verse, prose, and translation
Delfini Workshop
飴山實を読む(45)
2008-01-12 / 俳句
朝から、仕事。午後、風呂の掃除。少し寝て、また仕事。今日は終日、冬の霧雨。
(写真)枯芒
◇
酒蔵の酒のうしろのちゝろ虫
■ちちろ虫で秋、蟋蟀のこと。場面が鮮明で、一読惹かれた。酒と自然の近さ、蟋蟀と人間の近さが窺われて楽しい。
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芭蕉の俳句(163)
2008-01-11 / 俳句
午前中、病院、午後、カイロ。日曜日の句会に欠席メールを出した。耳鳴りと胃腸障害が重なっては、とても、長時間の句会に耐えられない。今日は、消化器科の専門医に診てもらって、胃カメラを実施することにした。ほとんど、毎日のように病院通いで、その合間に仕事をしているような感じである。胃腸の障害は、自律神経が乱れていることと、もしかしたら、関係があるのかもしれない。
(写真)
天寒くして翠柚薄し
日暮れて修竹に倚る
杜甫
◇
許六が木曽路におもむく時
旅人のこころにも似よ椎の花
■元禄6年作。椎の花で夏。椎の花は、栗の花に似ている。芭蕉には、世の人の見付けぬ花や軒の栗がある。芭蕉は、栗の花と同じような感じ‐目立たず侘びある風情‐を椎の花に感じていたのではないかと楸邨は述べている。
「旅人のこころ」言い換えれば、「漂泊者のこころ」が、椎の花と通い合っているところに惹かれた。ただ、椎の花も栗の花も、確かに、あまり話題にはならないが、目立たないことはないように思う。花として、花らしさに欠けるところが、逆に、面白いと思う。
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ドイツ語の俳人たち:Sabine Balzer(18)
2008-01-10 / 俳句
朝から、病院。3日分の胃腸薬が出る。内科医で消化器科の専門医ではないので、明日、再度、でかけて、ピロリ菌などの検査をしてもらうつもり。流動食も5日目に入る。珈琲の一日の摂取量の多さが原因かとも思えてくる。とにかく、よく飲んでいたのだ。平均、4、5杯。しかもマグカップ。胃腸をやられると、気合が入らないので困ったものである。
(写真)
とある地下牢の中で、
熊のように
行ったり来たり歩き回っている
空なんて、いっそ見ない方が幸せさ
ここから空を見上げたって、嬉しくなんかない
アポリネール「ラ・サンテ監獄にて」
◇
(Original)
pfeifend hockt der Spatz
auf der Tannenspitze bis
zum nächsten Windstoß
(japanische Fassung)
樅の木の天辺に
雀が止まって囀っている
次の風を待ちながら
■まあ、可愛い句だが、それ以上の趣はない。平凡な句だと思う。
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湯たんぽ
ここのところ、体調が悪く、臥せることが多い。胃腸系をやられたのだが、とくに、新年会が続いたわけでも暴飲暴食したわけでもない。耳をやられてから、体を動かす機会がめっきり減ったことが胃腸系を弱めたものと睨んでいる。明日病院へ行く予定。
(写真)足尾の町並み。昭和のまま時間が止まっている。
◇
湯たんぽ
歳時記などを見ると、湯たんぽは、最近ではめっきり見かけなくなった、とあるが、にわかに復活しているのである。原油高が追い風になって女性に受けているという。環境問題をとくに意識したわけではないが、今日から湯たんぽ生活である。あのとぼけたデザインとYUTANPOというまろやかな語感がいい。自然な温かみがいい。
寂莫と湯婆に足をそろえけり 渡辺水巴
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RICHARD WRIGHTの俳句(47)
2008-01-08 / 俳句
午前中、郵便物を出しに行きながら、江戸川を歩く。その後、終日、仕事。今日は好天でいい気分だった。
(写真)足尾の山である! ぼくが中高生の頃は、完全に地肌が出た禿山だった。緑化には40年を要したという。植林はすべて人の手で、一本一本植えられている。ボランティアが主体だが、群馬県側は交通の便が悪く、栃木県側の参加者が多いと聞く。稜線に人々が並んでいっせいに植林する姿は感動的だったという。
◇
(Original)
The spring lingers on
In the scent of a damp log
Rotting in the sun.
