高樹のぶ子という作家は、サンドに興味をもっているようである。
サンドの『書簡集』について、サンドの言葉「巧みな表明は感動からのみ生じ、感動は確信からのみ生じます。熱烈に信じていないようなものに人はけっして感動しないものです」を引用し、高樹は「自分を信じ切った女性だからこそ、書簡集を作品として残せたのである」と記している。
毎日新聞(2013/10/27 )の書評より
最新作:『香夜』
死ぬ前に、決着をつけないといけない相手がいる。たとえ相手が生者ではなくても思いを遂げようとする。それが、この物語の主人公・流奈(るな)。
愛してしまったために、流奈の心と体を傷つけた男との再会。家族の期待を背負いながらすべてを捨てた姉との旅路。人生につまずいた不器用な息子と孫が見せる希望。6歳で死んだ、幼なじみの少女と自分の娘への悔恨の念。連なる四つの幻想譚(たん)。
「決心を実行するときが来た」。最後、病院を抜け出した流奈には、思いがけぬ道行きが待っていた。
「命を運ぶのが、運命」。長年、生と性を描いてきた著者による、不思議な鎮魂の物語だ。
◇
集英社・1575円
サンドの『書簡集』について、サンドの言葉「巧みな表明は感動からのみ生じ、感動は確信からのみ生じます。熱烈に信じていないようなものに人はけっして感動しないものです」を引用し、高樹は「自分を信じ切った女性だからこそ、書簡集を作品として残せたのである」と記している。
毎日新聞(2013/10/27 )の書評より
最新作:『香夜』
死ぬ前に、決着をつけないといけない相手がいる。たとえ相手が生者ではなくても思いを遂げようとする。それが、この物語の主人公・流奈(るな)。
愛してしまったために、流奈の心と体を傷つけた男との再会。家族の期待を背負いながらすべてを捨てた姉との旅路。人生につまずいた不器用な息子と孫が見せる希望。6歳で死んだ、幼なじみの少女と自分の娘への悔恨の念。連なる四つの幻想譚(たん)。
「決心を実行するときが来た」。最後、病院を抜け出した流奈には、思いがけぬ道行きが待っていた。
「命を運ぶのが、運命」。長年、生と性を描いてきた著者による、不思議な鎮魂の物語だ。
◇
集英社・1575円