楽だけれども、私は時々引っ張り出して聴いている。私の記憶が正しければこのアルバムは最初のメンバーチェンジ後の作品で、つまり第二期ノヴェラの初スタジオ・アルバムということになる。ドラムとベースのリズムセクションが丸ごと入れ替わり、ツインギターの片方が抜けた。したがってリズムセクションは大幅に印象が変わり、ギターは残った一人、つまりリーダーでありコンポーザーである平山照継のシャープでソリッドな持ち味が支配的になった。
一発目の「ディヴァイン・コメディ」の冒頭、いきなりイコライザー処理された人の声で笑い声まじりの曲紹介アナウンスが入り、引いてしまう人も多いことと思う。こういう大仰さが一般人をジャパグレから遠ざけている第一の要素なのだけれども、それを知りつつあえて冒頭でぶちかます姿勢はいっそすがすがしい。おれたちはこういうのが好きなんだ、イヤなら聴かんでも良し、という開き直りとも取れる頑固な姿勢である。ヴォーカルの五十嵐氏は相変わらず中性的なハイトーンで歌っているが、ファーストの時ほど人間離れした甲高い声は出していない。サウンドはリズムセクション、ギターともにソリッドさを増し、以前よりも仕掛けが多いアレンジだ。しかし曲のサビでオペラみたいな妙なコーラスが入ったりとか、こっぱすかしい大仰路線もますます健在だ。いっそすがすがしい。(<もういいって)
個人的には、このアルバムの聴き所は間違いなくベースである。どの曲でも、ゴリゴリしたエッジの立ったベースがメロディアスに歌いまくっている。このメロディアスっぷりはラッシュのゲディ・リーに勝るとも劣らず、存在感のある硬い音とともに私のツボを突きまくってくれる。おまけにどの曲もキメや仕掛けが多いので、このベースがよくハマる。うるさい曲でガリガリ引きまくるのはもちろん、「夢の絵の具」みたいなバラード曲でも歌のバックで印象的なフレーズを奏でており、ボトムを支えるというよりカウンターメロディを奏でるというに近い。ベースはどの曲でも歌いまくっているが、特に派手なのは「調べの森」あたりだろうか。縦横無尽に弾きまくっていて気持ちいい。「過ぎ去りし我らの日」もベース弾きまくりだが、曲がちょっとヘンだ。
歌メロがキャッチーなのもノヴェラの特徴だが、このアルバムでもバラード二曲とラストの「黎明」でその本領を発揮している。特に「黎明」は美メロと壮大なシンセサイザーによるオーケストレーションをフィーチャーした、典型的なシンフォニック・ロックである。特に間奏部ではクラシカルなテーマをシンセサイザーがここぞとばかりに盛り上げ、鐘の音まで鳴り響き、涙が頬をつたって流れ落ちそうになる。この大仰さ、いっそすがすがしい。
しかしベースの笹井隆司氏、ノヴェラの他ではゲーム音楽みたいなものをやってるぐらいで、あんまりバンドでベースを弾いていないようだ。こういう人をトリオ編成のバンドか何かで思いきりベースを弾かせたら面白いのに。実にもったいない。