崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

温かいバス運転者

2009年10月24日 06時40分03秒 | エッセイ
 バスに乗るには根気が必要である。交通事情により時刻を心配しながらバスを待つのはいらいらする。バスが遅れることを予想してちょっと遅れた時は定刻に通過してしまう。中には定刻より早く通過するバスもある。その時は本当に腹が立つ。昨日もかなり遅れたバスに乗ったが、交差点の道路工事で信号器の調整をしてないのかさらに長く車内で待った。そこを過ぎてバスは急いでいるようであったにも関わらずバスストップを若干過ぎたところで途中で止まった。
 運転手は二つのドアーを開門したまま帽子を脱いでハンドルの上において降りて走って行った。白杖をついている盲目の方の手を取り、言葉をかけてバスに乗るかどうか確認したようである。彼女は他の人を待っていたようであり、運転手が戻って何も言わなかったけれども、遅れたバスの運転手の温かさに感動してバスに乗ってよかったと思った。このような社会が制度にしろ個人の行動にしろ理想的な社会であろう。