短歌メモから、です。。。
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宇宙駅のしづかなる朝のパン売りはイワシサンドをひとり食(は)みをり
宇宙駅は眩(まばゆ)し 遠き回廊の果てなる幻は多児兵衛厠(たごべいかわや)
姫様は玉葱型首飾(タマネギ)がお好き 回廊を歩かるるときは首から提げて
ヒマラヤから届きしばかりのハトポッチ教授の紅茶は玉葱怖る
その教授を空港ビルに追ひかけて警部は八杯目の珈琲を飲む
詞書「ハトポッチ教授右手の紙片からかそかに漂ふドリアン・スメル。」
「姫様をお連れせよ」とふ指令あり 本部員の書きたるドリアンあぶり出しの文字
「ハトポッチ!! 止まらんか、撃つぞ!! 」搭乗口柵飛び越えぬ多昌伽(たまさか)警部は
喧騒はひとつの序章に過ぎなくて 真つ暗な路地から突き出す黒傘
詞書「往時の多児兵衛厠(たごべいかわや)の盛名伝はりたれど今はなし。その跡には宇宙駅貴賓室が建ちたるとふ」
姫様の椅子肘掛に刻まれてをり 旧主(あるじ)坂之家多児兵衛(さかのやたごべい)の紋