カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

河野先生のうたから

2006-11-14 09:53:30 | Weblog
 河野先生のうたからメモです。

UFOの乗組員のさびしさは秋のほほづきのやうなひのくれ  河野裕子(歌集『紅』より)

 価値観の異なる星(異星)に降り立ちどういうわけかひとりそこに取り残されてしまった宇宙人のかなしみ、当惑ということを時々考えます。それはまさに映画『E.T.』に描かれているようなことですが、これはまたある意味で、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』以来好まれてきたテーマといえるのかもしれません。
 河野先生のこのうたには「取り残された」という状況を明らかに示すことばは使われておらず、乗組員がどういうシチュエイション下で「さびしさ」を感じているのかは定かではありません。しかし、「ほほづきのやうなひのくれ」を見てさびしさを感じる、というところから、さまざまに想像を広げることができると思います。
 惹かれる一首です。
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