崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

ノーベル賞

2009年10月11日 05時32分52秒 | エッセイ
 数年前にスウェーデン・ストックホルムの友人を訪ねた時、彼がわが夫婦をノーベル賞の発表や受賞式などを行う建物の中に案内してくれた。そして彼は世界のいろいろな国から、ノーベル賞のために戦略的にロビー活動やスウェーデン語への翻訳出版などの裏話をしてくれた。彼も何冊か翻訳をしたと言っていた。その時は賞と縁のない私にとっては世俗的な話だと聞き流した。
 ノーベル賞の6分野のうち5つまではスウェーデンが選考するが1つはノルウェー議会が選出する。1905年までは両国は一つの連合国であった歴史がある。この度ノーベル「平和賞」はノルウェーのオスロで発表したし、授与式も行われる。この賞は政治的な傾向が強い。アメリカ大統領のオバマ氏が目出度く選抜された。「偉大な業績」を成し遂げた人に与えられると言う意味ではふさわしくないという見方や非難の声もある。
 賞の根本的な意味が問われている。ノーベル賞も根本的は美人コンテストの賞とそれほど変わりはない。日常的に褒め言葉と叱る言葉、鞭と飴のようなものであろう。人格や国家の威信などとは関係ない。ノーベル賞も世俗的な評価に過ぎない。夏目漱石がみせた賞の意味を考えてみる。賞は神様からもらうのが一番だという意味であろうか。