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RICHARD WRIGHTの俳句(47)

■旧暦12月1日、火曜日、

午前中、郵便物を出しに行きながら、江戸川を歩く。その後、終日、仕事。今日は好天でいい気分だった。

(写真)足尾の山である! ぼくが中高生の頃は、完全に地肌が出た禿山だった。緑化には40年を要したという。植林はすべて人の手で、一本一本植えられている。ボランティアが主体だが、群馬県側は交通の便が悪く、栃木県側の参加者が多いと聞く。稜線に人々が並んでいっせいに植林する姿は感動的だったという。




(Original)
The spring lingers on
In the scent of a damp log
Rotting in the sun.



(Japanese version)
春去らず
太陽に焼かれて
湿気た丸太が饐えた匂いを放つ



(放哉)
何か求むる心海へ放つ


■ライトの句、丸太の饐えた匂いは、子どもの頃、遊び場の近くが製材所だったので、よく覚えているが、一概に、気分が悪くなるというものでもない。丸太の饐えた匂いに湿気を含んだ春の確かさを感じ取り、まだ、夏になりきっていない様子を感じた感覚的な句だと思う。一方、放哉の句は、まるきり関係がないようで、あるような、一読して、ドキッとさせるものがある。「求める」のは、洋の東西を問わず、人間の業なのか、「近代社会」で加速されたものなのか、わからないが、今でもわれわれは、日夜、何事かを求めて暮らしている。あるいは、「求めさせられて」と言った方が適切かもしれない。放哉の句の海は、生の始まりであり終わりである海の、生死を越えた包容力を物語るもので、われわれが、ときとして、海を見たくなるのは、放哉の句を読むとよくわかる気がするのである。
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