カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

〈族長〉失踪。

2017-02-13 07:15:07 | Weblog
〈族長〉の望遠鏡は覗く箸のうごき カンブリア紀の吉野家牛丼

ベルリオーズの『幻想』流るるエレベーターに県警失踪課刑事の五人

トイレから消えて三年の〈族長〉の机に今だ規制線は張られて

最後の屁の音を再現してみますと秘書課長・木村の虚ろな献身

望遠鏡がコトリと音を立ててゐる 地蟲のやうな鳴き声聞かせて

「お父さん、そこまでしなくたつて」と妻娘(つまこ)泣く 木村は黙つて屁をこくポーズに

〈族長〉の小型潜水艇はアーム伸ばす薄明の星のしづかな海に
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2月号。

2017-02-12 00:37:21 | Weblog

しごとから帰って来て、家のポストに届いていた歌誌『塔』2月号をざっくり開いて歌や記事をじっくり読み耽っていたら、いつの間にか日付が変わってしまっていた。今日もしごとゆえ早く休まなければ。亡き佐藤南壬子さんの絶筆10首は、異界を吹く風の匂いが濃厚。作品のそこかしこに、あちら岸を覗いているひとのみが把握できるふしぎな透徹した〈調べ〉が顔を覗かせている。。ところで、いつもチェックしているあの歌人さんの作品が見付からなかった。あらためてまた探そう。

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星。

2017-02-11 18:44:05 | Weblog
しごとのあとの、帰り道。木立と星。存命のクラシック作曲家で、世界中で最もたくさん愛され演奏されているのは誰だろう、アルヴォ・ペルトは確実にそのひとりだろう、などと思いを巡らせつつ。
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漢字。

2017-02-10 07:34:38 | Weblog

昔の短歌メモから。

子の《崖》とふ名の文字を書けなくなつてえーんえーんとないてゐる瀧


これは、いまでもそのときの父の悲しげな顔を忘れられないけれども、元気な頃は漢字専門家のひとりとして漢和辞典の原稿を書いていた亡き父が認知症になってしまって私の名前の漢字すらわからなくなり書けなくなったことを家族全員で目の当たりにした日、ふと私のなかに浮かんだ一首。

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〈クリニック・セミナリオ〉潜入捜査。

2017-02-08 08:57:26 | Weblog

短歌メモ10首。


昨晩来たる電話は〈明朝笑ふ。〉と一言のみ。寝巻きの秋原は背広ポケットにバスカード入れぬ


〈診察券〉入り封筒は挟まれてをり秋原康三宅ポスト朝刊の間に


極楽鳥郵便局前からバスに乗る 〈クリニック・セミナリオ〉は五つ目のバス停前


〈笑ふメロン騎士〉紋章は錆びてをり 〈クリニック・セミナリオ〉玄関扉のまんなか


玄関脇の壁暗がりに広告あり『通販〈薬膳鍋〉受付中』


〈王統は男系に限る〉とふメモが螺旋階段向かうの院長室に


王党派〈メロン〉の活動意図を探るべし。秋原康三は玄関棟扉(と)をノックす


〈お待ちしてゐました〉とひつそり玄関棟扉(と)は開けられぬ 青ざめたる婦長の白馬のブローチ


〈副院長先生は二番診察室です〉婦長に案内され秋原は進みぬ石壁廊下を


患者寝間着に着替へさせられて今日から〈病者・秋原康三〉

 

 

BGM (無伴奏ヴァイオリンのためのワルツ)譜面。

 

 

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見事なオスティナート。

2017-02-08 08:27:15 | Weblog
今朝は、以前にラジオから録音しておいた、1988年のレニングラード国際音楽祭で35歳のワレリー・ゲルギエフがレニングラード・フィルを指揮した芥川也寸志作曲『オーケストラのためのラプソディ』(1971年作曲)のライヴ録音を繰り返し聴いている。芥川さんはたしか1988年のこのレニングラード国際音楽祭の招待作曲家になっていた。だが、いざ出掛ける直前の健康診断で重たい肺癌が見つかって(その前から胸部の異常の自覚症状はあったらしいも、芥川さん本人は心臓の不調と思い込んで〈救心〉を頻繁に服用していたらしい。)急遽入院、結局翌年1989年の1月31日に亡くなってしまった。そんなことを思いながら、繰り返し『オーケストラのためのラプソディ』を聴いている。
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ブラームスのクラリネット・ソナタ。

2017-02-07 07:42:40 | Weblog
今朝、ラジオを点けると、私自身が大好きなブラームスの〈クラリネット・ソナタ第二番変ホ長調〉が始まるところでした。晩年の武満さんがピアニスト小川典子さんからのインタビューに答えて、〈若い頃にメシアンとかドビュッシーとかから音楽の勉強を始めたのでブラームスなんかをちゃんと勉強して来なかったんです。最近あらためて音楽史を遡るようにしてそういうひとたちの勉強もするようになりました。いまはブラームスのクラリネット・ソナタに非常に感心しているんです。〉というようなことを語られていたのを思い出します。
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寝る。

2017-02-05 23:47:08 | Weblog
しごとから帰って来て、部屋の灯りをつけ、風呂に入る気力も湧かないまま床にぐったり座り込んでラジオに手を伸ばす。イヤホンを耳に挿し込み予約録音したラジオ番組を耳からみぬちに流し込む。だが、疲れきった頭ではラジオ番組の内容を理解することがさっぱりできなくて、いつしか意識は勝手に遠退き、はっと覚醒すれば、二時間あまり寝込んでいた様子。頬についた涎を手で拭いながらあわてて風呂の支度をする。風呂では季節に関係なくいつもおしまいに冷水を桶で数杯頭からざんぶりとかぶることにしている。かぶるときは〈大器晩成〉〈大願成就〉の二語を心のなかで幾度も呪文のように呟く。昔から不思議と出世欲は薄い性質(たち)なのだが、一生の間に成し遂げたいことが明確に二つほどあって、ひとつはシンフォニーを書くことで、もうひとつが凡百でない唯一の歌集を編むこと。シンフォニーについては、子どもの時分に音楽の神様と会った折りに約束をした。音楽の神様は女神さまで、この神様は、ひたすらな純粋な童心を持ったひとのみを好み、応援してくれる不思議な神様だ。


とにかく、今日は疲れた。明日のしごともなかなか忙しそうだから、早く寝ることにする。
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今朝の短歌メモから。

2017-02-04 07:50:26 | Weblog

今朝の短歌メモから。

春の朝はひかりを完璧と思ふまで冷蔵庫に忘れたあの二本のジュース

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朝の陽光に。

2017-02-02 07:48:43 | Weblog

木犀のひかる夕べよもういない父が私を鳥の名で呼ぶ  服部真里子

 


ひかり。

昨日からずっとこのワルツの節が頭を離れない。。
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