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民主党の変節~「子ども手当て」は最悪の政策

2009年07月29日 15時15分44秒 | 政治って?
政治がその場限りの道具に過ぎない、ということが明確になるのは、こういう時期の特徴なのかもしれない。かつて社会党が与党側に回った時に過去の主義主張を捨て去ったわけだが、今の民主党もほぼそうした傾向を踏襲しているといえるであろう。

つまりは、野党というのが「反対の為の反対」というのを繰り返してきただけに過ぎない、ということ。政策的に何かの問題を解決したいとか、社会や生活をよくしたいとか、そういうことではないのだ。ただ単に、相手(=政権与党)側を攻撃し、批判してみたいだけということ。それが野党の存在意義であるかのように、錯覚しているのである。反対したって、何かの問題が解決できるようになるわけじゃない。これも幾度となく指摘してきたことであるが、「では、どうすれば良くなるか」ということが欠落しているのである。


finalventさんが極東ブログで指摘していたことであるが、インド洋の給油活動は違憲だ、という見解をとる立場であったのなら、可能な限り撤収させるのが当然ということになるだろう。オバマ大統領は選挙前の公約でイラク撤退を主張していたからこそ、就任後には撤退開始を実行した。これが、筋というものなのではないか。民主党は選挙が近づいた、というだけで、急に過去の主張を反古にするらしい。


もう一つ、判りやすい例を取り上げておこう。

民主党の公約の目玉と言われているのが、「子ども手当て支給」だそうだ。これには、賛成意見の識者たちもそれなりにいるようだ。必ずしも「全然ダメ」という政策ではないのかもしれないが、変化としてはかなり大きく、他の犠牲の上に成り立つ割には費用対効果には疑問符がついても不思議ではない、というのが私の個人的見解である。

民主党の姿勢というのは、過去の主張の変遷というものがあるであろう。
2000年には何と言っていたのか?
政府与党の出した「児童手当」には反対していたのではなかったか?公明党が中心になって実現にこぎつけた「児童手当」に文句をつけて反対したのは、民主党ではなかったか?

公明党が息巻いて反論したくなる気分、というのは、確かに理解できる。何故なら、民主党は昔から公明党の政策をクソミソに貶し、反対の立場を取ってきたからだ。勿論、採決にも反対票を投じてきたのだから。当時の児童手当法案というのは、1人目と2人目に5千円、3人目には1万円支給、学童期に入る前の6歳までが限度であった。所得制限も設けられていた。それは「財源問題」というのがあったからであろう。もっと単純に言えば、それしか大蔵省には予算が認められなかったから、だろう。公明党が連立を組むに当たり、自民党にどうしてもこれを通してくれ、というような要求があって実施されたものではないかと想像する。それでも、当時の公明党としては支持層の納得を得る為には全力で頑張ったものであったろう。民主党は、涙ぐましい公明党の努力を踏みにじり、反対に回ったのだ、ということ。


さて、今も現職国会議員に、民主党の小宮山参議員がいるはずである。民主党の子ども政策の中心的存在という議員先生かもしれない(実態は知らない)。この議員先生はかつてどんな主張をしてきたか、ピックアップしてみよう。

2000年4月26日>民主党:児童手当法改正案に対する質問(小宮山洋子参議院議員)

『税の扶養控除か児童手当のような手当でするのかを含めて、子育てをする 家庭で何を望んでいるのか、広く意見を聞き、議論する必要があると考えます。ある調 査によると若い女性の9割は子どもがほしいと考えているのに、官僚の皆さんが机上で 考えているから、出生率が下がり続けることになるのではないでしょうか』

『総理府の世論調査では、子育てのために必要な施策として、労働時間の短縮、育児休業制度の充実などを挙げる人が多く、児童手当などの経済的支援を求める声は、むしろ 少ない結果がでています。子育て支援の総合的なビジョン、施策がまずあって、それでは児童手当はどうするのかと考えるのが順序だと思います』

