高田馬場のヴィレッジヴァンガードという本屋は変わっていていいよ、とかねてから噂には聞いていたもののなかなか訪れるチャンスがありませんでした。一度などは住所でこの辺だろうと当たりをつけて近くまで行ったのに、どういうわけだか店の入り口どころかビルすらも見つけることができなくてとうとう訪ねることができませんでした。探し回って疲れ果てて帰りながら、きみはまだ〈準備〉ができていないから来られなかったんだよ、と店から告げられたようにがっかりしたものです。いったい、ヴィレッジヴァンガードに入れてもらうための〈準備〉とは何なのだろう。〈資格〉とは何なのだろう、とずっと心に引っ掛かっていました。
先週の土曜日、映画『シーサイドモーテル』の帰り、思い立って高田馬場に寄ってヴィレッジヴァンガードを探してみました。すると、かの店はすんなりと私の前に姿を現してくれたのです。
入店し、サクマドロップと柊あおいさんの『耳をすませば』(集英社文庫)を購入。不思議な心持ちで帰宅しました。
いまだに、ヴィレッジヴァンガードを訪ねられる〈資格〉の内容がわかりません。なぜ私は許されたのだろう、不思議だ、と心に引っ掛かっているのです。