崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

吉野桜

2009年02月27日 05時34分21秒 | エッセイ
 去年吉野桜の花見が予約できず断念したが今年はできそうで楽しみに待っている。贅沢な話に聞こえるかもしれないが、実は日韓併合後日本人の篤志家が韓国のあるところに吉野をモデルにして「朝鮮吉野」を作った植民地史の研究の一環として調べるのが目的である。朝鮮総督府は紀元節などに桜の木やポプラなどを韓国に植え、桜の花見の習慣も伝わった。しかし戦後、韓国は桜が日本を象徴する国花と思い、桜が抜かれて、切られて、伐採されるようになった。まるで花見が「非国民」の韓国人のような雰囲気になり、まさに「桜危機」であった。その時に「桜の原産は済州島」説が表れ、やっと桜が救われた。桜にとってこの牽強付会説が救い主である。
 韓国の両班が愛した四君子(梅欄菊竹)の美は中国文化からのものである。鑑賞植物や花のルーツを考えるとルーツを云々することは花の美、花見とは違う話である。花見の話はずっと次元が高い。花をイデオロギーで染めた桜「染い吉野」を植民地政策に使ったことと、それを切ったり抜いたりする日韓の幼稚な発想を超えて純粋な心で花見をする心の準備をして桜前線を待ちたい。