『児童手当は子育て支援のひとつの柱にすぎません。全体のビジョンがない上に、財源などについて朝令暮改のバラマキとしかいえない、問題の多い今回の改正案は、あまりに無責任であることを申し上げて、私の質問を終わります』

要するに、この最後の質問に書かれているように、全体ビジョンがない、財源が曖昧で朝令暮改のバラマキ、ということで、無駄だ、と。無責任だ、と。そういう主張であったようです。ところが、選挙前になると、急に大盤振る舞いですか(笑)。


民主党の子ども手当ての問題点を書いてみる。

①幼少期の経済支援は本当に効果的か?

当たり前なのだけれど、金をもらえないより「もらえた方がうれしい」「支援はあった方がいい」という意見は多く出るだろう。そりゃそうだ。だが、問題の本質は、若年世代の雇用が不安定であったり(非正規が多い)、収入水準が低い、といったことがそもそも問題なのであって、そこに年金保険料等の社会保障費の過重負担が加わるわけだから、税制や社会保障の問題、というのがまずあるわけだ。子育てしたことがある人ならある程度判ると思うが、子どもが小さいうちはそんなに苦痛というほど支出が増加するわけではないだろう。

それ以上に、女性の仕事が続け難くなるとか、キャリアが途切れるとか、仕事の急に休んだり早退したりが難しいとか、そういうことがあるだろう。子どもの急病なんかはお母さんにはどうにもできないからね。夫婦で所得があったものが、夫の収入だけに頼らざるを得なくなるというような事態が「子どもを持つこと」への経済的不安になったりするのではないかな、と思う。これを子ども手当てで穴埋めすることが若干はできるようになるかもしれないが、そういう政策を割当てずとも、積極的に「働くお母さんを支援する社会制度」を目指すべきだと思う。それが将来の少子高齢化への適切な対応策となるからだ。来るべき将来の労働人口減少、という事態にも対応できる政策だからだ。

子どもへの直接的経済負担は、幼少期であればそんなには大きくはないだろう、というのが、まずあるのだ。


②扶養控除廃止のダメージ

中学までしか子ども手当てが支給されない、というのが、かなり問題だろう、と。子どもへの支出が年齢と共に経済負担が増大してゆくのは、半ば常識的なのでは。
 小学生<中学生<高校生<大学生
という順序になっているのではないか、ということだ。

だから、一番教育費関係にお金のかかる時代が高校生~大学生頃なのだ。今の税制では、そういうことが勘案された控除体系になっているはずで、その減税効果が働いているのである。これが一律に廃止されれば、子ども2人世帯で、お兄ちゃんが大学生、妹が高校生、というような世帯では、教育費や生活費がかかる(食べる量が幼少期とは違う+携帯電話を持ったりする)上に、いきなり大増税が待っていることになるわけだ。子どもの扶養控除2人分で130万円くらい(だったか?)あったものが、いきなりゼロになって数十万円規模での大増税になるであろう。

多額の教育費に加え、住宅ローン返済も抱える厳しい世帯が、いきなり増税されることになる。小中学生世帯の恩恵よりも、こうした増税される世帯への大打撃の方が、影響が大きいのではないかと思うが、この辺は専門的な分析が必要なのではないか。

また、世帯数がどの程度か判らないが、老人と同居世帯でもはやり大幅な増税が待っている。親夫婦と専業主婦の妻の3人を扶養しているお父さんは、いきなり大増税をぶちかまされることになるので要注意。


③高額所得世帯にまで支援が必要か?

