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往還日誌(164)






■6月11日、火曜日。晴れ。

起きて即、ルカーチの翻訳に取り組む。これほど、わくわくするテクストは他に知らない。できれば、これに掛かりきりになりたいが、諸般の事情が許さない。

12時過ぎに、締め切りに大幅に遅れて提出。

動物の意識と人間の意識の違いを、労働活動に定位して、思考の現実化、という観点からルカーチは読み解いてゆく。自己啓発本の『思考は現実化する』(Think and Grow Rich)の著者、ナポレオン・ヒルみたいだが、ルカーチは、「社会的実践のモデルとしての労働」という水準で、「思考の現実化」を語り、動物の意識が、再生産のための付随的現象に過ぎないのに対して、人間の意識は、もはや付随現象ではなく、それを労働実践を通じて、現実化するという文脈で語る。

AIが意識を持つかどうか、という議論は、AIには、自然との物質代謝を原型とする、社会的実践が欠けているため、AIの意識は、現在のところ、仮象的なものにとどまっていると思う――現在のところは。

この合間に、詩集の営業活動。

ビジネスの中で一番面白いのは、実は、営業だと、昔、某企業の企画事業部にいたときに、先輩からよく聞かされたものである。

私も嫌いではない――自分の詩集を営業するとは思ってもみなかったが。

午後から夜、六本木の仕事。

欧州、とくに、独仏がおかしくなってきて、憂慮している。EUの創設理念もうっちゃって、ロシアと直接戦争する方へ、どんどん、傾いている。

ロシアはその核ドクトリンにしたがって、主権が脅かされれば躊躇なく核を使用する。欧州で核使用は、できないんじゃないか、とたかをくくる言論は、無責任だろう。誰とは言わないが。

現代は、自称リベラルが「好戦的な反動」であり、他称「極右」が平和を志向する。

あすから、3日間は、ニコの仕事に午前中は専念できる。




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一日一句(5267)







銀色の包丁を研ぐ夏の雲






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