カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

あれは行きつけのタリーズコーヒーで。

2022-08-13 21:49:47 | Weblog
2022/05/05の16時頃、行きつけのタリーズコーヒーの机で書いた短歌メモ10首。

ゆつくりと堅き足音近付きぬ ドア外にこぼるる靴からの水

ドア外の男は〈西冷印社〉名乗りぬ 〈夜中三時の品物届け〉と

わたくしと〈西冷印社〉とに取引きはなし 薄暗き部屋に帳簿開けば

ゆつくりと堅き溜め息吐き出されぬ ドア外に残る靴形の水

ゆふぐれの僧よりすすめられし経文はドア内側に墨くろぐろと

辞書二冊据ゑし机に帳簿置く 台所に水注ぎてグラス飲み干す

どこの河を渡つてきた靴か知つてゐる あの靴形の水の来歴

階段の途中に眠る黒猫は朝陽に目開きにやあと鳴きぬ その朝も

堅き足音みだれ床踏む幻聴のしばらくありき 寝床に掴む聖書

昼の視力まぶしむしばし 黒猫はにやあとわたくしにすり寄つてくる

そのなかの6首を、こんかい真中さんが歌誌『塔』8月号の選歌欄の鍵外優秀作品に選んで掲載してくださった。ありがとうございました。私のうたが鍵外掲載作品に選ばれるなんて、謙遜でも何でもなく、真夏に雪が降るくらいに本当に珍しい事で、おもわず記念に写真を一枚撮影してみました。今後への励みになります。ありがとうございました。まだまだ頑張ります。
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