崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

夫婦別姓

2009年10月01日 07時00分34秒 | エッセイ
夫婦別姓制度導入の話がある。植民地時代には台湾や朝鮮などの外地(日本を内地)に日本式の創氏改名にしたのに今、逆に日本で旧植民地政策とは反対の現象を起こそうとしている。朝鮮民族の姓は血統をはっきりする父系制によるものである。それに対して日本は父系制がそれに比べてはっきりしていない。したがって一緒に住む世帯的な要素が強い。したがって「氏」に意味がある。
 創氏改名が失敗したのは朝鮮民族の「姓」と日本の「氏」が異なっているのに無理に変えようとしたからである。いま主に女性差別的な要因を考えて夫婦別姓化しようとしているだけでは理由が十分ではない。夫婦別姓を持っている韓国や中国においてもその差別が日本より低いとは言えない。現在中国に男女平等の傾向が高いのは社会主義のせいかもしれない。
 千葉法相と福島消費者・少子化担当相の二人の女性によって発案されたものが、男性の鳩山総理によって「まだその段階に至っていない」「必ずしもそういう認識を持っていない」といわれており、男女の対立のように思われがちなことはよくない。「脱官僚」といってなんでも、政治家の世俗的な知識で社会の根幹を簡単に変えてはいけない。「氏」を大切にするのが日本社会の特徴であるからである。