(Japanese version)
春去らず
太陽に焼かれて
湿気た丸太が饐えた匂いを放つ
(放哉)
何か求むる心海へ放つ
■ライトの句、丸太の饐えた匂いは、子どもの頃、遊び場の近くが製材所だったので、よく覚えているが、一概に、気分が悪くなるというものでもない。丸太の饐えた匂いに湿気を含んだ春の確かさを感じ取り、まだ、夏になりきっていない様子を感じた感覚的な句だと思う。一方、放哉の句は、まるきり関係がないようで、あるような、一読して、ドキッとさせるものがある。「求める」のは、洋の東西を問わず、人間の業なのか、「近代社会」で加速されたものなのか、わからないが、今でもわれわれは、日夜、何事かを求めて暮らしている。あるいは、「求めさせられて」と言った方が適切かもしれない。放哉の句の海は、生の始まりであり終わりである海の、生死を越えた包容力を物語るもので、われわれが、ときとして、海を見たくなるのは、放哉の句を読むとよくわかる気がするのである。
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北と南(10):黒糖煮る
夕方から、江戸川を散歩。川面の夕日が凍った風に揺れていた。その後、喫茶店に籠もって句作。夜、「のだめ」を観る。久しぶりに、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴いた。クラシックを聴き始めて、最初に好きになった曲の一つで、なんだか、懐かしい。
David Oistrakh plays Tchaikovsky Concerto (1st Mov.)
David Oistrakh plays Tchaikovsky Concerto (1st Mov.) Part 2
David Oistrakh plays Tchaikovsky Violin Concerto (2nd Mov.)
David Oistrakh plays Tchaikovsky Violin Concerto (3rd Mov.)
(写真)足尾駅からすぐの、古河掛水倶楽部。足尾銅山の迎賓館だった館。今は、記念館として、一般公開されている。
◇
黒糖煮る
沖縄では刈り取られた甘蔗(きび)の製糖が1月から3月にかけて行われる。この時期が製糖期である。黒糖を精製した分蜜糖は工場生産がほとんどであるが、県内消費用の黒糖は個人の家内工業で細々と続けられている。甘蔗を絞った汁を大鍋で煮詰め、石灰を加え固めると、黒糖ができる。
黒糖を煮る魂石をふところに 眞榮城いさを
「魂石(たまいし)」とは、沖縄の風習で、十字路から小石を三つ拾って、その石に願をかけ、懐にいれていると、不思議に元気が出たり、仕事が巧くいくという。作者は宮古島市平良在住。
※ 宮坂静生著『語りかける季語 ゆるやかな日本』(岩波書店 2006年)より
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天上大風
2008-01-03 / 俳句
(写真)足尾駅に放置されたブルートレイン。中に入ろうとしたが、車高が高く、入れなかった。
好天の三が日だった。今日も、午後から眠ってしまった。今年のカレンダーは、誕生日に、ぼくがリクエストしたもので、「良寛さん暦」なるもの。良寛の筆跡を拾って、数字を構成し、代表的な書を掲載している。一月は、
天上大風
とある。この書は、托鉢中、子どもにせがまれて、凧に書いたと言われている。なかなか、面白い凧になったに違いない。この「天上大風」という言葉、俳人が好きで、よく俳句に使っている。
天上大風梯子乗りして遠見の形 北野民夫
八朔の天上大風響き止む 原裕 『王城句帖』
天上大風秋蝶のきりきりと 大木あまり 火球
天上大風麦酒の泡は消えやすく 佐々木有風
天上大風地上に春の花きそふ 角川源義
夢醒めよ天上大風凧あがる 和田悟朗
芋畑天上大風吹き初めぬ 高澤良一 寒暑
涼味満点天上大風てふ地酒 高澤良一 寒暑
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飴山實を読む(44)
2008-01-02 / 俳句
午後から年賀状を出して、近くの神社に初詣に行く。おみくじを引くと、大吉だったが、「病おもし、信心せよ」とある。ちとめげる。ぼちぼち、無理せず行くしかあるまいな。お嬢さん二人がバーゲンに買初に行ったので、いつもの喫茶店に籠もって、作句。
(写真)足尾駅に放置された廃電車。元中央線か。
去年、酔った勢いで、結社誌の編集長に、もう一度俳論を書くと宣言してしまった。宣言はしたものの、テーマが漠然と決まっただけで、アプローチも構成もさっぱり決まっていない。今年は、一日一句作句・毎月発表という、寡作のぼくにとっては、修行のような企画もある。これに、「詩の実験」を加えて、創作の三課題が、早くも、出揃った感がある。
◇
鴨どもとつゞきに寝たる心地よさ
■鴨に一体感を感じている様子が伝わって惹かれた。河岸だろうか、河の見える一室だろうか。根底に自由のある鷹揚とした感じ。ほのかなユーモアも漂う。地球人が、一人残らず俳人になったら、環境問題はかなり解決に向かうんじゃないだろうか。
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寝正月
2008-01-01 / 俳句
(写真)足尾銅山精錬所跡を下った神社の鳥居。まったく人気がなく静まり返った12月のある日。
◇
今日は、何をやっていたのか、思い出せない。昼くらいに起きて、担当の雑煮を作ってから、おせちで酒を飲みすぎて、寝込んでしまった。気がついたら、日が落ちていた。寝正月の典型ですな。うら若き自分と友だちが山歩きする夢を見た。
やはやはと生きると決めて寝正月 飴山實
古きよき俳句を読めり寝正月 田中裕明
霞む日も寝正月かよ山の家 一茶
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