今朝の短歌メモから。
寝汗の後(のち)白湯ひと口 彼(か)の人は夢見つつ彼岸(あちら)へ度(わた)つた
足もとに花咲き乱れ光(かげ)澄みて、しづかな道なり ひたすら明るし
ぐつたりと横たはる右腕 空気の廻る部屋にも真白き朝(あした)は
布マスクなぞ、布マスクなぞ要らぬ 机の上(へ)にペンはたふれて五線紙しづか
真摯にはこころ、本物には温もり けふ私が通る道の、名もなき花よ
河は蛇行して森の中を通る 鳥も啼かずば猿も声なし
滅ぶとはひたすらなしづもり 遥かなるビルで一個のグラスが割れた
微笑みに肖(に)て遥かなれ がら空きのセロケース乗せて飛ぶ航空機
アダージェットは頭の奥に鳴つてをり 当機到着ロビーに見ゆる防護服の面々