ある程度所得のある世帯にまで一律に同じ金額を支給するのは、極めてバラマキ感の強い政策と言わざるをえない。高額所得世帯は経済的支援がなくても幼少期の子育てには困らないと思うが。それよりも、優秀な夫婦がともに十分働ける環境を整えることの方が意味があるのではないかと思う。
一律に同額支給することの利点は、全く感じられない。

控除廃止を行って高額所得世帯への課税を強化したい、ということなら、子ども手当てということではなくて、子どものいない世帯であろうと高齢単独世帯であろうと、減税するなり別な給付を増やすなりをするべきではないのか。経済的支援の本当に必要としている人たち(優先順位の高い人たち)に、まず支援を多くするべきだ。ある水準の所得の人に「子ども手当て」を支給する以上に優先されるべきではないか、ということ。
今の制度のままでは、所得水準の低い人たちまでが逆に「一律に増税」を強いられることになってしまうだろう。


④経済的理由というのは、子どもの将来不安なのでは?

中学、高校、大学と、子どもの将来にかかる費用が、今の日本では高額かつ不確実だからこそ、子どもを持つことへの躊躇いを生じやすくするのではないか、というのが、私の見立てである。

子どもを産むのはいいが、自分の給料がどうなるかまるで見えない(いきなりボーナス半額やカットとか、賃金引下げとか)し、夫も妻もいつまで正規で勤めていられるかわからないし、それでいて塾や進学費用が多額にかかることは判り切っている、ということになれば、そりゃあ安易に「子どもでも産んでみようか」なんてことにはならないわけですよ。けど、将来は大学にだって「無償で行けることもあるのよ」ということが判っていれば、子どもが親の収入のなさのせいで大学進学ができなくなる、ということは回避できるわけですから、その分の将来リスク(不安)は軽減されるということになるんですよ。

だったら、それは奨学金や公的教育費の改善という政策を割り当てるべきで、子どもの小さいうちに金を配って「その金は将来の大増税(子ども手当てが打ち切られるから)と高額教育費に充当できるように積み立てておけ」というような政策にする必要性はないのではないか、ということなのである。子どもがある程度大きくなっていく時に、「どれくらいお金がかかるようになるのか、わからない」ということが根底にあるからこそ、経済的問題というのが大きくなってしまうわけで。

失業や賃金低下などは、子どもがいてもいなくても不安があるのは確かなので、これが必ずしも子育て不安を増幅するか、というのは判りません。だけれども、「お金がないから子どもを産めない」、「所得が低いので子どもを持つのが不安」ということの意味をよく考えてみるべきだ。若い世代の人たちがそう言うのは、ただ単純に「今、現金を持ってないから」ということではないと思うよ。後々、大学に出してあげられるか心配だ、1人ならば行かせられるが2人は無理だ、ましてや3人なんて無理だ、というようなことであって、1歳、3歳、5歳と今3人育てるのに大金がかかるので無理だ、というようなことではありません。


昔から、「貧乏子沢山」とか言ってきたではないですか。
経済的事由が本当に大きく影響してきたのなら、全然産めないに決まっていますよ。そういうことすら考えられなかったほどに、昔の女性が「何も考えていなかった」なんてことがあると思いますか?違うでしょう。

昔は、子どもの教育費にはそんなにかからなかっただろう、というのが世間一般の常識だったからなのではありませんか?
大学に行くなんて、大金持ちかエリートさんだけで、他はみんな小学校や中学校を出たら働いたからこそ、たくさん産めたんじゃないですか?労働力という点もあったかもしれませんが、でも、将来費用が少なければ産んでもいい、と考える人が多く出ても不思議ではないと思いますけど。


民主党の「子ども手当て」について、もっと専門的に批判する人たちがどうして出てこないのかが、大変不思議なのである。

少なくとも5兆円以上という大金を使ってやるべき政策とは、到底思えないのである。



ところで、与党側の反論とかも、全然ダメだね。
簡単にバラマキだ、とか財源が不明だ、とか言うだけでは、もの足りない。

オレならば、敵側主張を打ち砕く方法をきちんと考えるぞ。


どうだ?
党の非常勤の政策研究員とかで、契約しないか?(笑)

その代わり、こちらの勧める政策を実現に向けて実行してくれるなら、という条件付きだが。